g*g Vol.23 WINTER 2013
2002年からグッドデザインの祭典として多くの来場者を迎えていた「グッドデザインエキスポ」が、「グッドデザインエキシビション2012」として生まれ変わり、11月23日から25日にかけ東京ビッグサイトで開催されました。明日の生活や社会に向けた1,108点ものグッドデザイン賞全てを展示した今回。企画展示ブース「デザインコミュニケーション」やワークショップも開催し、来場者とデザイナーの交流を通じて、より楽しく身近に最新のデザインに触れられる総合的なデザインイベントとなりました。
国内外の大手企業がブースを構える会場内には、全国のデザイン系の分野を持つ大学と並び、芸工大もプロダクトデザイン学科での産学連携の事例や授業成果など、多彩なデザインを展示しました。ブースデザインを手がけたのは、プロダクトデザイン学科卒業生で株式会社博展に所属する歌代悟さんと学生有志、約30名です。芸工大らしさを考え、"支え"をコンセプトにしたブースは、白い円柱とやわらかな印象の楕円型のテーブルで構成。学生たちが持つ空気感をそのまま感じられるオープンな雰囲気となりました。「テーブルの天板の湾曲した形は学生が思い思いに画いたもので、5個全ての形が違います。自由な形が無限の可能性を表現しています」と説明してくれたのは、プロダクトデザイン学科3年の伊藤みゆきさん。テーブルの脚は、連携した木工所の廃材を三角形に組み、幾重にも積み重ねて天板を支えています。同学科3年の渡邉芽生さんは「端材を製材してテーブルの脚に加工する作業は、3日間で400本。木材のサイズがばらばらなので図面通りにいかない部分もありました」と、制作の過程を振り返りました。"積み重ね、支える"テーブルは、地元企業との連携など関わりの中でものづくりをしている芸工大の姿を表現しながら造形的にも美しいデザインとなり、来場者の目を惹きました。同学科3年の鈴木天明さんは、「大勢でブレインストーミングを行い、芸工大について共通のイメージを抽出し形にしていくのは不思議な体験でした。普段はそれぞれの制作をしていますが"芸工大らしさ"には共通意識があることを再認識しました」。歌代さんは学生同士のブレインストーミングから参加。学生たちの話をリードしたり、想いをクリアに表現することに存在感を示したそうです。歌代さんは今回のブースデザインについて「OBということでイメージが共有しやすく、スムーズに進行しました。やるからには他校に負けたくないという気持ちもありましたね(笑)。芸工大のブースは、実際に作品に触れて学生とコミュニケーションをとっていくことで伝わる良さが大きいと思いました。囲い込んでかっこよく見せるより、全てオープンにして見せていくことを大事にしました」と語りました。学生たちのアイデアについては「連携した木工所の廃材を使うなど実現可能なレベルでおもしろいアイデアが多くありました」と評価。プロの目でブラッシュアップしながら今回のブースを作り上げました。プロダクトデザインを学び、プロダクトを見せるブースデザインで海外でも活躍する先輩の姿に、学生たちは大きな刺激を受けた様子でした。