「けだるい空は飛んでゆけるんだ」

 対象との距離感は当然ながら人によって違ってくるものではある。その違いをどのようにしてクリアにしていくか、もしくはしなくてもよいと考えるのかは大きな問題かもしれない。ということを松井雪子の『ぐうたら山暮らし』(イースト・...

「放物線描いて、記憶の奥へ飛んだ」

 遅ればせながら、あさのあつこの『バッテリー』を読んでいる。遅ればせと書いたのは、もはや私が説明するまでもないぐらいに売れに売れているシリーズだからであるが、なぜこれまで私は手に取らなかったのだろうか。一つの理由としては...

「自由自在ジブン次第」

 夏季休暇が深く身体に刻み込まれていく前に、前期授業に関しては吐き出しておきたい。制度的には夏休みに突入したわけだが、すべてのことがピシャっと遮断されたかのごとく仕事が切り替わるだけではなく、滑らかにシフトしていく。それ...

「羽ばたいている間は消えないから」

 ようやく夏休みになった。森田季節さんをお迎えした集中講義が終わり、夜にちまちまやっていた採点もまた終局を迎えたのである(ちなみに森田季節さんの新刊『伊達エルフ政宗2』のあとがきに芸工大の授業がネタとして書かれている)。...

「小さな虫さえも 道に迷っている」

 地図を読むのは、かなり大変な作業である。とはいえ機械的に自分自身の位置と目的地、その途上にある目印さえ把握していれば、地図など何とでもなるし、普通に生活していれば地図を手に取る機会はそれ以上、発生することはないかもしれ...

「声をそろえてNIRVANA」

 私はこの町に住んでいる。駅の向こう側に本屋があり、こちら側にも本屋がある。品揃えが少し違う、というかプッシュしている本の違いなのか、目につくものが違うので、どちらにも足を運ぶ。図書館もあるため、書籍という情報のフローと...