お知らせ

【公開シンポジウム】日本と中国にみる文化継承リスク―伝統は生き残れるか―


【公開シンポジウム】日本と中国にみる文化継承リスク―伝統は生き残れるか―
日時/平成26年2月8日(土)9:15-16:00(8:45開場)
場所/東北芸術工科大学本館4階407講義室
入場/無料(事前のお申し込みが必要です)
主催/東北芸術工科大学東北文化研究センター
申し込み・問い合わせ/東北芸術工科大学東北文化研究センター(TEL023-627-2168)

【プログラム】
【基調講演】
田口洋美「イエ制度の崩壊と地域の未来」

【中国南部からの報告】
阿部朋恒「ハニ族『集落(puvka)』おける文化継承システムと現代的変化」
謝黎「ラフ族とハニ族の狭間に生きる―苦聡人とは誰か?」

【中国北部からの報告】
思泌夫「敖魯古雅トナカイエヴェンキ人にとって“定住”とは」
侯儒「“伊玛堪”(イマカン)の語り手が直面している課題-ホジェンにおける文化継承問題」

【総合討論】現代における文化継承問題

【開催にあたり】
 東日本大震災や、農山村漁村で急速に進む少子高齢化、若年人口の流出を背景とし、近年、国内では広く地域再生や集落再編のあり方が盛んに議論されています。本研究センターでは「集落」という、私たちにとって最も身近な場がいかに形成され、あるいは維持されてきたかを長期にわたる通史的視点から明らかにしてゆくことで、集落形成に関する新たな理念を構築することを目指しています。  
 とりわけ東北地方に数多とある農山漁村では、高度経済成長期以降の産業構造の変化に伴い、第一次産業が低迷し、生業の多様化が進みつつあります。同時に、そうした変化は、集落維持に関わる社会制度(村のしきたり)や文化の継承システム、地域アイデンティティといった側面にも影響を及ぼしています。その現状とそこから派生する諸問題を整理し直し、理解することが、今後の地域再生や集落再編のあり方を考える上できわめて重要であると言えます。
 むろん現代社会において、このような現象は国内にのみとどまりません。例えば、中国、あるいはロシアには数多くの少数民族が各地域に分かれ暮らしており、なかには遊牧狩猟活動など独自の生業活動を営んできた集団もいます。しかし、1970年代以降の国家政策や、近年顕在化してきたグローバル資本主義などの影響を受け、少数民族が営んできた伝統的生業、あるいは地域社会の核となる精神文化が変容しつつあります。そうした人々はいかに生業形態を変え、集落を再編しながら現在暮らしているのでしょうか。本シンポジウムでは現地研究協力者をお招きし、国内では紹介されることの少ない中国東北部および中国雲南省の少数民族社会の事例を報告していただきます。そして現代社会における伝統的生業の変化、置換に伴う文化継承および集落維持のあり方について議論することを目的とします。