高校生たちの真剣な提案に、真剣に向き合った審査委員たち。
今年で16回を数える「デザセン(全国高等学校デザイン選手権大会)」は、応募チームが徐々に増え、今年の参加はなんと485チーム。その中から入賞9提案、入選30提案を選び出す第一次審査はかなり過酷な任務。パネル1枚1枚から高校生たちの頑張りや必死さが伝わってくるだけに審査委員のみなさんも真剣そのものです。審査委員は、小山薫堂教授を審査委員長に、赤池学氏(ユニバーサルデザイン総合研究所所長)、竹内昌義教授、原研哉氏(グラフィックデザイナー)、藤原正義氏(全国高等学校文化連盟会長)、茂木健一郎氏(脳科学者)、中山ダイスケ教授、マエキタミヤコ氏(クリエイティブエージェンシーサステナ代表)といった錚々たるメンバー8名。
まず、体育館いっぱいに並べられた提案パネルを審査委員が個々に見て回り、入賞候補の個別投票が行われました。エコ、医療・福祉、教育、政治、愛、コミュニケーション、食品・食糧、その他など、12のカテゴリーに分類された提案パネル、その中でも群を抜いて多かったのがエコロジーに関する提案。高校生の間でも環境問題は大きな関心事のようです。
2時間ほどの個別投票のあと、1票以上の得票のあった入賞候補の提案が中央に集められました。番号が読み上げられた提案パネルを探して運んでくるのは学生スタッフ。デザセンには、約70名の大学生スタッフが携わっていて、1,400枚にも及ぶ提案パネルを丁寧に体育館いっぱいに並べたのも学生スタッフたちです。中には、デザセン出場経験者で、それをきっかけに芸工大に入学したという学生もいます。
得票のあった提案は485点のうち、40点。その中で、入賞、入選について審査委員の間で意見が交わされました。満場一致で入賞が決まる秀逸な提案、賛否両論で再検討を要する個性的な提案、内容の解釈をめぐって評価が分かれる提案などさまざまで、予想以上の大混戦。緊迫した場面ながらも、審査委員のユーモアあふれる発言で時折笑いも起こりつつ、審査は粛々と進められました。
入賞提案の内容は、10月25日に決勝大会を控えているので詳しく言及することはできませんが、エコや医療、食やコミュニケーションなどをテーマとしたバラエティに富んだプレゼンテーションとなりそうです。また、惜しくも入賞を逃した入選提案の中には「夫婦円満をサポートするグッズ」や「歩くうちにおにぎりができてしまうアイデア」、「高校生ならではの美意識を発信する提案」、「農業問題と真剣に向き合った提案」などなど、高校生らしいアイディアが沢山あり、審査委員の強力なプッシュを受けたものも多々ありました。
さて、今年の決勝大会ではどんなプレゼンテーションが繰り広げられるのか。485チームの頂点に立つのはどんな高校生たちのどんな提案になるでしょうか?世界を変えられるような提案が飛び出すのか、思わず笑顔になってしまうアイデアか。大きな期待を持って見守りましょう。来年のデザセンを視野に、アイデアへの関心をより過敏にしながら。