4月吉日、3枚の絵を携えて、徳永幾久さんは学長室を訪れました。
寸評室の記念すべき第一回ということで、自ら作品の評価にあたると申し出た松本学長。寸評を受ける側も第一回記念として、芸工大の評議員でもあり、社会人講座の日本画コースの受講生でもある徳永幾久さんに登場願うことにしました。徳永さんは間もなく90歳という高齢ながら、まだまだ現役で活躍中の服飾研究家なのです。実は、芸工大での社会人講座を開くきっかけをつくったのも徳永さん。評議員の集まりで徳永さんは、「芸工大がここにあることの恩恵を地域の人々にも」と訴えたのだそうです。自らもその恩恵に与るべく社会講座に通い続けて7年、その成果を、日本画界に確かな足跡を記す松本学長に評価いただくというドラマチックな展開となりました。
徳永さんがここ数年で描きためた絵の中から選りすぐりの3点を携えて学長室を訪れると、松本学長はにこやかに迎え入れ、ソファへと案内しました。一つのソファに2人並んで座り、徳永さんの絵をいっしょに眺めるという長閑な光景で始まった寸評室。目の前に並べられた3枚の絵に学長は驚きを隠しきれない様子でした。「徳永さんが日本画を描かれるとは聞いていましたが、もっとたどたどしい作品だと思っていました。もうしっかり自分のものにされているじゃありませんか。実に瑞々しい感性をお持ちですね。」と第一印象を語る松本学長。「いえいえ、お恥ずかしい限りです。」と謙遜しきりの徳永さん。
松本学長が最初に目をとめたのは、「蕗葉の秋」。渋さの中に華がある、美しさがある、徳永さんの豊かな人生経験が描かせた絵だと絶賛。一方、「ポルトガルのでんでん虫」については、あまりオシャレすぎてよろしくないと、ちょっと辛口の評価。最終的に学長は、「葱の秋」を非常に高く評価しました。バックの燃えるような赤が実に若々しく、頬ずりしたくなるような作品だと。その上で、さらに上達するためのアドバイスを伝え、今後もどんどん大作に挑むようにと激励。第一回の寸評室は、春の陽気そのままにポカポカと心地よく終了しました。
東北芸術工科大学 広報誌編集部
FAX:023-627-2185
HPからのお申し込みは、こちらからお願い致します。
※申し込みを複数頂戴した場合には、大変勝手ながらこちらにて選考をさせて頂きます。結果は、取材希望の連絡をもって発表にかえさせて頂きます。
※ご連絡頂いた情報は、本目的以外には使用致しません。