g*g Vol.25 SUMMER 2013

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ものづくりの魅力を伝えるカフェ&ショールーム
〈Tschool〉が福島市にオープン。
プロダクトデザイン学科卒業生が活躍しています。

福島県福島市に、プロダクトデザイン学科卒業生のクリエイター、加藤正樹さんと和田紘典さん2人のショールーム兼アトリエ〈Tschool(ツクール)〉がオープンしたのは2013年1月のこと。同期生だった2人は別々のメーカーに就職しましたが、その後「ものづくりをしたい」という想いを追求する場として会社を立ち上げ、共同で事業をすることを決めました。

左:和田紘典さん/プロダクトデザイン学科卒業生。中:加藤正樹さん/プロダクトデザイン学科卒業生。右: 国道4号線に面し、福島競馬場のすぐ前にある〈Tschool(ツクール)〉。家具などのデザインも手がける。

まずは加藤さんの出身地である福島市に拠点を置き、ショールームを構想。内装のデザインから施工まで自分たちで行い、シンプルで陳列した製品が映える空間に仕上げました。店内に並ぶのは、2人がそれぞれの感性で各地のクリエイターから仕入れた作り手のアイデアや熱意が伝わる製品ばかりです。日常使いはもちろんギフトにも喜ばれそうなキッチンツールや、文房具、アクセサリー、使ってみたくなる灯油ランプなど。加藤さんは「国内外のメーカーを問わず、いろいろなモノを見てお客様に楽しんでもらえるような店をつくりたかったんです」と語り、お客様がゆっくりと店内を見ることができるようにカフェも併設しました。オープンしてから徐々に増えてきた商品ラインナップの中には、もちろんオリジナルプロダクトのものも。作り手である2人と直接話せることもあり、ものづくりの魅力をたっぷりと感じることができます。

東日本大震災からの復興途上にある福島県で活動することについては、活動当初から意識していて、ものづくりのワークショップも思案中。2人が見せるものづくりが地域に定着し、楽しく心が元気になる時間が増えていけば、と想いを語りました。

〈Tschool〉を企画運営しながら行っているプロダクト提案は、「インテリアライフスタイル2012 Talents」で高い評価を受け、今年2月にドイツ・フランクフルトで開催された、世界最大級の国際見本市「ambiente 2013 Talents(アンビエンテ)」にも出展。木の実を象ったステンレス製のドライバーや、小石や樹脂を使って作った、水辺を切り取ったかのようなペーパーウェイトは注目を集めました。「自分たちの可能性を探る意味で出展した見本市でしたが、各国の幅広い人に知ってもらい、期待以上の動きにつながりました」という和田さん。この見本市がきっかけとなり、ニューヨークのメーカーがデザインを買い取り、デンマークのショップに製品を卸すことが決まったアイテムもあるそう。

目を惹くアイデアと、使い続けることで魅力が増すものづくりにこだわる加藤さんと、モノとしての機能的なデザインに魅力を感じ、創造性を最大限に発揮したものづくりを追求する和田さん。ものづくりをする上で対立することもあるのでは?と質問すると、2人は「役割を分けていないのでぶつかりますね」と明るく笑い、「そういう時は、売れるものかどうかではなく、ものとしてどうか、という視点でとことん話し合います」と答えました。学生時代は目立つことがなかったと苦笑する2人ですが、ものづくりに対する真摯な態度と探求は世界で認められつつあり、今後の活動からも目が離せません。

Tschool URL:http://tschool.twool.jp/
TWOOL URL:http://twool.jp/

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