「僕らは少しずつ進む あくまでも」

 本屋で三沢陽一の『不機嫌なスピッツの公式』(富士見L文庫)が平台で並んでいるのを見たとき、スピッツは犬だろうか、バンドだろうか、と立ち止まって考えてしまった。本屋の平台で立ち止まるのは、いつものことなので、別に「ラブソ...

文芸ラジオのラジオ 第7回

久しぶりに更新しました。お時間があるときにお聞きください。 東北芸術工科大学芸術学部文芸学科が発行する文芸誌『文芸ラジオ』の編集部がお送りす­るラジオです。編集部の教員(池田雄一、玉井建也、野上勇人)および学生編集長であ...

第1回文芸ラジオ新人賞発表

 文芸ラジオ新人賞は意欲的な小説・評論を全国から募集し、46作品の応募がありました。厳正なる審査の上、下記のように第1回受賞者を発表いたします。 最優秀賞 丸山千耀「星屑のブロンシュ」 優秀賞 該当作なし 最終候補作吉川...

「必殺チョップで今に砕いてみせるわ」

 数年前までは大学で教えている際、「セカイ系ってなんですか?」という質問をよくされた。当意即妙に答えたというよりは、適当な対応をしていたような気がするので、学生にとって疑問はさらなる疑問を生み出していたように思える。とい...

斉藤ゆう『月曜日は2限から』を読む

 ヤンキーという存在は基本的に私自身とは相容れないものであろう。自己認識としてはオタクであり研究者であるという自分自身は、対極に位置しているように思える。いや、いったい、軸がどこにあるのかわからないのに「対極」とは何かと...

「悲しみってやつを夏色に変えて」

 四月はこれまでになく異様に忙しかった。季節の変わり目による体に重く圧し掛かる負荷と例年より早めた研修旅行による疲労とで、連休の合間に存在する平日は東京の自宅でダウンしていた。今年、東北芸術工科大学は連休に次ぐ連休なので...

「全部後回しにしちゃいな」

 旅とは大きな虚無と向き合わなければならないような気がする。それが旅を好きな理由でもあり、嫌いな理由でもある。旅に出ると、自分という存在も含めて旅という行動自体に意味があるのかどうかわからなくなっていく。旅に意味があると...