東北復興支援機構 | TRSO

キッズアートキャンプ山形2015|視察と打合せと下見と

南相馬市のみなさまと1つの影絵芝居を作る今年のキッズアートキャンプ。3日間のキャンプの最終日8/10(月)14:00、東北芸術工科大学のこども芸術大学こども劇場にて影絵芝居を上演します。(どなたでも無料でお気軽にご覧いただけます!)
その影絵芝居の題材となる「大悲山の大蛇物語」や、南相馬市の風景、その他のモチーフ等のリサーチのため、スタッフは何度か南相馬市へ視察に伺っております。つい先日も今年のキッズアートキャンプの講師である影絵作家・ガムラン奏者の川村亘平斎さんにもご同行いただき、南相馬市での視察や大学での打合せを行いました。スタッフのみで行った5月の視察も含め、盛り沢山なその様子をお伝えいたします!

5月25日、スタッフと復興会議メンバーの学生は南相馬へ。まずは、南相馬市小高区南部の大悲山大蛇物語公園(すごい名前です)へ向かいました。この公園には物語の主人公が訪れたといわれる薬師堂や、物語に出てくる石仏が残されています。石仏は磨崖仏(読んで字の如く、自然の岩壁を彫って作られた仏像)であり、現在はその石仏群の一部が国の史跡に指定されています。なんとなんと平安時代!に作られたもので、日本の仏教美術史上重要な価値があると考えられています。


こちらは石仏群の1つの十一面千手観音座像ですが、現在はそのほとんどが剥落欠損しています。かろうじて上部に顔、肩、腕の部分が見えますでしょうか。(東北は寒冷地のため、石造の文化財は非常に劣化しやすいと考えられています。ちなみに本大学の文化財保存修復センターでも寒冷地の石造文化財の保存について研究がされております)


大悲山の大杉、というものも。なんとなーく大蛇に似ているような。

公園を見てまわった後は、南相馬市博物館へ。


博物館前に置いてある、これ。これ、なんでしょう?パッと見だと電車の部品かな?と思いましたが、


こちらの塔、何かご存知でしょうか。
今では南相馬市の一部となっている旧原町のシンボル、高さ約201m(!)の「原町無線塔」…の縮尺10分の1スケールのミニチュア版「憶・原町無線塔」です。実は南相馬市博物館前にあるのは、1921年に建設され老朽化のため1982年に解体された「原町無線塔」の塔頭部なのです。
数十年の間、町の一番高い所から人々の暮らしを見下ろしていたのだと考えると、何とも不思議な気持ちになりますね。しかも「原町無線塔」は、1928年までの間はアジアで最も高い建築物だったのです。

5月の視察は、南相馬市の歴史に思いを馳せる、しかし新たな発見も多い、実のある視察となりました。
この風景、そして歴史を是非とも影絵作家の川村さんにも感じていただきたい!ということで…ここからは6月の視察・打合せの様子です。

6月21日、川村さんとスタッフは南相馬市へ。今回は記録撮影として映像専攻の学生も同行しました。(みなさまにご覧いただける機会があるかも知れません。詳細が分かり次第お知らせ致します)
まずは、南相馬市のとあるお宅へ伺います。南相馬市立博物館さまよりご紹介いただいた、児童文学者の菅野清二さんに「大悲山の大蛇物語」の伝説の地をご案内いただくことに。ご自宅でも、大変貴重なお話をお伺いすることが出来ました。

 


今回は突然のご連絡にも関わらず現地にて多くの方にご協力をいただきまして、誠にありがとうございました。
この1日で得られたたくさんのものを形にするべく、次の日は大学にて学生スタッフを含めて具体的な打ち合わせを行います。


おっとこの塔は

昨日の視察で得たものも盛り込みつつ影絵芝居の構成や、キッズアートキャンプ当日の流れなど、かなり順調に打ち合わせが進んだのではないでしょうか。
今後も引き続きキッズアートキャンプ当日に向けて、制作や打合せを行ってまいります。当日までのスタッフの動きは随時お知らせいたしますが、影絵芝居の中身はキャンプの当日に参加者のみなさまによって形作られていきます。影絵芝居がどのような絵、音楽、物語になるか…ぜひぜひ公演に足をお運びいただき、影絵芝居の世界を堪能していただけますと幸いです。

土屋香奈(TRSO事務局)