2013.03.21
東北未来絵本キャンペーン『あのとき あれから それから それから』|山形広告賞 受賞のご報告
この度、東北未来絵本キャンペーン(山形新聞社主催)が第4回山形広告賞最優秀賞を受賞しました。第32回新聞広告賞の新聞社企画部門最高賞受賞に引き続き2つ目の受賞となります。
東日本大震災から丸1年目の2012年3月11日から始まったこのキャンペーンは、東日本大震災を語りつぐために山形出身のアーティスト/絵本作家の荒井良二さんと読者が共に絵本をつくるプロジェクトです。TRSOプログラムディレクターを務める宮本武典准教授(芸工大)がディレクションを担当し、TRSO事務局もお手伝いさせていただきました。山形新聞の紙面を介し、荒井さんから読者へ「あのときみんなの手は何をつかんでた?」「あれからみんなの日常は何かかわったかなぁ?」「ぼくらの東北はどんな未来になってるんだろ?」という3つの問いかけが投げかけられました。読者からあつまった言葉をもとに、地域のこどもたちと全長5mにわたる絵本原画の絵巻をつくり、荒井さんが仕上げ2013年2月に完成しました(絵本制作についてはこちらをご覧ください)。絵本の表紙には「みんなと荒井良二」という言葉が描かれています。この場をお借りして、キャンペーンを企画された山形新聞社広告局の金森由紀さん、新聞紙面や装丁のデザインを担当されたアカオニデザインの小板橋基希さんをはじめ、関係者の皆さまにお祝い申し上げます。
完成した絵本は山形新聞社から、ご協賛いただいた県内企業27社と、県内の全小学校の図書室、東北6県の公立図書館へ寄贈されています。TRSOでも「荒井良二とふらっぐしっぷ」を開催した塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町、仙台市若林区、石巻市の小・中学校と幼稚園施設や、「キッズ・アート・キャンプ山形」で交流のある福島県南相馬市内の小・中学校、幼稚園施設へ寄贈させていただいています。
現在、石巻市日和アートセンターで開催中の『未来へのじゃあにぃ』展でも東北未来絵本についてご報告しています。立ち寄ってくださった地域のこどもたちからも「図書室でみたよ!」と嬉しいお言葉をいただきました。絵本の実物も手にとって見ていただけますので、興味のある方はぜひお立ち寄りください。(絵本の販売はおこなっておりません。ご了承ください。)
+++++++++
◎「東北未来絵本 あのときあれからそれからそれから」概要
著者:みんなと荒井良二
デザイン:アカオニデザイン
発行:株式会社山形新聞社広告局
印刷:株式会社大風印刷
仕様:全22ページ/カラー/カバー付/3000部制作/非売品
◎『東北未来絵本キャンペーン』
企画・制作:山形新聞社広告局
協力:東北復興支援機構 TRSO
企画キュレーション:宮本武典 (本学美術館大学センター准教授)
後援:山形県教育委員会
◎お問合せ:東北芸術工科大学 東北復興支援機構TRSO事務局
TEL:023-627-2218
◎荒井良二氏略歴
1956 年山形県生まれ。『ルフランルフラン』で日本絵本賞を、『たいようオルガン』でJBBY 賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版 文化賞・大賞を受賞するほか、ボローニャ国際児童図書展特別賞、小学館児童出版文化賞、講談社出版文化賞絵本賞など受賞多数。2005年に日本人として初 めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。主な絵本に『はっぴぃさん』『きょうというひ』『うちゅうたまご』『えほんのこども』『モケモケ』な どがあり、そのほかに作品集『meta めた』、マンガ『ホソミチくん』を刊行、 音楽CD『どこからどこまでいつどうやって』をリリース するなど多方面で活動を展開している。東日本大震災後は宮城県沿岸部で復興の旗をつくるワークショップキャラバン『荒井良二とふらっぐしっぷ』を巡行。 2010年、2012年に山形まなび館にて個展『荒井良二の山形じゃあにぃ』を開催。
◎絵本のみどころ
「大 震災から1年を起点と しページをめくると「あのとき」「あれから」「そして」…と時間が未来へ移行します。震災を共有した広い世代の言葉、そして絵がコラージュのように重なっ ています。各ページをよく見ると、荒井氏が描き、貼っていった小さな子どもたちの絵があります。その子どもたちは、はじめはみんなしゃがんでいますが、や がて立ち上がり、そして走りだすのです。
役野友美(TRSO事務局)