日常の中のTUAD
多種多彩な機種の中で、ひときわ機能美を主張するケータイ。
東芝デザインセンターでさまざまな製品デザイン開発を担当しているプロダクトデザイン学科OBの鈴木毅さん。入社2年目にして携帯電話のデザインが採用され商品化。デビュー作となった Vodafone(当時)向け「KOTO V303T」は、邦楽器楽の「琴」をイメージしており、曲線と直線によるシンプルな輪郭を意識し、漆器や和食器を連想する色と質感にこだわったといいます。そんな明確なコンセプトおよびイメージが評価されてか、いきなりグッドデザイン賞を受賞。デザイナーとしてはこの上ない幸先のいいスタートとなりました。そんな鈴木さんですが、実は芸工大に入学した当初はインテリアデザイナーを目指していたというのです。
鈴木さんが、製品のデザイナーを目指すきっかけとなったのは、一人の先生との出会いでした。自らもデザイナーとして活躍されていたその先生の柔軟な発想、モノ作りのプロとしての視点、そして豊富な情報量と経験値に日々圧倒され、いつか自分もそうなりたいと思うようになったのだそうです。だから、芸工大では「これもデザイン?」「あれもデザイン?」というほど多様なデザインに触れ、たくさんの種類のデザインに取り組み、広い視野を持つことを心掛けたといいます。さらに、工業デザイン分野では商品化に向けてのプレゼンテーション能力が重要に。その点、芸工大ではプレゼンテーションにウエイトを置いた授業や地元企業への模擬プレゼンテーションといったカリキュラムが多かったことで、いまの仕事に大いに役立っていると実感たっぷりに語ってくれました。
そんな鈴木さんが芸工大で過ごした4年間は、どうやら学業だけではなく、プライベートもかなり充実していたようです。広大な山形の自然を120%楽しんだと豪語するキャンパスライフ。そして、お嫁さんと出会ったのもこの芸工大。TUADは、鈴木さんにとってさまざまな幸せとの出会いの場となったようです。
さて、あなたが今使っている携帯電話あるいは周りにある電化製品を見渡してみてください。もし、その中に東芝製のモノがあれば、それは何らかのカタチで鈴木さんがデザイン開発に携わったモノかもしれません。その製品を使うことで「あなたが少しでもHAPPYな気持ちになってくれますように」そんな思いを込めて鈴木さんはデザインしているのだそうです。こんな風にモノを通して、風景を通して、あなたと芸工大はもうかなりの顔見知りの間柄かもしれませんね。