2011.08.15
KACY3日目:いのちに触れる農体験
3.11からこの数ヶ月間、満足な外遊びをしていない南相馬の子どもたち。
普通の夏休みなら、虫を探して草むらや雑木林に分け入ったり、
川や海岸での水遊び、おじいちゃんの畑仕事を手伝ったりと、
「うつくしま福島」の夏の自然を満喫させたいのが親心。
ですが、福島原発事故の影響で、それができません。
もちろん学校でも、グラウンドでの体育の授業はおこなわれていません。
「放射能を気にしないで、太陽の下で思いっきり遊ばせたい」
そんな『南相馬こどものつばさ』の想いを受けて、
キャンプ3日目は大学を離れ、山形県村山市で野外活動を組み込みました。
午前中は畑で夏野菜を収穫して、カレーをつくります。
午後は特にプログラムを入れず、自然のなかでのんびり過ごします。
農業も料理も「ものづくり」。
アートと区別せず、基本となる素材集めから協力しての調理、
そして一緒に味わう喜びを通して、自然を楽しみ、参加者同士の絆を深めます。 ところが、キャンプ初日の段階で3日目の降水確率は70%。
Yahooの週間天気予報を睨みながら、
祈り続けたスタッフの想いが天にとどいたのか、
70→50%と徐々に降水確率は下がっていき、
最終的に当日は午前中うす曇り→午後晴天のベストコンディション!
福島の子どもたちに、まずは最高の太陽と輝く芝生をプレゼントできました。
終日貸し切りの「農村伝承の家」に到着したら、
さっそく3グループに分かれて農場へ移動します。
家族グループは夏野菜の収穫を。
女の子グループはちかくの果樹園にスモモ狩りに。
男の子グループは丘の上の牧場へ羊のお世話に出かけます。
夏野菜の農場は、伝承の家から吊り橋で最上川を渡って、歩いてすぐの対岸にあります。
はじめに、山形ガールズ農場の代表・菜穂子さんから説明を受けます。
農場スタッフの案内で、さっそく畑に入ります。
様々な種類のナス、ゴーヤ、キュウリ、パプリカ、オクラ、ズッキーニ…
驚くほど個性的で、彩り豊かなガールズ農場の野菜たち。
ゴーヤのトンネル。白いゴーヤが涼しげに揺れています。
緑の葉をかき分けて、自分で収穫。お気に入りの野菜を見つけられたかな?
葉の奥には美人のナス。柔らかくて甘いヒモナスです。
子どもたちが次々と野菜をもってきます。
立派なズッキーニですね。
自然の恵みに感謝し、すべてカレーの材料にしていただきます。
作業の合間にスイカで水分補給。山形では尾花沢のスイカが有名です。
同じ頃、女の子グループは果樹園でスモモを収穫していました。
脚立に登って、たわわに実ったスモモをカゴにどんどん入れていきます。
甘酸っぱいシロップにして食後のデザートにします。
男の子グループは丘の上の牧場まで、羊に会いに行きました。
餌やりなどをお手伝いしたあと、羊肉をいただいてきます。
*****
さて、夏野菜、羊肉(挽肉)、デザート用のスモモが揃って、
いよいよ調理開始です。
夏野菜マトンカレーは南相馬のお母さんたちがワイワイ調理。
手際のよさはさすが!
やはり、台所のお母さんはイキイキしていますね。
女の子グループと学生たちはスモモ担当。
『手づくりパンnouka』の佐藤さんにシロップづくりを教わります。
火を通すと、部屋全体に甘い香りがひろがります。
れいあは早稲田大学から参加してくれたボランティア。
まずはカレーが完成!
大人用の辛口カレーと、こども用の甘口カレーの2種類つくっていただきました!
付け合わせは白ゴーヤをオリーブオイルで和えたサラダ。
素晴らしく美味しくて、僕は3杯いただきました。
子どもたちも食欲旺盛で、大鍋2つ分のカレーを見事に完食です。
食後はお待ちかねのデザート。
かき氷にスモモシロップをかけていただきます。
まずは小さな子どもたちから。待ちきれない表情が愛おしい。
鮮やかなマゼンダ。
見た目もうるわしい村山産スモモかき氷の完成です。
さっきまで樹についていたスモモが甘いデザートに変身する魔法。
*****
食事のあとは自由時間。
子どもたちは芝生の上で学生たちとサッカー、フリスビー、
山登り、アスレチック、鬼ごっこ、トカゲ探し、などなど。
オトナたちは日陰のベンチに座って、汗をはじいて走り回る子どもたちを、
眩しそうに眺めている穏やかな夏の午後。
僕らスタッフも学生たちも含め、その場にいる全ての人が、
おおきな(ノマド的)家族のように感じられました。
それは幻や比喩なんかじゃなくて、
こんなふうに子どもたちのために、僕たちがつながれる場所、
あたらしい関係が必要なんだと強く思いました。
一過性のイベントではなく、福島の日常の子育てを、
この日のようなピクニックを単体で継続することで、
山形からサポートできないかな、と考えています。
それは福島/山形の双方にとってのギフトになると思う。
大地の恵み、子どもたちの生命力、そして家族の絆について考えさせられた、
とても美しい夏の一日でした。