以前、公開講座で制作した陶器3点を佐々木教授に寸評していただきました。
芸工大のすぐ近く、山形市青田地区で生まれ育ったという吉田庸一さん。キャンパス周辺はまさに庭のようなもので、幼い頃に遊び回った思い出の地でもあるのだそうです。そこに大学ができた時から、いつの日か大学で何か学ぶ機会があればと思っていました。その思いがかなったのは3年前。かねてから興味があった陶芸の公開講座があることを知り受講することにしたのです。
小品盆栽を趣味にしていた30年ほど前に、盆栽用の鉢ほしさに独学で手びねりに挑戦したぐらいで、ろくろを扱った経験は一度もなかったため「素人でもろくろがひけるのだろうか」と不安を抱えての受講でした。しかし、いざ受講してみると「先生をはじめ、卒業生や大学院生、スタッフの方がたくさんいて、とても親切丁寧に指導していただきました。それに大学の立派な施設を私たち一般人にも使わせていただけるのが素晴らしい。おかげで私でもちゃんと作品にすることができました。実際に使えるものができた喜びは本当に大きかったですよ」と嬉しそうに語ってくれました。
今回は、公開講座での作品の中からお気に入りの3点を持って、佐々木理一 陶芸コース講師を訪ねました。いずれも食器として毎日の食卓に並んでいるもので、そのうちの1点は今朝まで山菜の煮物が盛られていたという愛着の品。釉薬のムラがあったり、縁の線のゆがみなどが、逆に素朴な味わいを作品に持たせています。仕上がりも、素人目には街の陶器屋さんに並んでいる商品と区別がつかない程で、奥様のお友達をこれらの器でもてなした際、どなたもそれが吉田さんによる手作りの器だとは気づかなかったのだとか。
一回目の公開講座ですっかり陶芸の魅力に没頭してしまった吉田さんは、今年の春の講座で磁器に挑戦中です。「入門編としては初めて磁器に挑戦して頂いています。陶器とは全く違った感触で面白いのではないでしょうか。トラブルが起こりやすく陶器よりちょっと難しいと言われていますが、吉田さんなら大丈夫」と佐々木教授。「出来上がったらあの白磁に何を盛ろうか、今からとても楽しみにしています」と吉田さん。
ろくろ講座の受講生には、吉田さんのように料理が好きな人や、生け花をする人など様々で、それらの趣味に使える器を作る事も多いそうです。このようにいろいろな趣味につながるのも陶芸ならではの魅力。受講を繰り返しかなりキャリアを積んでいる方の中には華道や茶道に精通した方などもいて、佐々木教授をはじめ指導する側にとってもいい刺激になるといいます。8月から始まる中級編は、土鍋や大鉢、大皿などの食器づくりに挑戦するプログラムになっています。また、芸工大では陶芸の他にも、日本画、漆芸、金工など、さまざまな分野の公開講座を開講。大学の人材と施設を広く一般の方々に開放し、芸術に親しみ、楽しんでいただいています。
東北芸術工科大学では様々な公開講座を開講し、一般の方のご参加をお待ちしております。
詳しくはHPをご覧下さい。
http://www.tuad.ac.jp/extension/