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アート&デザインによるビジュアル的なアプローチがいかに有効かを実際の映像を使って解説。アーティストの辛辣な意見に会場が息をのむ場面や、若い世代の発想力にアーティストが驚く場面もありました。

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第3 回世界アーティストサミット

「アーティストは世界を変えられるか?」
大きなテーマに、それぞれの目線、感性で提案しました。

〈第3回世界アーティストサミット〉は、高校生や大学生が登場する場面が増えたこともあり、より親しみやすいプログラムとなったようです。特に、開催1日目は世界的に活躍するアーティストに続いて、高校生と大学生がプレゼンテーションを行い、さらに同じメンバーが一堂に会してディスカッションを展開するという興味深いプログラム構成となりました。前半のプレゼンテーションと後半のディスカッションをリンクさせながら、特に反響の大きかった話題や意見をダイジェストにしてみました。みなさんの心に響く提案はどれでしょうか。

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ハーヴェイ・ボータース/ファッションデザイナー(オランダ)ベルギー在住

ハーヴェイ氏は、ワークショップとして学生たちに衣服を使って自分の感情や考えていることを明らかにさせるハーヴェイ・アーミー服をつくりました。自分の体をキャンバスに衣服を媒体として感情を表現し、さまざまな紛争の原因、その根底にあるものは何かを理解しようとしたのです。さらに、このアーミー服は、一般の人にもアートを利用し楽しんでもらうための、歩く、生きた、自由なギャラリーでもあるのです。衣服は美しいだけの存在ではなく、身につけることで一般の人にも広く意思を伝えることができます。世界平和のためにメッセージを発信し続けるアーミー服。次回はより多くの参加をと呼びかけていました。

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上田麻希/香りをメディアとしたアーティスト(日本)オランダ在住

今回のアーティストの中で唯一の日本人である上原さんは、現在、オランダを拠点に活躍する、匂いをメディアや素材として使って表現するアーティスト。ギャラリーには、オランダから持参したオランダの匂いと日本の社会が期待する女性像という2つの作品を展示。さらに、味噌汁の蒸留で匂いだけを抽出する体験やアロマスケープと題して京都の地図から匂いをイメージするなどのワークショップを実施しました。世界各地の匂いを嗅いでイマジネーションを広げれば、国や人種は違っても共有感覚が生まれるに違いないと、匂いの持つパワーに注目しています。ディスカッションでは、学生たちの発表の完成度が高いと絶賛。その年頃に抱く問題意識はとても貴重なものだから大切にするようにとアドバイスを送りました。

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マルジェット・ウェッセルス・ボア/プロダクトデザイナー(オランダ)

京都でのアーティスト・イン・レジデンス。たった2週間の滞在で何ができるだろうと最初は戸惑ったというマジェットさん。まずは気づきが重要と考え、参加を決断。都市部では隣人を理解しないことで深刻な事態が起こっているという点に着目し、表札も植物もなく、個人を示す気配すらない集合住宅のドアにそこに住む人の個性をデザインすることで何かを変えようと考えました。住民に名前や好きな色、出身地などを尋ねるアンケートを実施。その回答からイメージに合ったドアに仕上げました。このプロジェクトを機に、住民間にはあいさつを交わす程度の交流は生まれたのではないでしょうか。デザインのかわいらしさもあって、印象に残った提案として高校生から支持を集めていました。

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若浦友紀さん、隈本里紗、野口恵利香/九州産業大学付属九州高等学校

九州産業大学付属九州高等学校の3人は、故人の思い出をデジタルデータとして収めた新しい位牌をプレゼンテーション。高校生らしい元気さと高校生らしからぬ舞台度胸で見事にデザセン1位の貫禄を見せつけてくれました。故人の魂が宿る位牌という繊細なテーマながら、とても快活で、それでいて故人への敬意や故人を思う気持ちを大切にした内容に好感が持たれました。思い出をデジタルデータ化することで、いつでも見られる、いつまでも色褪せない、しかも本家と分家で思い出を共有できると至れり尽くせりを強調。お位牌をUSBとしてパソコンに繋ぐ場面では大きな笑いが起こるなど、終始、会場の反応は上々でした。

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斉藤美香/東北芸術工科大学 洋画コース2年

芸工大からスチューデント・アーティストとしてステージに立った斉藤さんは、ろう者のためのコミュニケーションツール「マインドカード」をプレゼンテーション。ろう者のコミュニケーションは視覚に頼ることが大きいにもかかわらず、貧困社会の子どもたちは生きていく上で必要な基本的な読み書きさえ学べないという問題が……。そこで、斉藤さんが考えたのが絵と言葉が一体になったマインドカードです。会話のきっかけとなる心の言葉を贈りたいという斉藤さんの心あたたまる提案がディスカッションでも話題となり、アーティストの一人から「私の国にもマインドカードがほしいですね」との声も聞かれました。

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鬼頭 祈/京都造形芸術大学 日本画コース1年

日本画というとおとなしい、静かなイメージで捉えられがち、そこから覆したかったと、プレゼンテーションに水着姿で登場したのは鬼頭さん。一週間家に引きこもり、瞑想のような形で、ひたすら描き続けて200ページにも及ぶ漫画を描き上げたといいます。なぜ、漫画かというと、文化や宗教に対して寛容な日本だからこそ発達し得た漫画こそが平和のキーワードと感じたから。そして、漫画を大衆社会の中のドローイングとして育った「日本画」として捉えているからと言います。作品の一部を披露しながら独特の世界観を静かな口調で語りました。常識では太刀打ちできない世界の問題に対してのアーティストとしての切り込み方や存在意義を強く意識しているようです。

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