読んでいただけたでしょうか?
別に柳川郁生はレオ=レオニの大ファンというわけではありません。でもなんとなく好きで、エリック・カールとかも定番で、なんだかんだわが家には150冊以上の絵本があるようです。
この話も長くなるので割愛しますが、幼児と関わる最初の経験をしたときに私がみつけたいごこちのいい場所が絵本コーナーだったのです。なので長男が生まれた時からしばらくはずっと絵本を買い続け、気がついたら結構いっぱいになっていました。
つぶやきカルテ2010(11月11日)
まきこさんがいうように、先週のトラウマか(笑)という感じで始まった今回のオフィスアワー。
さて、どうなったのでしょうか。
1.どんなことをしていましたか(子)
まずはシンプルにマットを並べて、かがりちゃんやじょうたろうくんたちが「側転」を始めていました。
家できっかけをつかんだ「側転」という運動への気持ち、そして「うんどうの日」で展開した感覚との結びつき、そういうものがつながっていってまきこさんが言うような“うんどうに向き合えるスイッチ”が入ったんですネ。
それから最近、だいち組の子どもたちが遊びに夢中でなんて声がでました。仲間で遊ぶ気持ちはとてもいいことで、「やめなさい!」なんて言えません。そしてこの体育館を楽しい遊びの場にしてしまったのは彼らの責任でもありません。
過去の事例と比較するのはあまり良くないことかもしれませんが、このだいち組の仲間遊びは例年であればもっと早い時期に終了しています。毎年4月になると、だいち組の子どもたちはまるで卒業に向けて大人になっていくかのように仲間になりはじめます。本当に一人一人がつながっていってだいち組になるという感じです。だから秋の「親子・運動の日」のころには、ずいぶんと仲間と協力する姿を見せてくれます。
その一方オフィスアワーでは、夏休みが過ぎるころにはそれぞれの「うんどう」の『取り組み』を楽しむということへと、それまで遊びに夢中だった気持ちが向かいはじめる子どもが現れはじめます(全員ではないです)。でもそれは、コツコツとお母さんたちが子どもたちにまなざしを向けながら、本当にゆっくりゆっくり見守っていたからだと思います。
急に「今日からこれをしなさい!」なんて言うのは大人の都合で、じっくり時間をかけて少しずつ少しずつお母さんたちが寄りそっていたからできたのだと思います。
そんな点で焦りを感じているお母さんもいるようですが、まだまだ時間はあります。11月、12月、1月、2月、3月と、少しずつ少しずつ、粘り強く子どもたちと付き合ってください。だいち組の子どもたちは、今がぐんぐんと変化する時期だと思います。頑張るのではなく、楽しみにしましょう。
すぐに結果を求めるようなことはしないで、成長というものは今すぐになんて無理なんです。ちょっと先に、ずっと先に、そして卒業するころに、それなりの成長がみられるよう今チョットだけ何かをしてみたらいいのではないでしょうか。
それぐらい長〜くつき合ってください。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
結構トラウマが強かったようで(笑)
デバイスづくりが難航していたようですね。
ひとつアドバイスをするなら
「つくりながら試しましょう・試しながらつくりましょう」
かな?
じっくり考えて完成品をつくるのではなく、味見をしながら最終的に美味しければいいってことです。
これが教育的指導の場面であれば、しっかりとした分量である程度保証された美味しさにする責任があるのですが、このオフィスアワーは「鍋パーティー」みたいなものです。なんとなく全体の調和を壊さないようにいろいろな材料をもちより、ちょっとしょっぱいと思えば水を足したり、味が薄いと思ったら醤油を入れたり、もっとお腹をいっぱいにしたいと思ったらご飯を投入したりと、やりながら変えていけばいいのだと思っています。
ですから私もつくったデバイスをそのままにしないで、ちょっとずつちょっとずつその場で変化させています。「う〜ん、いまいち」と思ったらしばらく子どもたちの様子を眺めていじっています。
子どもたちの「うんどう」にまなざしを向けながらいろいろと工夫してみて、3時30分になにかがちょっとでも見つかったら大成功(イェイ!)
そんなふうに考えてみてください。
(それから、味付けのアドバイスはしますから呼んでくださいね。)
お母さんたちもそうやってまずは簡単につくってみてから、あれこれいじってみてはどうでしょう?創作料理みたいに、どんなものができるか分からないけど、美味しくできた時は嬉しいはずです。
これだってそうです。
真ん中をふわっとくぼませましたが、逆にどら焼きのように柔らかくふっくらとしていたらどうなんだろうなんて思ったりもしていました。
それからあきこさん、母自身の変化と言っていますが、きっとこうこちゃんも変化したってことですよね。子どもの成長を見ると親が育ち、親が成長すると子どもが育つということが、このオフィスアワーの中でもありますもんね。
そしてえつこさんのように、
『体の滞空時間が長くなったというか、フワッとした感じとか軽い、とか感じられることが少しずつだけど増えてきて、お〜ここまできたか、という感じ。毎回ちょっとずつ嬉しさを感じているところ。」
なんてどんどん嬉しいことが見えるようになってくるといいですね。
このコメントで嬉しいのは、「滞空時間」というのは時計で測れば見えるのですが、「フワッと」なんて測れません。「軽い」なんて言ってますが、物理的な重さは変わりません。でもその感じが見えてきているということです。つまり「見える」=「感じる」という感性が備わってきているということです。
いままで見えていなかったことが見える(感じられる)ようになったということです。
そしてもっともっと主観的にいい感じが見られたときに「いいね〜」と言ってあげてください。だんだんと本人にも「あれ?今の感じ……」「ん?やっぱり今の感じ……」「あ!そうだこの感じだ!」ということに気付けるようになってくると思います。この「いいね〜」という絶妙のタイミングを見つけた時に、我々運動学の指導者は「現行犯を捕まえた」といって、まるで自分の手柄のように喜びを感じるのです。
それが運動に志向を向けて取り組み(向き合い)、お互いがその喜びを共有するということです。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
ここで何人か変化があった子どもたちを紹介しましょう。
ね!
ね!
ね!
ね!
見てください!
このちょっと大きい子どもたちの運動する姿を。
これが今年度の一番大きな変化です。
幼稚園や運動教室で、こんな姿みられませんよね。
これが今年のオフィスアワーのお母さんたちのスゴイところかもしれません。
きっと突然初めて見る人はビックリしますよ。
なんでお母さんたちが……って
“アソビテになれるお母さん”
新たな発見です。
4.次回のオフィスアワーに向けて
今回は我慢できなくてデバイスづくりに手を出してしまいました。
次回はぜひお母さんたちの手で、
そして必要があれば柳川郁生の味付けも、
ということで今回も長くなってしまいましたが(ただ今11月13日午前1時)、少しずつ少しずつ理想の「うんどう」を探しながらつぶやき続けます。
うんどうのオフィスアワーも今年度後半の部スタートということで、柳川郁生がデバイスづくりをしてみました。
だいち・たいよう・ほし組&それ以下共通のコースだったので、なんとなくしぼりきれないところはありましたが、私なりに願いを込めて(ねらいをもって)つくってみました。
つぶやきカルテ2010(10月28日)
1.どんなことをしていましたか(子)
スタートは「支える」感覚です。
渋滞した列で待っているときも、実は楽に「支える」感覚を見つけるチャンスかもしれません。
自分の肩にスッと体重をあずけることで、軽く「支える」ことができる感覚をここで見つけてほしいですね。
そして腕だけではなく、背中やお腹、脚なども「支える」ために協応してくると、この前転への導入がスムーズにいきます。
腕だけで支えようとすると疲れるし、背中が一緒に支えないとお腹がでてからだを丸くできないので、前転がスムーズにできません。
そんなことをくりかえし体験しながら運動ができ上がってきます。
そしてその「支える」感覚を腕に残したまま、腕支持跳びです。
もうこれもみんな勢いよくできますネ。
さらにはその「支える」感覚と勢いをつないで開脚跳びをなんてことに結びつけようと、あえてノーマルな形で跳び箱を置いてみました。
だいち組ぐらいになったら、より具体的な目標としてこんな工夫に取り組んでみてもいいかと思います。あくまでも自分の運動感覚と向きあうという意味で……。
次は「共通演習「芸術と子ども」 後期 第1回ワークショップ」で紹介した『毒キノコ返しの術』です。
今回はオリジナルとは変えて、間に踏み切り板を設置しました。これは、毒キノコ という障害物があると、どうしても運動が止まってしまい、運動のリズムのようなものが打ち消されてしまったりします。そこでジャンプ・前転、ジャンプ・前転とくりかえすことで、軽やかなリズムをつくりたいと考えたのです。
これをそばで見ていたはなこさんには、それが見えたのではないでしょうか。
そしてコーンを使ったジグザグ走。
体重を傾けて走る心地よさを体感できるとより楽しくなってきます。平均台を使ったバランスもいいけど、こんなふうに動く中で自分のバランスをうまくコントロールするということも大切ですネ。
そして「走って」いって「跳ぶ」。
これもこども芸大の子どもたちはみごとに運動をつなげています。「走る」いきおいをそのまま「跳ぶ」という感覚につなげています。この感覚は、体操教室のように何分も並んで何回かしかできないようなやり方では、なかなか子どもたちも見つけられないのではないでしょうか。
そういった意味で、もっと渋滞しないでこのデバイスに子どもたちが跳びこんでこれるような工夫を必要ですネ。
そして「ポンクリン」みたいな運動感覚の発見を子どもたちにもしてもらいたいと思います。
最後はとにかく全身を使って動いてほしくて、マットの壁をつくりました。
鬼ごっこもそうです。ギュッと抱っこされた状態から逃げだすのもそうです。かけっこも、ボール投げも、フラフープも、からだの一部を動かすのではなく、全身が総動員して動いた時に心地よさがあります。
そんな感覚と、子どもらしい興奮をここでつくれたらと思って設置してみました。
それからこれは、わたしのデバイスを見てまきこさんがつけ足してくれたものです。
なかなか「支える」という感覚と向きあってくれなかった男の子たちが、改めて「支える」感覚と出会うよい機会になったのではないでしょうか。
だから最初のうちはいい加減なやり方だったのに、少しずつだったり、こっそりだったりしながらちゃんとやるようになってきたのでしょう。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
このしっかりと「支える」感覚を習得することで
さまざまな運動感覚と結びつけてこんなことや
こんなことができはじめるのです。
子どもたちの運動感覚の感性は、この手のひらのように広がりつつあります。
ですから、子どもたちの運動を既成の型の中にはめ込むのではなく、緩やかにそして時には刺激的に、いろいろと試しながら工夫して共につくっていきましょう。
4.次回のオフィスアワーに向けて
またお母さんたちと子どもたちの様子を見ながら、緩やか〜に関わっていきます。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
今回のお母さんたちには、わたしのつくったデバイスについて説明を聞いてもらい、その中で子どもたちがどんなふうに動いていくのかを見てもらいました。
するとあきこさんから「一つ一つのコースに意味があって」というコメントがありました。学生たちの授業でいつも言うことですが、“動きの形だけが見えていてもダメで、なぜそうなっているのか、どんなねらいがあるのかという動きの意味が見えていないといけないんだ”ということです。たとえばバドミントンでシャトルをうつときに、左手が上に挙がります。だからといって意味も分からず左手を挙げただけではその動きは役に立ちません。そんなふうに動きの意味が見えてきたり、その動きを引き出すためのコースの意味が見えてきたということは、かなり運動の理解者になってきたということではないでしょうか。
そしてかずよさんのように「自分の体重を体のどこに分けてバランスよく保てるのか私もやってみることで伝えられた気がします」と動きの意味を自分が理解することで子どもたちにも伝えられるようになるのです。
また今回はじっくりと子どもたちの運動にまなざしを向けることもできたので、えつこさんのように「体がフワッ⤴っと浮いて「体が浮く」という感じが見られた!」とその運動感覚を共感することができたり、いづみさんのように「お友達のうんどうを見ていた後では「こうやるんだ」「こうするといいかも?」と自分の中でも気づいたようで」とか、じゅんこさんのように「少し助走してとか勢いをつけてすると何か出来ちゃうかもと気がついたような感じです」といった感じで、子どもたちの意識や志向を感じとることができたりしていたようです。
こんな感じのコメントがけっこう鋭いっ!てことにお母さんたち自身が気づいていなかったりするんですよね(笑)
ということで、今回のことをふまえてぜひ次回はいろいろと試行錯誤をしながら工夫をしてもらいたいと思います。
とにかく色々と試すことで、なにかが見えてきたりします。
ちょっとした料理の工夫といっしょで、すご〜く気にいってもらえたり、逆に気づいてもらえなかったり、でも実は気づかないうちにしっかりと栄養をとれていたり、嫌いだったものが好きになっていたり、そんな変化を見つけた時に「うふふ」と思うものです。
「支える」・「支える」・「支える」・「支える」・「支える」
ふーっ やっとブログアップです。
なんか日増しに文章が長くなります。
次回こそはもっとエコでいきたいですネ。
(ただ今11月2日0時21分 とりあえずアップ完了)
つぶやきカルテ2010(10月21日)
「親子・運動の日」も終わり、今年度のオフィスアワー後半がスタートって感じです。
1.どんなことをしていましたか(子)
ここのところ男の子はボールを使った遊び、女の子はフープを使った遊びから始まります。
それと肋木で遊ぶ子どもたちもいます。
お母さんと一緒に縄跳びをする子もいました。
なんだか今日はいつにもましてお母さんと子どもたちがべったりした感じです。
これはこれで良いことですね。
そしてしばらくたつとかがりちゃんがやってきて、逆立ちの準備を始めました。
するとほかの子どもたちも集まってきて逆立ち練習の始まりです。
ただまだ「支える」というより、逆さまになるということが優先されています。
まずはそれでもいいのですが、ちょっと「支える」感覚と背筋を使って背中を引っ張る感覚を誘発してみようかなということでこんなことをしてみました。
お母さんたちは「支えて」とか、「伸ばして」とか、「頭を中に入れて」とか、一生懸命運動のイメージを伝えています。
それが伝わる関係ができあがってくるのを見るのも楽しみです。
そして言葉ではなく、感覚を通して理解してもらえると伝わってきます。
この関係は、指導者としての私が選手である子どもたちを指導するときにじっくりじっくり時間をかけてつくっているものです。
そしてそれはこども芸大の子どもたちとの間にもできてきたりします。
するとがっくんみたいな感じで、すっと私の意図を理解して動ける関係が生まれてきたりするのです。
(なんて書いているうちにただ今10月23日の午前1時24分。内村航平くんが世界体操競技選手権大会で金メダルをとりました。オメデトウ。)
そしてこちらではコースづくりも始まりました。
まずはジャンプ!
そして『お花のジャンプ』
4つ足でフープをくぐって
跳び箱をとびこえて
坂道を転がると
ミッキーマウスに会えました。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
今回はまったりと、べったりと親子の関係で過ごしていました。
それでもいいのですが、ここでは子どもたちに「うんどう」の志向性をつくりたいと願っています。
子どもたちがもっともっと自分自身の動く感じ(運動感覚)」に志向性をもって取り組めるようにするためには、ちょっと厳しいことを言うと遊びと運動に区別をつけなければいけません。
その区別を理解したうえで遊ぶことができれば、それでいいのです。
とにかく子どもたちの瞳の向こうに運動がある、子どもたちの意識の中に運動感覚がある、そんな世界をつくりたいと思っています。
なんて言うと難しく感じてしまうかもしれませんが、要するにお母さんたちには子どもたちの遊び相手ではなく、理解者になって欲しいということです。
まあそのへんはまたオフィスアワーの時間の中でお話をしながら、ということで……
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
だいち組の女の子たちのなかには、だいぶ自分の運動感覚と向き合うことができるようになった子がでてきましたね。そうすると、コツコツと一つの運動に取り組んだりすることができます。
そう、さくらさんが願う「支えている、はずんでいる、という感覚を自分で自覚できる」ようになるのです。
まだ、たいよう組の子どもたちはそれに気づいていませんが、お母さんたちで優しく誘(いざな)うことができれば、もうすぐで出会うことができるはずです。
そう、くじけて泣いてしまっている姿は、きっとなにかが違うということに気づき始めた証です。運動の中に違和感を感じ始めたということ、自分自身の動きが思い通りでないと感じ始めたということ、それは運動に関する感性が働き始めたということです。
ですからこれから後半のこの時期が、もしかしたら来年にむけて重要な時期かもしれません。なんて言ったら大げさかもしれませんが、なんかこのままではこのオフィスアワーの時間がもったいないと思っています。
4.次回のオフィスアワーに向けて
ということで、次回は柳川が少し子どもたちと、お母さんたちに、願いを込めてデバイスを考えてみようかなと思っています。
なんとなく「親子・運動の日」のあとだからか、子どもたちはコースに自然とストーリー性をもたせて構成をしていたようです。
恐るべし、です。
つぶやきカルテ2010(9月30日)
またしばらくあいだが空いてしまいましたが、オフィスアワーの再開でした。
1.どんなことをしていましたか(子)
お母さんたちと、というよりはむしろお母さんたちが夢中になってフラフープに挑戦です。
できるようになるための工夫(動感志向体験)や、できた時の心地よい感覚を体験することはとても大切です。その嬉しさを子どもたちに伝えたいと願うことが、うんどうの世界を創ります。
お母さんたちが運動のデバイスを準備しはじめると、自然と子どもたちも協力しています。だれに言われるともなく、参加しています。
ここがどんな場なのか、自分たちがここをどんな場にしたいのか、そういったみんなの願いのようなものが見えてきているということですよね。
そしてお母さんたちが鉄棒を準備してくれました。
その先に平均台渡り。
そこから踏み切り板を使って、ジャンプ、ジャンプの連続から
ボールタッチです。
そのあとは、高い台に跳びのってからの
跳び下りジャンプでお母さんの手にタッチです。
そして角を曲がったところで、今度はブリッジ返しです。
その先には跳び箱が置いてあります。
そして次のコーナーをぬけてコーンのまわりを走り抜けると
こんなふうに跳び箱が置いてあります。
そして最後のコーナーをぬけると、こんなふうにフープを使ってケンケンパです。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
お母さんたちの手助けが、良い加減になっています。一人でやっても大丈夫、ちょっと危ないけど体験するにはちょうどよい危険度なんてことを見極められるようになってきています。つまり目の前で行われている運動を質的にとらえられるようになっているのです。
だから子どもたちの運動を見ていて、思わず「スゴイ!!」という声がでてしまったり、「しなやかだよねー」なんていう運動の質を感性的にとらえた言葉が出てきたりしています。
「しなやかだよねー」という言葉は、絵画や景色を見て「きれいだよねー」と感じる感性と同じことです。「スゴイ!!」という感動も、作品や自然の景色と出会って圧倒される感覚と同じものだと思います。
そんな感覚が、お母さんたちの中に生まれてきたり、再生されてきたりしているのではないでしょうか。
そしてこんな重いマットも、お母さんたちは厭わずに運んでセットします。
するとついに
お母さんたちがセットするコースが、おそらく今年度初めて自然と体育館の中央のラインを越えました。これは、いままで「コースという枠の中」で子どもたちの運動を考えていたものが、子どもたちの運動を考えていたら大きなコースになったという変化が起きたということです。「記念すべき第一歩がこの日踏み出されました。」なんてお母さんたちに伝えましたが、子どもたちののびのびとした運動を引き出すためにはどれぐらい広いスペースを確保すればよいのか、ふわっと空中に跳びだすためにはどれぐらい助走の距離が必要なのか、そんなことを探ってみるのも今後の課題にしてみてください。短すぎず、それでいて長すぎない、そんなちょうど良さをお母さん自身の動感志向体験を通して探ってみると面白いですよ。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
支えるという感覚がかなり習得されてきました。
この感覚が鉄棒や、跳び箱での運動にもひろがっていくと、やがてだいち組になった時にもっともっといろんな運動ができるようになっているはずです。
跳び下りた時の着地の様子に注目してみてください。
はじめのうちはベチャッとつぶれてしまうような着地だったものが、うまく弾むように受け止められるようになってくる(運動弾性)と
この感覚が連続ジャンプをするときの感覚とつながってきます。
跳び下りるときの高いジャンプではなく、着地の時の柔らかい受けとめの感覚に注目してみるのも面白いですよ。
それからお母さんたちのカルテの中に、順番を守ったり、前の人が終わるまで進まないで待ったり、鉄棒で前の人の運動がぶつからないように避けたりなんてことが書かれていたり、先生(私)の動きを見てまねするようになったなんてことが書かれています。
順番を守るようになったり、前の人が終わるのを待つようになったのは、この先に自分が行う運動を予期することができるようになったということです。そのためには今動き出すのではなく、前の子がいなくなってからの方がやりやすいということを理解したということです。
そしてこれが、やがて「運動」のなかで『過去把持』や『未来予期』といった今動いている運動というものは、過去の感覚と未来の感覚を感じとりながら行われているのだということと結びついていくのだと思います。
それから人の動きを理解できるようになるということも、これから少し意識して取り組んでいってみたいと思います。私の動き、友だちの動き、ちょっと年上の子どもの動き、そしてお母さんの動き、いろんな動きがこの場には存在します。ぜひぜひそれをたくさん利用していきましょう。
4.次回のオフィスアワーに向けて
子どもたちが感じている運動の楽しさを聞きだしているお母さんのコメントが増えてきました。どんどん子どもたちの運動に関する志向性が理解できるようになってきたのだと思います。というより一番理解できるのがお母さんかもしれませんが……その理解をもっともっと運動感覚の世界へ近づけていきたいなと思います。
まずは「親子・運動の日」がありますが、それが終わったらまた半年かけてじっくりじっくり取り組んでいきましょう。
あせってもしょうがない。1年、2年、3年かけてその時その時の喜びを見つけていくのが私のやり方かもしれません。
ということで、時間がかかってスミマセン。
つぶやきカルテ2010(9月 2日)
さあ久しぶりに書きますヨ。
たくさんのお母さんたちからのまなざしカルテを読んで、
すっかりお腹一杯って感じですが、またいろいろとつぶやいていきたいと思います。
1.どんなことをしていましたか(子)
まずはお母さんたちとバドミントンをしたり、フラフープをしたりが始まりました。そう、ここから運動が始まっているという感じです。
お母さんがそばにいない子は、走ってはいるけどそれは運動ではなく遊びの始まりだったりします。でも、それでもいいのです。
やがて子どもたちはみんな「うんどう」の世界に集まってきましたから。
そしてお母さんたちが、「うんどう」のデバイスを少しずつつくっていきました。
すると子どもたちも、そのデバイスをつないでいきます。
お母さんたちの思いがつながり、そしてその思いをまた子どもたちがつなぎ、スーッとコースができ上がっていきました。
本当に自然と今日のデバイスがコースとしてつながっていきました。
今日はこのまま手を出さないで、みんなの思いにまかせる日にしようと思いました。
まるでお母さんと子どもたちで思い出のアルバムをつくっているようです。
そう、(子どもたちは)「こんなことができたよね」、「こんなことを楽しんでいたよね」、「こんなことが好きだったよね」なんてことを子どもたちと一緒に思い出しているようでした。
?スタートは平均台渡りでした。
?次は、ブリッジ返し。
かなりみんな自分を支える感覚が分かってきたようです。力を入れるのではなく、スッと肘をのばすことで上手に受けとめています。
それから、さかさまになった時のどっちが自分の前(お腹側)で、どっちが後ろ(背中側)なんて感覚もしっかりとつかめてきていますネ。
?高いところから跳び下りるのではなく、跳び上がる。
のびのびとしたいいジャンプと、安心して見ていられる着地の安定感が生まれてきました。
?ここは、ケンケンパをしたり、ピョンピョンとジャンプをしたりみんなそれぞれに運動していました。
?鉄棒で前回りも、なんだか定番になってきました。
そしてできるようになってきて怖くなくなってくると、鉄棒が好きになってくれているようです。
?こんなぶら下がるデバイスもつくられました。
子どもたちは、ロープのスウィングをつくりだして楽しんでいました。
『笑顔』
『笑顔』
『笑顔』
『笑顔』
『笑顔』
分かりますかこの視線の先に何があるか。
そう、この先には走っていって跳びのるという‘運動’があるんです。もう自分が動く前に自分の運動の感じを予期することができるようになってきているから、前の子の運動と自分の運動に感覚的な空間をつくれるようになっているのです。
そしてその運動の感覚がずっと先まで伸びていくと、
こんなふうに空間を先取りしながらダイナミックな踏切ができるようになるのですね。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
今回の一番の良かったこと、うれしかったことがお母さんたちの存在でした。
「あ〜この感じ、この空気、ただいま〜」って感じです。
なんだか久しぶりに家に帰ってきたら、うちってこんなにいい家族だったっけって感じです(笑)
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
4.次回のオフィスアワーに向けて
見てください、この
まるでお母さんたちが、家族の食卓のように「うんどう」の世界を笑顔で取り囲んでくれています。
無理のない基本的な運動のデバイスがつくられ、その中で子どもたちも本当に安心して運動をしているという感じです。
だから今日はじゃましないでおこう、ってそんな感じでした。
そうすればほら、ならんで待つことなんて自然とできちゃうのではないでしょうか。
決まりだからならぶのではなくて、自分が一番気持ちよく運動するためにはならんで待つことが大事なんだということが分かってくるんですね。
またちょっと日が空いてしまいますが、この雰囲気をスタートに後半のオフィスアワーを展開していきます。
そして子どもたちの取り組みに合わせながら、少しずつ少しずつ深い運動の見方をお母さんたちに知ってもらいたいなと思っています。
その深い見方というのは、決して専門家だけのものではありません。運動に関する、より専門的な知識が必要ということだけでもありません。
実はえつこさんのまなざしカルテを見ていて、ずいぶんと悩み始めたのかな〜?なんて思っていました。すると今回のまなざしカルテに、「一緒に」、「楽しむ」、「嬉しくなってしまう(笑)」、「感心」、なんてキーワードがたくさん登場するようになりました。今まではできないことを見つけて、なんとか解決しようというすご〜く真剣だった気持ちの強さが、ちょっと和らいだようなコメントに変化したように感じました。
運動に真剣に向き合うということはすごく大事なことだと思います。私は、体操(競技)を教えている子どもたちに、自分のやっている体操を真剣に考えなさいと教えています。これでいいやなんて妥協をしたら、今まで取り組んできたことが本当に無駄になってしまうからです。だから自分の体操を人と比べて自分はこれぐらいでなんて思わないで、自分だってすごい体操が好きなんだぞって気持ちで真剣に向き合いなさいと伝えています。
そしてそのために大事なことが、「楽しむ」ということなんです。本当に真剣に楽しむということができるようにならなければいけないと考えています。
だからきっと真剣に向き合った先に「楽しさ」が見えてきたら、すご〜く幸せになるのではないでしょうか。
今回で夏休み前、最後の「うんどうのオフィスアワー」になりました。
前回の「つぶやき」と、今回の「オフィスアワー」で、だいぶお母さんたちに課題をつくってしまいましたが、そのことでみんなが「つぶやきだした」と聞いて少し「ニカッ」としています。
ということで、7月15日の「つぶやきカルテ」です。
……どんなふうに伝えようかな、ということで今回はいつもの「つぶやきカルテ」の形式を無視してつぶやきますネ。
今回の「うんどうのオフィスアワー」は、お母さんたちに自分たちの願いを考えてもらうことからスタートしました。
そしてだいち組のお母さんたちは、跳び箱の開脚跳びのために脚をパッと開くようなうんどうをしてほしいと願い、こんなふうに自分たちが跳び箱になったりしました。
それからこんなふうに跳び箱を置いたりしていました。
ほし組とたいよう組のお母さんたちは、先日の学生たちのつくった『ポンクリン』の坂道を参考にデバイスをつくって、そこで前転をしてほしいと願っていました。
ほかには鉄棒が置かれ、こんなことや、
こんなこともしていました。
そしてかずよさんといづみさんがいろいろと試行錯誤をしながら場づくりをしてみたら、子どもたちはこんなふうに運動し始めました。
それからこんなジャンプも登場していました。
そして、お母さんたちの願いを子どもたちに伝えることはできたのでしょうか?
現在7月19日午前1時26分、続きはまた・・・・・・
そして続きです(7月21日午前9時51分)
なんとなく様子を見ていると、子どもたちは思ったほどお母さんたちの「願い」に気づいていない様子でした。それぞれのデバイスでの運動もちょっとさびしい感じです。
そこでお母さんたちに「願い」を伝えてもらおうと、説明とデモンストレーションをお願いしました。
……意外と難しかったようです。
でもきっとこれでお母さんたちがくじけてしまっては、子どもたちの「うんどう」の世界は広がっていきません。今回のこの出来事をきっかけに、次のステップへと進んでみたいと思っています。
どんなことをするのかはまだ決まっていません。だってこのオフィスアワーという取り組みは、そしてお母さんたちのまなざしによって子どもたちの「うんどう」の世界をつくるという試みは、おそらく(大げさにいえば)世界のだれもやっていないことですから。すごくささやかな試みではありますが、このこども芸大で展開しているこのオフィスアワーによって、新しい発見が生まれてくるのです。
ですから、正しいやり方なんて書いてある指導書があるわけではありません。なにが正解かを探すのではなく、どんなことができるのかを探さなくてはいけないのです。
なんていろいろと考えていたら、2004年のこども芸大ができる前に考えていたお母さんたちに対する柳川の勝手な願いがでてきました。
こんなことです・・・・・・
・母なる大地 月(理解者)
母親こそリスタであり、ペタゴジスタ
芸術と自然、そして人間を理解する母親
・母なる大地 太陽(先導者)
子どもたちの未来を照らす役割
子どもたちになにかを伝える存在であって欲しい
・母なる大地 地球(存在者)
一人の人間として存在する
生き方を持っても良いのではないか?
やはり子どもたちの最大の理解者はお母さんであるという考えは今も変わりません。だから子どもたちにまなざしを向けてくださいとお願いしています。
子どもたちの未来に大きな影響を与えるのがお母さんであるという考えも変わりません。だから「願い」を伝えてくださいとお願いしています。
そしてお母さん自身が一人の人間であるという考えも変わりません。だからブログ上では○○さんと個人名で書かせてもらっています(これはわが家のさおりさんのこだわりでもあります)。
私が勝手に願っていることではあるけれども、
なんだか変わらずに願い続けていたんだなということを、
たまたま見つけてしまいました。
子どもたちはどんどん成長していっています。だからこの場をつくる私を含め、お母さんたちもそれに合わせて、いやむしろそれ以上に成長していかなければいけないのかもしれません。
自分自身が成長を止めて、あとは人任せにするのではなく、一緒に育ちあいましょうよ!ということで、8月の再開を楽しみにしています。
「難しい」、「悩んでしまう」なんて思ったら、それは成長のチャンスだと考えて取り組んでみましょうよ。
私だってこのオフィスアワーがかなりのプレッシャーになっています。
「難しい」と思っています。
「どうしよう」とつねに悩んでいます。
本当にどうしてこんなに1週間のウェイトをここにおいているんだろうというぐらい、どうしてこんなにオフィスアワーのことを考えているんだろうというぐらい、日々の生活を送っています。
でもきっと、もっともっと楽しい世界をつくれる、みんなが育ちあい、幸せを感じる世界がつくれると思っているからしかたがないのかなと思っています。
ぜひぜひ8月のスタートは、お母さんたちみんなと悩みたいと思っていますのでよろしくお願いします。
それまではみなさん、悩まずに明るく楽しい夏休みを過ごして、元気をいっぱい貯めておいてください。
私も一生懸命夏休みを楽しんで、とにかく明るく元気なエネルギーを貯めて、みなさんとお会いしたいと思っています。
なんだか日をおいて書いたので、よく分からないメッセージになってしまいましたが、そういうことでした(笑)
つぶやきカルテ2010(7月 8日)
今週末は国体予選があり、金曜日から日曜日まで山形市の総合スポーツセンター(通称スポセン)で大会の役員(審判長 兼 副理事長 兼 技術委員長)を務めています。
なのでまた多少遅れ気味ですがブログアップです。
では、7月 8日の「つぶやきカルテ」です。
1.どんなことをしていましたか(子)
長ーくマットをつないで走るコースができていました。そこで私(柳川)の方で提案して、踏み切り板を3つ置いて少しアクセントをつけてみました。
お母さんたちが、子どもたちのリクエストにこたえて高い場所をつくっていました。このデバイスがねらい(願い)としている運動の感覚は……
こんなふうに跳び箱が置かれていました。この跳び箱のねらい(願い)は、開脚跳びをしてほしいのでしょうか?もしそうだとしたら、開脚跳びに必要な運動の感覚は子どもたちに伝えられているのでしょうか……
高〜く積まれた跳び箱が置かれていました。ここでのねらい(願い)は……
高い鉄棒にブランコがつくってあります。高い鉄棒が楽しい遊び場になりました。ではここでどんな運動の感覚が発生し、楽しめるのでしょう……
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
なんだかまた注文をつけてしまいましたが、ぜひぜひ次の段階へステップアップしていきましょう。
そのためには、まずこの「まなざし」を原点として思い出してみましょう。なんだか難しくなったり、迷ったり、よく分からなくなったら、この感じにもどってみてください。そして、またどんなことを展開していこうかなと考えてみてください。
なんとなく理解していただけたでしょうか。
学生たちの共通演習「芸術と子ども」の授業も、みんな真剣に考え、話し合い、子どもたちのために学生自身が深く学んでいます。「楽しければいいや」、「めんどくさいから、これぐらいでいいんじゃないの」、「大変だから、もっと簡単にしよう」そんなふうに考えている学生はいません。子どもたちをもっともっと楽しませるため、「うんどう」の感覚をもっともっと楽しんでもらうため、今月はほぼ毎日のように研究室の周辺でワークショップの準備作業をしています。子どもたちのためになにかをしようとしていることが、自分たちのためのなにかになっているんですネ。だから集まって作業することがさほど苦じゃなくなる(たぶん)ようです。
なにかを伝えるということは、とても地道で大変なことですが、まだまだオフィスアワーは後期も続きますので、じっくりと取り組んでいきましょう。学生は半期の勝負ですが、お母さんと子どもたちには3年間もあるのですから。
今回ひとつだけ柳川式の工夫を入れてみました。
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
1・2・3・4・5・6・7・8・ジャンプ!
って感じのリズムで踏み切り板を設置していくと、子どもたちのストライド(歩幅)を広げられるんじゃないかな。そのためには、それぞれの踏み切り板同士の間隔を同じにするのではなく、ちょっとずつ広げておけば同じリズムで走るなかで自然とストライドが広がるのではないかなと思ってセットしてみました。
すると子どもたちは、するするといきおいをつけて走ることができたのではないでしょうか。ただ単に走ることであっても、何となく体の感覚の中に心地よさがつくられていくことに気がつくと楽しくなってきます。だから何度もくりかえし走っていき、少しずつ軽やかになる自分の走りを実感することができたのではないでしょうか。この感じを動感志向体験といい、子どもたちが自分たちの運動感覚と向き合って運動している現象としてとらえています。
(いろいろ質問もありましたが、速く走るための工夫ではありません。あくまでも心地よく走るための工夫をしたつもりでいます。「かけっこは速く走る」という根強い概念は、今ここでは考えていません。)
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
4.次回のオフィスアワーに向けて
もう夏休みに入ってしまいますが、またじっくりとわが子の運動にまなざしを向けて、形としての場づくりではなく、おたがいの願いをかなえる場づくりを目指していきましょう。
そしてまたいろいろな疑問もでてくると思います。さまざまな悩みも生まれてくると思います。だって柳川がいつもそうですから。
うまくいかなければ「どうしたらいいのか」何日も悩み、うまくいっていれば「本当にこれでいいのか」と悩み、常に悩んでいます。だけどそれが「考えること」だと思うようにしているので、なるべく逃げないように悩むことにしています。
ぜひぜひみなさんも一緒に悩み(考え)ましょう。みんなで考えればきっと悩みではなくなってくるはずです。
なんて、なんの話をしていたのでしょう、今回のつぶやきは……
なんとなくまきこさんの‘つぶやき’に影響されてしまったかな。でもわが子に向けていたはずのまなざしが、なぜかつながっていってしまうのがこのこども芸大のオフィスアワーです。
お母さんたちの背中の上を、あの笑顔で子どもたちが転がるためには、みんながつながっていないとできないことだったりします。ぜひぜひ何が見えてくるのか、様子をうかがってみましょう。ということで……
今回のお母さんたちが準備したものは、少しねらいというよりも『願い』という意味でなんだかあいまいだったのではないでしょうか。子どもたちに「こんな運動をしてほしい」、「こんな運動の感覚を楽しんでほしい」、「あんな運動ができるようになるために、こんなことをしてみてほしい」など、具体的な『願い』のないまま場づくりが終わってしまっていたのではないでしょうか。
ブランコを置いて、鉄棒を置いて、山をつくって、そしてシーソーを置いたり、砂場をつくったりしたら楽しい公園ができ上がります。きっと子どもたちは喜びます。
でもこのオフィスアワーは、『うんどう』の場をつくります。子どもが喜ぶではなく、子どもたちが運動の感覚を楽しむことをねらいとして、そしてさらに新しい運動感覚との出会うことでさらに運動が楽しくなることが願いであり、そこに立ち会うお母さんたちと子どもたちがその喜びを共有することをテーマとしています。
子どもたちはこのオフィスアワーに喜んできてくれるようになりました。運動する力も育ってきました。工夫をする志向性も育ってきました。
ですからそろそろお母さんたちもここで考え方に工夫をしていかないと、子どもたちの育ちを応援できなくなってしまいます。またお母さんたちを悩ませてしまうことになりますが、ここで考えることをするのか、このまま楽しいだけのままにしておくのかで、せっかくここまで来たお母さんたちの取り組みを深めていくことができるかどうかに大きく影響をします。ぜひここでチャレンジして、子どもたちと一緒に楽しい『うんどう』の世界を展開していきましょう。
いつでも私にとってこのワークショップの始まりの風景はこんな感じなのです。この春にこども芸大を卒業した子どもたちがほし組のときの情景と同じことが、今ここにもあります。変わらないこの情景が、このオフィスアワーでつくられたひとつの宝物だと思っています。
つぶやきカルテ2010(7月 1日)
少しブログアップが遅れてしまいました。
体育運動学演習のレポート指導期間に入ったのと、先週の金曜日は主宰するフリック体操クラブの練習がイレギュラーで入ってきたため手をつけることができませんでした。
さらに追い打ちをかけるように気がつけば
←って感じで、カゼをひいていました。
こども芸大でも「手足口病」が流行ったりしているようですね。
「手足口病」というと思いだしますが、私がまだ20代半ばのころ、当時指導に行っていた「モンテッソーリ子どもの家」でのことです。なぜか子どもの病気だと思っていたら移ってしまった私でしたが、とにかく手のひらが痛くコップが持てません。それで大学のそばの病院に行ったのですが、待合室でしばらく待っていたら「やながわいくおく〜ん♡」と呼ぶ声が、その方向を見てみると看護師さんが明らかにその視線の先で子どもを探しています。「あ、あの、僕なんです」と申し訳なく返事をしたことが、懐かしく思われます(笑)
ということで7月 1日の「つぶやきカルテ」です。
1.どんなことをしていましたか(子)
フープを置いてケンケンパです。
前回もやった後方へのブリッジ返しです。
後方へ回る感覚・逆さになった自分の体位を感じとる感覚・肘を張って支える感覚など、さまざまな感覚があるから意外と子どもたちは何度も繰り返してくれるのかもしれませんね。
走っていってとびのるマットですが、前回同様こんなふうに前転する子どもも出現しはじめました。
ここもとびのるマットですネ。
そしてここは柳川がちょっと組み替えて、踏み切り板を使ったジャンプの後に、開脚跳びを意識したデバイスを設置しました。「トン。トン。手ーッ。パッ。」て感じでやると、開脚跳びの運動メロディーが生まれてくるかな?ということを試してみました。
鉄棒もありました。
のっかって前転をする。ぶら下がって自分なりの運動をする。子どもたちそれぞれが自分で運動を選んで行っています。
こんな鉄棒もありました。
そして定番のこんな跳び箱も。
ここでお母さんたちが願う運動を子どもたちがしだすのはまだ先かもしれませんが、少しずつ少しずつ伝わってくると思います。そう今すぐでなくていいんです。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
このオフィスアワーを立ち上げた時にまず一番苦労したことは、いかにお母さんたちを子どもたちの「うんどう」のそばに連れてくるかでした。
子どもたちにどんな運動をさせるかではなく、体育館の壁から離れてこないお母さんたちのまなざしを、どう変えていくのかが大きな課題でした。だから柳川はつぶやき始めたのです。
そして今回は、
こんなことがきっかけになったのか、
こんなふうにお母さんも運動を体験したからなのか、
とってもとっても親子の距離感が近かったように感じました。
どんどん優しくなるお母さんたちのまなざしのもとで運動する子どもたちは、
安心して運動に取り組むことができたのではないでしょうか。
お母さんのまなざしを感じながら運動をすることで、
なんだかその場にいた人にしか伝わらないような、すごーく主観的なもののとらえ方のようですが、「うんどう」の世界はそれでいいと思っています。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
ここは「運動教室」ではないので、今日はあれができた、今日はなにを何回やった、なんて目に見える客観的な変化が毎回見られるわけではありません。
でも、少しずつ少しずつ「運動」をするっていうことの意味を知ると、「運動」に意識を向けて工夫をすることも分かってきます。
4.次回のオフィスアワーに向けて
すると、やってみたい運動が見つかってきたり、新しい魅力的な運動に気づいたりすることもできるのではないでしょうか。
だから自然と子どもたちは夢中で運動に取り組み、「あれをしなさい」、「これに挑戦しなさい」ではなく、自ら運動に取り組んでいく姿勢へと変化しているのではないでしょうか。
そんなことで今回登場した倒立(逆立ち)は、次回からどう展開させていくか楽しみですネ。
それからオフィスアワーのあとで学生とチャレンジしたバク転も、子どもたちの目にしっかりと写りました。こちらも続けて取り組んでいくのか、様子を見ていきたいと思っています。
お母さんたちも、子どもたちのリクエストをさりげなく聞いておいてください。
先週は突然休講にさせていただき申し訳ありませんでした。おかげさまで中体連の大会も無事開催することができ、指導している子どもたち5人全員が、県大会へ出場できることになりました。義務教育という現場で催している大会なので、さまざまな配慮が必要なのですが、まずは子どもたちにとって意味のある大会になったのでホッとしているところです。
さて今回の『うんどうのオフィスアワー』は、どうだったでしょう。
その様子は、画像無しでおとどけします。
つぶやきカルテ2010(6月24日)
1.どんなことをしていましたか(子)
お母さんたちとバドミントンをする子どもたちがたくさんいました。
コースは、まずジャンプするためのデバイスがつくられていました。踏み切り板を4枚連ねて、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプとすることでつま先までピ〜ンと伸びたジャンプができたらな、というお母さんの願いのコースです。
それから鉄棒が置かれていましたネ。その先には、支えてふわっとおしりが浮く感覚を生みだしながら、側転につないでいきたいと願うデバイスが登場しました。この一回で終わらないで、ぜひ続けていってみてください。そうすればきっと……
そして「滑り台」という子どもたちのリクエストにこたえようと、お母さんたちは一生懸命工夫をしてつくろうとしていましたが、別のものになりました。高〜くジャンプして、跳びこえて、飛び石になったようなところを越えていくと鉄棒がありました。ジャ〜ンプした後のちょっと誇らしげな顔、見ていて楽しかったです。
それから走っていって高いマットの上に跳び込んで前転するデバイスもありました。「できそう」だったことが、「できた」時に見つかる発見の喜びが、子どもたちの中にあったのではないでしょうか。
そんなさまざまな願いのこもったデバイスが、それぞれ縦に配置され、子どもたちはそれぞれのデバイスの運動を思い思いにやりこんでいました。このやりこむということ、つまり頭と体が納得するまでくりかえし、理解するということはとても大事だと思います。
それからみらいちゃんから「わたし逆上がりを頑張りたいの」という願いを伝えてもらったので、ちょっとだけヒントになるような運動をして、ちょっとだけ鉄棒でやってみました。
本当は私は逆上がりを教えるのが得意で(っていうのも変な言い方ですが)、テレビチャンピオン(東京12チャンネル)の「逆上がり教え王」でもあったら出たいぐらいなのです(笑)。けれども、なんだか低鉄棒がまるで逆上がりをするための道具になってしまうのがいやなのと、逆上がりだけができることよりも、いろんなことができるようになっていたら逆上がりもできるようになっていたという運動の広げ方をしたいと考えているので、なんだか素直に教えなかったりします。でも逆上がりができた時の「あの感じ」は、伝えてあげたいと思っていますので、あせらずあせらず、少しずつ少しずつやっていきたいと思います。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
お母さんたちは、ずいぶん積極的に子どもたちの感覚のことを考え、私にもいろいろと質問や、相談をしてくれました。
実は先日(6月23日(水)の母親講座が終わった時に、遠藤さんから「意見交換は出来ましたか?」と聞かれました。それでハッと気づいたんですよね。いつも「何かあったら言ってくださいネ」、「現場で、ライブで、生で、今ここで伝えてくださいネ」と言っておきながら、けっこうこっちばっかり一方的に伝えていて、聞く態勢がなっていなかったな……と。まるで自分の奥さんから「ちゃんと子どもの言いたいことを聞いてあげたの」と言われてしまったお父さんのような気分でした(笑)。
そこで今回は、まずカメラ撮りを休みにしました。するとどんどんお母さんたちに近づいていけるし、話しかけてもらえるし、子どもたちのうんどうの様子や、デバイスの様子がたくさんたくさん見えてきます。子どもたちだっていろいろと話しかけてきてくれます。「あ〜、やっぱりこれだあ」と思ってしまいました。
でも、このオフィスアワーでやっていることを記録に残し、みんなに伝えていくためには画像も必要だし、でもそうすると生で伝えたい感覚がうまく伝わり合えなかったりするし、自分がもう一人いればなあって感じです。
そのへんの解決策も、少しずつお母さんたちに相談にのってもらおうと思っています。よろしくお願いしますネ。
しかし、まなざしカルテがそれをフォローしてくれます。お母さんたちの思いをここで聞くことができるし、このブログを通して伝えることもできると思っています。
ということで……
じゅんこ(わ)さん、「難しく感じて手がでませんでした。」というコメント、それが感じることの第1歩かもしれません。運動の世界においても「できそうな気がしない」「なんかおかしい」というのも、何かを感じ始めた兆しとして考えています。
そして、かなこさんのように試行錯誤がはじまるのではないでしょうか。するとなにかを見つけようとする観察の視点が具体化してきて、子どもたちの動く姿の中からもっと遠くへ跳ぶために腕が振られていることや、蹴りきった時の足先が伸びていること、それから子どもたちはとてもいい顔をしていること、そしてさらにはみんなが必ず笑っていることなどを発見できるんですネ。
そして達人の域に近づいてくると、というよりお母さんとしてのまなざしがあると、かずよさんのように「後ろ姿にやりとげた思いが漂っていた」なんてことが見えてきてしまうんですネ。きっとこれが『愛のまなざし』なのではないでしょうか。
それから、まさよさんが「テンポをつくっては……」なんてコメントしてくれています。これも子どもの運動感覚に近づいてきた感じがしますね。実際に側転をして感じてみたりすること、つまり感覚を体験するということを通して見えてきたこともあるのではないでしょうか。
いずみさんの踏み切り板でジャンプ前転をしたときに、「「フワッ」と体が浮いた後に柔らかいマットにに身体が受け止められる「抱っこ」されるような気持ち良さがありました。」なんてコメントもやはりそうですよネ。(動感志向体験のような)感覚の体験が、子どもたちの運動感覚を理解するときにすごく大切なものになっているはずです。そうするとこの運動を「ポンクリン」と名付けたかんなちゃんの感覚にすごく共感できるのではないでしょうか。これは今回の大発見です。
そしてそして、みきさんのように、「足を地面に下ろす時の感覚が思ったより“ふんわり”できて気持ち良かった」みたいに、運動がうまく行われた時の心地よさを受け止められるようになってくると、子どもたちに伝えたいことも見つかってきたりします。ぜひ、いろいろ試してみましょう。
だからといってすべてのお母さんたちに、感覚の体験をと強制するものではありません。それができないお母さんは、目からビームがでるくらいわが子にまなざしを向けておいてください。きっとそれが伝わりますから。自分に感覚がなくても、子どもを通して想像していくと見えてくることもあります。だから私は、自分のできない技も体操選手の子どもたちに教えることができています。じっくりじっくりその子(選手)の感覚と付き合っていくことで、つながり合ってくるのです。
その時のお母さんのコンディション、それから子どもたちのコンディションに合わせてやっていきましょう。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
前回の母親講座等を経て、またたいよう組の子どもたちは「うんどうの日」を体験して、だいち組の子どもたちは「芸術と子ども」の創発のカリキュラムに刺激を受けたりしながらまた少しずつ変化があることでしょう。
今すぐに結果を求めず、長い長い目で見守りましょう。
そして“ポンクリン”のような運動感覚の現われに子どもたちがどんどん気づいてくれると嬉しいですネ。これが運動形成の五位相でいう図式化(形態化)位相の「身体化」への第一歩だと思います。自分の運動のやり方は「こんな感じだよ」ということに気づいたのですから。
4.次回のオフィスアワーに向けて
みきさんが、親も何かに挑戦してきれいにスッとできるのを体験してみたい。なんて意見がありました。この伝える側の動感志向体験というのは本当に重要な意味をもつものですから、ぜひそんなのもやってみたいですね。きっと子どもたちがいる時間だとなかなか集中してできませんから、秘密練習をしてあるときに発表なんていうのもちょっと面白いかもしれませんネ。そんな希望があれば、考えていきましょう……(年齢と体力を考慮しつつ)。
(画像がない分長々とした文章になりました。や、やばい(汗)と思いつつも、止められませんでした。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます)
つぶやきカルテ2010(6月10日)
今回の「うんどうのオフィスアワー」は、だいち組の子どもたちが喜んで参加してくれるよう「お母さんの手料理作戦」を展開してみました。
それによってたくさんの笑顔が生まれたのですが・・・・・・
1.どんなことをしていましたか(子)
こんなデバイスが準備され、今までなかった感覚の出現を子どもたちは楽しんでいました。これは鉄棒のスウィングと同じ感覚で、少しずつ自分のからだを大きく揺れにまかせる感覚が生まれてくるのだと思います。
今回のデバイスの目玉となりました。お母さん自身がデバイスとなる。そうすると自然と子どもたちが集まってきて、うんどうがはじまります。
ほかにも平均台渡り
大きなジャンプ台
ボールアタック?など
いつもよりちょっとダイナミックにつくられたコースに、だいち組の子どもたちが帰ってきたというような感じでした。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
今回は、とにかくだいち組のお母さんたちが積極的にコースづくりを進めてくれました。
すると子どもたちは、つくっているそばから群がってきます。
「何ができるんだろう?」という感じで
もう待ちきれないんですね。
やっぱりお母さんたちがつくってくれたコースには、なにか特別な思いがあるのでしょうね。
そしてお母さんたちの楽しさも、子どもたちの楽しさと同調すると・・・・・・とても楽しい世界ができてきました。
なんとなく他人のからだと触れ合うことで、自分のからだの感覚が感じられたりしたのではないでしょうか。残念ながら柳川はそこにまざることはできなかったのですが(笑)
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
だいぶ楽しいデバイスができてきました。「どんなものを子どもたちが喜ぶのか」ということがお母さんたちに見えてきたからだと思います。
しかし楽しいということに安心してしまうと、ここから先へ進んでいけません。この「うんどう」の場が、遊園地になってしまうからです。まず遊園地のような楽しさをつくる。そしてそこに「うんどう」というものの意味をつくっていく。そんな次の段階へ進む時が近づいてきたな(ワクワク)と思っています。
また少しお母さんたちの頭を悩ませることになるかもしれませんが、おつき合いのほどよろしくお願いします。
4.次回のオフィスアワーに向けて
今回のオフィスアワーの盛り上がりの中で、いろいろと気をつけなければならないことが見えてきました。お母さんたちの中からも、気になるところが感じられるようになってきたと思います。
たくさんの人たちが体育館にきてくれるようになって、そのへんの事を少し曖昧にしていたことに対して、正直心折れている状態です。
なので、次回のオフィスアワーの開始の時に、きちんとお母さんたちと心を一つに合わせたいと思います。お母さんたちも、私も、そして子どもたちも、楽しい場をつくろうと思っているはずです。みんなが安心してうんどうをできる場にするために、よろしくお願いします。
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