微妙な光と影を描き出す夕景が見事な私邸。大好きなコンクリートに囲まれて、大好きな欅の木を室内からも存分に楽しめる住まい。施主の指向と菊池さんのセンスによる素晴らしい合作。

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日常の中の芸工大

山形市内の設計事務所で設計主任として活躍中のOBを訪ねた。

このアーティスティックな空間演出は、
芸術系の大学で建築を学んだたまものに違いない。

今回ご紹介した住宅の模型が、現在も菊池さんのデスクの前に飾られていました。この模型からも発想が広がり、実際の建物の満足度をより高めていったのでしょう。

閑静な住宅街にあって、さりげなく個性を主張しているこのお宅、設計を手掛けたのは芸工大OBの菊池さん。コンクリートが好き、室内からもたっぷり庭を楽しみたい、そんな施主の要望を取り入れながら、デザイン的にも洗練された住空間に仕上がっている。道幅が狭い場所ということを配慮して、外壁にアールの形状をつけて道行く人に圧迫感を感じさせないよう工夫している点などは実に心にくい。

菊池佳晴さん。宮城県仙台市出身の29歳。2000年に建築・環境デザイン学科を第5期生として卒業。現在、「羽田設計事務所」設計主任として活躍中。事務所でのデスクワークと現場での仕事が半々ぐらい。現在も、住宅+クリニックと集合住宅の設計を担当しており、多忙な日々を送っている。

と、これは広報誌『g*g』の終面を飾る「TUAD IS HERE」のコーナーで、建築・環境デザイン学科OBの菊池佳晴さんが設計を担当した住宅を紹介したものです。実際に街並みの中にある、この住宅を訪ねてみると、その外観だけで十分に道行く人を魅了する見事な佇まいでした。もちろん、これは菊池さんの活躍を示すほんの一端、このほかにも菊池さんは、集合住宅や店舗、クリニック、一般住宅など、さまざま建築物の設計を担当。私たちも街中で知らず知らずのうちに菊池さんの作品と出会っているかもしれませんね。

菊池さんが工学系ではなく、デザイン系の大学で建築を学ぼうと考えたのは、感性を大事にしたかったから。その狙い通りに、芸工大では幅広い友人関係が生まれ、芸術系の学生との交流がいい刺激になったといいます。授業の一貫として県内外の建物を見学して回り、「土門拳記念館」に感動したこと、一人原付バイクを走らせて九州まで建物探訪に出かけたことも、みんな素晴らしい思い出。そして、友人たちと出かけた海、山、温泉、山形という豊かな自然に抱かれて学生生活を満喫。学生の街仙台出身の菊池さんから見ても、山形での学生生活は仙台にひけをとらないくらい、楽しく充実した時間だったようです。

現在、菊池さんが勤務する「羽田設計事務所」へは、友人の紹介で入社。二年間の実務経験を経て一級建築士資格を取得したといいます。そんな菊池さんを事務所に訪ねると、「さすが、このオフィス自体もセンスをアピールするセールスツールなのだ」と納得してしまうほどカッコいい事務所でした。ここでは、菊池さんを含め3名の芸工大OBが活躍しているそうです。これからも一般住宅をはじめ、カフェやバーなど特にセンスが求められる空間の設計にも挑戦していきたいという菊池さん。デザイン系建築士ならではの発想や感性を反映した建築物の出現を大いに期待したいものです。

羽田設計事務所
http://www.hada-sekkei.jp/

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