デジタルシネマ時代の小規模映画の上映形式の研究

東北芸術工科大による研究プロジェクト
2014-10-07

09_DCPとブルーレイの違いについて

【DCPとBlu-rayの規格の違い】   
DCPは従来の35mmフィルムの代替として大型スクリーンに映写するために開発された2K、4Kの比較的低圧縮・高画質の業務用規格のデータファイルの形式であり、一方のBlu-rayは動画をモニター視聴したりデータ保存するための民生向けディスクの規格である。
したがって、規格の設計方針や設定されているクオリティのレベルが異なる。

※Blu-rayはディスクの規格のことを指し、画質や音質を考える場合には、Blu-rayというよりも、選択するBD-ROM-videoのProfile 1.1に準拠したBDMV(Blu-ray Disk Movie)で使用する圧縮コーデックによって決まると考えるべきである。

根本的な違いは、DCPは、35mmフィルムの1秒間に24コマの静止画という仕組みを引き継いで静止画連番形式で保存されたファイルで、BDMVによるBlu-rayは動画形式で保存されたファイルである。

【映像と音声のフォーマットについて】
DCPは、映像はJPEG 2000コーデックとなり、音声は非圧縮の24bit 48kHzまたは96kHzの音声ファイルとなる。
Blu-rayはBDMVにおいてMPEG-2/MPEG-4  H.264/VC-1等のコーデックで圧縮された一つ(または複数)の動画ファイルある。音声フォーマットは、リニアPCM、AC-3、DTSデジタルサラウンド、ドルビーデジタルプラス、ドルビーデジタルロスレス(Dolby TrueHD)、DTS-HDマスターオーディオなどが使用できる。

 

【画面解像度とフレームレートについて】
DCPの画像解像度は、2K(縦2048×横1080画素)または4K(縦4096×横2160画素)
フレームレートは、24fps、25fps、30fps、48fps、50fps、60fps。

Blu-rayの画像解像度とフレームレートは、
HD(16:9)の場合
1920×1080/59.94i,50i
1920×1080/24p,23.976p
1440×1080/59.94i,50i
1440×1080/24p,23.976p
1280×720/59.94p,50p
1280×720/24p,23.976p
(※1440×1080の場合は、自動的にアナモフィックされ16:9にコンバートされたものが画面に映される。)
SDの場合
720×480/59.94i(4:3/16:9) NTSC
720×576/50i (4:3/16:9) PAL

【カラーについて】
DCPでの色表現はCIE色座標で色空間はXYZとなり、Blu-rayはYUV系でHD画質の場合はYPbPr色空間となる。
DCPのカラーの階調特性を表すカラープロファイルのガンマ値は2.6、ホワイトバランスを表す白色点の色温度は約6500K。

【データ容量について】
データ容量については、DCPは2時間作品で総容量250GB以下程度で、Blu-rayは25GB以下(2層式ディスクの場合50GB以下)となる。

【上映に際して】
DCPでは、映像ファイルと音声ファイルが別個になっており、それらを再生するためのパッキングリスト(PKL.xml)、コンポジション・プレイリスト(CPL.xml)、アセット・マップ(ASSETMAP.xml)、ボリューム・インデックス(VOLINDEX.xml)がDCPに含まれており、上映時にはシネマサーバー上でデータファイルを動作させながら、シネマプロジェクターで映写するかたちとなる。
Blu-rayは、BDMV規格の動画ファイルを、Blu-rayプレイヤーで再生して、それをプロジェクターで映写する。
Blu-rayを上映用のメディアとして使用する場合には、瞬間的な停止状態を含むフリーズなど再生時の問題が発生する可能性が避けられない。

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