地域に音楽文化を根付かせたい
はなうたと笑顔を運んだ「月山青春音楽祭 ’15」

秋晴れに恵まれた11月1日、西川町にある旧西山小学校で「月山青春音楽祭 ’15」を開催しました。2012年に始まったこのイベントは、「地域に音楽の文化を根付かせたい」というJUN SKY WALKER(S)寺岡呼人氏の想いから生まれ、企画構想学科の学生たちが実行委員会を作り運営しています。4回目となる今年のテーマは「はなうた」。身体を動かして音楽を楽しむワークショップや、校庭での野外ライブなどの新企画も加え、1番身近で自然に生まれる「はなうた」のように世代を超えて楽しめる音楽祭を目指しました。

当日は、校内での手づくり楽器のワークショップ、レコードの音質を楽しむ教室、懐かしい給食が味わえるカフェ、スクラッチペイントやライティングオブジェの展示など、盛り沢山の内容で多くの来場者を迎えました。世代も性別も様々な人々が野外ライブを楽しんだり、地域の方々の出店屋台でおでんを頬張ったりする姿は「月山青春音楽祭 ’15」ならではです。メイン企画である「はなうた体育館」を利用したライブでは、ロックバンド・レミオロメンでボーカル・ギターを担当していた藤巻亮太氏、『愛は勝つ』『まゆみ』などの名曲を送り出したシンガーソングライターのKAN氏、音楽を通して社会問題と向き合う姿勢を見せる尾崎裕哉氏が出演。最後のステージでは3人が共にセッションを行い、観客とアーティストが大合唱するスペシャルライブとなりました。音楽に声と笑顔が重なって1つになり、「月山青春音楽祭 ’15」は大きな感動のうちに幕を下ろしました。

運営の主軸となったのは企画構想学科の3年生。代表を務めた小野杏菜さんは「お客様が来てくれるかどうか不安でしたが、当日の朝、校舎の窓から開場を待つ人々を目にした時の風景は忘れられません。開催に向けてお世話になった方々が声をかけてくれたり、お客様の笑顔が見られたことがとても嬉しかったです」と語りました。広報や総務、飲食、各教室、校庭、体育館など多くの担当グループの組織作りをしていく中で、多くの人を巻き込んでいく必要性を感じたという小野さん。「3年生だけでは人数が少ないので、他の学科の学生たちにも音楽祭のことを知ってもらえるように説明会を開いたりして働きかけました。結果、他学科の友人たちにも手伝ってもらって成功することができましたが、もっと大学全体を巻き込んでいけたらいいですね。やはり想いだけでは成し遂げられないので、主体となる自分たちから積極的に働きかけていくというのが来年の課題だと思います」。小野さんは、ボランティアとして活動する1、2年生のこともしっかりサポートしたいという想いから「月山スタッフ」という部署を新たに設置。情報伝達を密にすることでスタッフ同士の連携を高め、今後の礎のひとつを築きました。

「お客様の笑顔はもちろん、スタッフも楽しそうだったのが印象的でした」と語るのは、副代表の1人、早見恵一さんです。企画構想学科で学んだ企画の立て方、その面白さと道のりを初めて実感できたことに手応えを感じています。「例えば見積もりなど企画に必要なことを授業で行いますが、音楽祭のような大きな企画を実施する機会はなかなかありません。実際に人とお金が動き、学生ではあるもののプロとして企業と向き合う貴重な経験ができました」。月山青春音楽祭は多くの地元企業の支援と大手企業の協力を得ていて、そこでは社会人としての姿勢や運営としての責任、企画者としての能力が求められます。早見さんは今回の月山青春音楽祭を通し、地域の人を笑顔にする企画を世の中に広げていく仕事をしたい、という想いを新たにしました。

開催場所の決定、出演アーティストの選定、協賛企業とのやり取り。その全てを主体的に行うことは、企画構想学科の学生にとって今後社会で活躍するための刺激的な接点をもたらしました。「夢は芸能人のマネージメント」という、もう1人の副代表の小松怜奈さんは、アーティストや所属事務所のスタッフとのやり取りに仕事の実情を垣間みることができたといいます。「聞きたいことがあって電話をすると遅い時間でも答えてくださったり、メールの返信が夜中だったりして、仕事に対する姿勢を感じる機会が多くありました。イベントやステージを裏側で支える仕事を間近で見て、将来の夢がビジョンとなって見えてきました」という小松さん。授業で行ってきたグループワークや、予算条件をアイデアで乗り越えた音楽祭での経験も、将来につながると感じています。また宮城県出身の小野さんは、授業で大学外の人や企業と関わり企画構想について大きな学びを得ることにありがたさを感じ、学びを地域に還元することで恩返しをしたいと思うようになりました。現在は、山形の地域に根ざしたイベントを行う仕事を志しているそうです。本学が育んだ企画構想の力が、様々な形で社会に活かされつつあります。

 

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