大学はついに後期授業が開始となった。大学により開始時期は違うので一概には言えないが、大体のところはもう始まっていると思う。夏休み中は大きくは動いていなかった文芸ラジオ編集会議も3号に向けて再スタートすることになる。夏休み明けというのは学生も教員もお互いまだ本調子ではない雰囲気が漂っており、おそるおそる歩み寄っている気がする。気がするだけかもしれない。気がするだけだろう。私の疲労はどうでもいい。日付がかわってイベントが明日に近づいてきた。恐らく私は上京する新幹線の中で泣きながらパワポデータを作っているか、アニメを見ているかになるであろう。基本的に山形新幹線内では唯一、アニメを見ているときだけが酔わないのである。読書も執筆も何もかも車酔いを招いてきたのだが、アニメだけは酔わないのだ。アニメは素晴らしい。データ作りは酔うにきまっている。
文芸ラジオのイベントは、『文芸ラジオ』2号を読んでいる必要はないものにしようと考えている。企画意図を一つずつ説明していくと、まず玉井が文芸ラジオの状況とほとんどがアマチュアの書き手である学生たちの現状から創作や創作を考える上での悩みを共有し、会場の皆さんと一緒に考えようという内容である(これから作るけど)。そして高島雄哉さんをお招きしたが、小説家として実際に制作に携わっている立場からの経験値を出してほしいという、冷静に考えると手の内を明かすことになるので非常に厳しい無茶ぶりをお願いしてしまった。また私個人の観点として、これまで論文を書くときには受け手の視点を重視してきたのだが、文芸学科に赴任して一番変化したのは作品を読むと「ここはこういう意図があって、こういう効果を目指して」と創作理論から読むようになったことである。その点において高島さんのお話は本当に興味深いものになるに違いない。評論や批評、研究を志す人もぜひ耳を傾けてほしい。そしてなんと「当日公開開始の連載小説『エンタングル:ガール 舞浜南高校映画研究部』の企画から初稿までを解説」だそうでゼーガペインファンにはたまらない内容となりそう。
トリは三宅陽一郎さんである。『文芸ラジオ』2号に評論を執筆していただいたので読まれた方もいるであろう。三宅さんには創作の周辺の動向というか、創作をめぐる新しい展開に関して話をして欲しいと考えてお願いをした。最近気になっているのはプロットを人工知能が作り、小説を中村航さん、中田永一さんが書かれた事例(『僕は小説が書けない』)のように、人工知能との付き合い方を考える時代は近づいてきているのではないかということである。
以上は私がつらつらと考えているだけである。各発表者はそれぞれ思うところがあって話をするので、違っていても気にしないでいただきたい。要は創作に関して皆で考えようという会である。創作を志す人も創作を考える人も創作を眺める人も皆、気軽に参加して欲しい。9月30日(金)18時半からJR信濃町駅近くの芸術学舎204教室で待っております。イベント情報の詳細はこちらをご覧ください。なお当日になったら登録などすることなく、いきなり会場に来ていただいても構いません。よろしくお願いします。