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KIDS ART CAMP 4日目:心をひとつにする旗

 

キッズアートキャンプ山形の最終日は、午後14:00に南相馬に帰るバスが出るので、午前中のみのプログラムです。
キャンプも4日目ですから、参加者同士やスタッフ間のコミュニケーションは充分。子どもたち+学生スタッフ+お父さん・お母さん、今回のキャンプに関わった全員で協力して、おおきな南相馬の応援旗を描きます。

旗のモチーフは、南相馬を象徴する国の重要無形文化財『相馬野馬追』緊急避難準備区域の解除もままならない、この7月にも、震災犠牲者の鎮魂のために開催された勇壮な神事です。
騎馬武者が駈ける馬追のイメージに、子どもたちの健やかな成長への想いを重ねます。

旗のサイズは2m×3m。旗としての縫製を済ませた布を2枚用意しました。下地にはあらかじめ、グラフィックデザイン学科の学生たちが馬のアウトラインを描いています。

さらに、白くカットアウトされた馬のなかをよく見ると… 参加者の寄せ書き文字がシールで貼られています。これは、初日の夜に子どもたちや親御さんたちに「宿題」として書いてもらった「未来の君へのメッセージ」をカッティングシートで出力したもの。
自分が書いたメッセージの上に、想いを込めて、指で直接にアクリル絵具を摺り込んでいきます。

白い部分すべてに色がのった段階で、旗をもちあげて中間チェック。(大きい!)
MCは1日目同様、中山ダイスケ教授と原高史准教授。2人のトークが会場全体のモチベーションを高めます。
輝くような馬の姿。色彩によって、命が吹き込まれたようです。でも、制作はまだまだこれから!

続いて、キャンプ1日目のTシャツ製作で習得したステンシル技法で、馬の周囲に星を描いていきます。たくさんの星々が馬の周りに瞬きます。

星を転写している間に、馬の絵の具が乾きました。絵の具の下の層にあるシールをめくると… メッセージが顕われてきます!自分の言葉を発掘するみたいな、不思議な感覚。細かな作業ですが、子どもたちは夢中で剥がしていきます。

馬の上の文字がすべて剥がし終わった段階で、再び中間チェック。
星の効果もあって、幻想的な旗になってきました。みんなの言葉を乗せて、南相馬の馬が駆けます。メッセージを読み上げていく中山教授。

ここまで3時間。制作は順調です。
お昼休み中に、仕上げ作業をスタッフ全員でおこないます。馬のアウトラインや、タイトルのマスキングを丁寧に剥がして完成です。

このあと、実際に劇場の昇降バトンに吊るして、完成した旗をみんなで鑑賞。
旗の前で閉校式→記念撮影をおこないました。

閉校式の詳細は… すみません、司会をしていたので写真を撮れなかったのですが、閉校式では、キャンプに参加されたすべてのご家族・子どもたちの名前を読み上げ、壇上に登っていただき、学生ボランティアの手から「修了書」(サプライズ!)を手渡しました。

「おめでとうございます」ではなく、「またお会いしましょう!」という固い握手とともに。

閉校式では、充足の笑顔も別れの涙もありましたが、南相馬の日常へ帰っていく小さな背中を眺めながら、「顔が見える関係・信頼関係が生まれたからこそ、これからが(子どもたちのための)大人たちの協働のはじまり」と、想いをあらたにしました。
キッズアートキャンプ山形は、来年も再来年も、毎年夏に開催していく予定。
二頭の馬は現在、南相馬市鹿島中学校と鹿島小学校に、それぞれ飾られています。