東北復興支援機構 | TRSO

キッズアートキャンプ山形 開校!

 

いよいよ今日8/9から、3泊4日のキャンププログラムがはじまります。
南相馬市からの参加児童・ご家族は、最終的に109名となりました。

先週から夏の暑さも戻り、ゲリラ豪雨も去り、本日は素晴らしい快晴!
甲子園では熱闘が続き、東北の大学生たちも、
夏休みを利用しての災害ボランティア活動に汗を流しています。

宮城県沿岸部は、津波により塩をかぶった土から、
逞しい雑草たちがどんどんのびて、震災の記憶を一気に覆い消す勢い。
各地の災害ボランティアセンターでは、ボランティアの受付を閉じはじめており、
ボランタリーな市民による瓦礫やヘドロの撤去は、
この夏に一応のメドがつきそうです。

反面、福島ならびに周辺地域の放射能問題については、まだまだ問題が山積。
「見えない相手」に対して、どのように動くべきか、判断すべきか、
難しい決断、先が見えない状況が続いています。
山形では、夏休みを利用した福島からの母子転入が、
先月だけで800組以上あったそうです。
たくさんの子どもたちが、南相馬に限らず、福島県全域から、
放射線量の低い米沢市や山形市に移ってきています。

同じ東北とはいえ、慣れない土地での新生活に、
不安を抱えている福島のご家族も、きっと多いことでしょう。
キッズアートキャンプのような取り組みが、山形でもっとさくさん起こってほしい。
そのためにも、今日からの4日間は、3.11以降の、福島+山形の良き出会いにしたい。
「子どもたち」のための、東北のオトナたち協働の時間にしたいと思います。

うろ覚えなのですが、以前ある新聞のコラムに、
ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎さんが、
「あなたが深く迷ったり悩んだときは、
未来の子どもたちのためになる道を選択をしなさい」

といったことを書いておられました。
そうすれば人生に迷ったりブレることはない、と。

いま、東北に生きている私たちにとって、福島原発事故の後遺症は、
確実に子どもたち・孫たちの世代に、受け継がれます。
僕たちは日々を生きるのに手一杯ですが、
それでも将来につながる判断基準を持ち、できる範囲で、
子どもたちの未来のために行動したいですね。


さて、もうそろそろ南相馬から子どもたちを乗せたバスが出発する時間です。

キャンパスでは、たくさんの学生や教授たちが、東北の子どもたちのために、
心を込めてプログラムの準備にあたってきました。
先週おこなわれたキッズアートキャンプの準備の様子を写真でお伝えします。

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キャンプ1日目と4日目のプログラムを担当するグラフィックデザイン学科は、
『キッズアートキャンプ山形』の周知活動にも協力してくれています。
大学全体で福島の子どもたち・子どもたちをお迎えしようと、
缶バッチの配布やよせ書きによる、ホスピタリティー・キャンペーンを実施。
初日の今日は、プラスチックの型紙&ステンシルの技法を使って、
Tシャツに模様を描くワークショップを準備しています。
キャンプ参加するみんなが着るオリジナルTシャツをつくります。

学食のテーブルや事務局カウンターなどに設置するポップ。

小さな万国旗型のフラッグ。ワークショップ会場を飾ります。

缶バッジ配布用の台紙。ここにバッジを付けて、学食で配っています。南相馬への応援よせ書きを大きな旗に書いてくださった方に、バッジを差し上げています。

ステンシル用の型づくり。

作業は夜遅くまで。学生たちも楽しみながら取り組んでいます。

4日目のWS準備。布地への塗料の定着具合をチェックする原高史准教授と副手の一條さん。

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2日目は、工芸コースの工房をお借りして、草木染めと陶芸を体験します。
染色は山崎和樹先生、陶芸は深井聡一郎先生に指導していただきます。
震災の影響で学年歴が変わり、他大学では夏休みの期間なのですが、
東北芸術工科大学のアトリエ棟では、学期末の講評会に向けて、
学生たちが必死で制作しています。追い込みなのです。
創造の熱気が充ちているキャンパスでのワークショップとなります。

染織家・山崎准教授によるWSデモンストレーション。藍の葉を使ったタタキ染め。

絞り染めの行程。藍の入った瓶に浸した手ぬぐいを水洗いすると…

このように鮮やかに染まります!藍は虫除けの効果もあると昔から言われています。4日の農業体験で身につけたいですね。

陶芸工房にて指導いただく深井聡一郎講師。

深井先生の見事な菊練の技にスタッフも見入ります。子どもたちには干支のウサギを作ってもらう予定。お父さんお母さんはロクロ引きに挑戦。

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3日目は遠足気分で村山市の田園地帯へ。
最上川の畔、心地よい風が吹き抜ける畑や牧場、果樹園で、
農業体験をおこないます。
収穫のあと、子どもたちは山登りやアスレチックを楽しんでもらい、
お母さんたちと学生たちは、採れたての野菜や果物でカレーやジャムをつくります。
福島では、存分に外で遊ぶことができない子どもたちに、
太陽の下でのびのびと過ごしてもらいたいですね。

農業体験のコーディネートをお願いしている『手づくりパンnouka』のお店で打ち合わせ。

夏野菜の収穫体験に協力をいただく『山形ガールズ農場』さんの畑。ナスやゴーヤ、パプリカなどがたくさん実っていました!

ちょっと珍しい白いヒモナス。とても柔らかいので、素揚げしてからカレーに使います。

スモモの果樹園。甘酸っぱいスモモはジャムにして、かき氷にかけて食後のデザートに!

「ひつじや」さんの羊。こちらで挽肉をいただいて、マトンカレーします。のどかな時間。

キッズアートキャンプ山形の模様はTwitterでも報告ツイートしていきます。
みなさん、ぜひフォロー+拡散をお願いします。
僕たちの取り組みを通して、福島サポートの輪がひろがっていけば幸い。

あ、もうこんな時間。
10:00からスタッフミーティング。
子どもたちの到着は11:30です。
僕自身も童心に還って、子どもたちと一緒にART CAMP、
存分に楽しみたいと思います!

宮本武典(TRSOプログラムディレクター)