東北復興支援機構 | TRSO

3泊4日のアートプログラム紹介+学生ボラスタ募集中。

グラフィックデザイン学科学生によるKACY(キッズアートキャンプ山形)のロゴデザイン。

テレビでは連日、放射能拡散のニュースが報道されています。
山形でも、高い放射線量を含んだ牧草を食べた肉牛が70頭、震災後、全国に出荷されていたことが判明しました。我が家も震災後、特に気にすることなく県産牛肉を食べていましたから、小さな娘たちの健康への影響が心配です…。
原発事故の影響はとっくに福島だけの問題ではなく、この時代に生きる私たちすべてが直面する課題になってきましたね。特に安全な食材の確保に、東北の子育て世代はしばらく頭を悩ますことになりそうです。

そしていま、山形市には福島全域から、毎日50〜100の転入希望者があるそうです。山々に遮断された山形は放射線量も周辺の県に比べて低く、また高速道路で福島から容易に移動できる立地であるため、児童・生徒の一時(避難)転入先としてのニーズが集中しています。
多くの場合、父親は仕事のため福島県内に留まり、お母さんと子どもたちが放射線を避けて県外に出る「逆単身赴任」。県境を越えて移動する母子を孤立化させないための、官民一体の受け入れシステム整備が求められています。
私たちのキッズアートキャンプも、そうした「隣県・山形だからこそできるサポート」のひとつ。大学として先鞭を切りますが、子どもたちの情操を育む、同じような支援コミュニティーの輪が山形県内にひろがっていくことを期待しています。

さて、南相馬市の小中学校は、いよいよ7/23から夏休み。
キッズアートキャンプ 4日間のプログラムも細部まで決まってきています。
初年度はデザイン、伝統工芸、農業体験、環境学、絵画制作と、5つのバリエーションで展開します。担当していただく先生方との、授業内容に関する打ち合わせが連日続いていますよ。

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キッズアートキャンプ山形2011|プログラム

1日目【チームワークのデザイン】
場所:こども芸術大学こども劇場/担当:グラフィックデザイン学科
まずは3日間のキャンプで身につけるオリジナルの〈家族Tシャツ〉または〈ともだちTシャツ〉をステンシルで制作します。グラフィックデザイン学科の教授陣や学生たちがアイデアを出してくれました。楽しく制作するだけでなく、完成した作品を通して参加者同士の相互理解や、全体のコミュニケーションを潤滑にするツールとしてTシャツのデザインに取り組みます。

原准教授と副手の阿部さん。授業計画にも熱が入ります。

 

2日目【自然を感じるクラフト】
場所:新実習棟A/講師:山崎和樹(染織家)、深井聡一郎(彫刻家)
2日目はじっくりとものづくりに取り組みます。テキスタイル工房では藍染めを学びます。大学内の畑から藍の葉を摘んで染料をつくり、木綿の手ぬぐいを自分で染めてみましょう。染め上がったら型染めで名前も入れます。
陶芸工房では、家族の食卓で使うマグカップや箸置きなど、年齢に応じた作陶に挑戦します。作品は学生が焼成して後日(秋頃)郵送します。


noukaのドーナツ。地元・村山産の果物を使ったジャムが人気です。

 

3日目【いのちに触れる農体験】
場所:村山の農場や牧場/講師:手づくりパンnouka、ガールズ農場、他
3日目は遠足気分で山形の自然を楽しみましょう。若手の農業人が活躍する村山市の農場や牧場で、夏野菜の収穫や羊のお世話を、果樹園ではスモモ狩りをおこないます。収穫した野菜や分けてもらった羊肉を素材に、みんなでカレーをつくります。スモモはnoukaの佐藤夫妻の指導でジャムにしてデザートのかき氷にしていただきます。カレーのルウも、村山で手づくりされている品を使います。 3日目(夜)【これからの家づくり/街づくりを考える】
場所:山形エコハウス/講師:竹内昌義(建築家)、馬場正尊(東京R不動産ディレクター)
お父さん、お母さん対象の、夜の講座です。子どもたちは学生たちに任せて、CO2排出ゼロのエコ住宅「山形エコハウス」(学内施設)に集まり、震災後のエコロジー、エネルギーシフト、街づくりのあり方について建築家と語り合います。


4日目【心をひとつにする旗】
場所:こども劇場/講師:原高史+グラフィックデザイン学科
初日に制作したTシャツを着て、鹿島中学校と鹿島小学校の体育館にかかげる大きな旗(横断幕)を2枚、キッズアートキャンプの参加者全員で協力して描きます。南相馬のための応援旗です。コミュニケーション・アート・プロジェクトを、ドイツや台湾など、世界各地で手がけている原准教授が授業を担当します。

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TRSO事務局では、現在、4日間の体験学習サポートをしてくださる学生ボランティアを募集中。
東北芸術工科大学事務局窓口(担当:須藤知美さん)で、7/26まで受け付けています。
姉妹校の京都造形芸術大学でも、キッズアートキャンプのボランティア募集がはじまっています。
京都からの交通費などは大学が経費負担をしてくれます。(全額ではありませんが)

夏休みに被災地の子どもたちのために、何か力になりたいと思っている人はぜひ一緒に活動しましょう。

宮本武典(TRSOプログラムディレクター)