山形DCによる駅施設の活性化に協力
赤湯駅、山形駅の待合室をリニューアルしました。

6月14日から9月13日にかけ、大型観光キャンペーン「山形デスティネーションキャンペーン(山形DC)」が開催されます。山形を訪れる観光客が、山形の美しさに出会い、心も体も癒されるように「住んでよし、訪れてよし」の地域づくりに県をあげて取り組んでいます。その一環として、山形新幹線つばさが停車する赤湯駅、山形駅の待合室がリニューアルしました。手がけたのは建築・環境デザイン学科です。

少し殺風景な印象だった山形駅の待合室は、山形県産杉を全面に使ったあたたかみのある空間へと大変身。県内企業である天童木工の椅子や穂積繊維のクッションなどを採用し、山形のものづくりに直接触れられる空間を創り出しました。また、それまで別の場所にあった観光案内所と旅行店舗を、土産物屋店舗、駅弁売店と同じスペース内に集合し、初めて山形を訪れた人にも利用しやすい配置にしました。改修にあたり、パース作成を担当した大学院2年生の石母田諭さんは「待合室にいるだけで山形を知ることができる空間になっています。県産杉のぬくもりある雰囲気の中、少しの時間でもリラックスしてもらえたら嬉しいですね」と、語っています。パース作成において、クライアントとのやりとりの多さ、伝わりやすい表現の仕方などに苦心したという石母田さん。少しでも良いものができれば、との想いで完成へと漕ぎ着けました。「手をかけるほど良くなっていく、とてもやりがいのある仕事でした。先日、新しい待合室を写真に撮っている人を見かけたとき、改めて、いい風景だなぁと思いました。壁際に設置した1人用のカウンターと椅子も、くつろいだ様子で利用されていましたね」と、山形の新たな玄関口づくりに携わった喜びをにじませました。

建築・環境デザイン学科4年生が手がけた赤湯駅の待合室は、県産杉の合板を使用したボックス型の家具、240個を配置した自由度の高い空間になりました。レゴブロックのようにスタッキング可能なボックスを使ってレイアウトするアイデアは依田聡太さんによるもの。看板やポスターが遮っていた視界を開放し、待合室に居ながらホームに到着する新幹線を見ることができるようにしました。「これだけ多くの製作をする経験はなかったので、最初は慣れませんでしたが次第にみんなで協力して効率よく出来るようになりました。クオリティを保ちきちんと納品できて良かったです」と、感想を語る依田さん。三浦昌さんは「授業では、これだけシビアに予算と向き合って作ることはないので、いい経験になりました。ボックス上部にクッションをはめてベンチにするなど、いろいろな形で活用できるようにしています」と、工夫した点を教えてくれました。公開セレモニーの参加なども新鮮な体験だったという安田拓真さんは、「現在はディスプレイの改善に取り組んでいます。これからの使い方が大事なので、どんどんアイデアを出していきたいです」と、決意を伝えました。今回の製作で、地域の職人や観光協会との連携を意識したというのは永田光司さん。「佐藤工芸さんが施したNC加工で、ボックスがピタッと接続する技術力の高さに驚きました。観光協会の方の熱意も伝わり、僕たち学生は設計をした側に立つだけでなく、街や人とつながり関わっていく大事さを感じました」。吉田百合絵さんは、「赤湯駅の設計が鈴木エドワードさんによるものだということや、職人さんの手をかけた仕事ぶりについて私は知りませんでした。4年間山形にいて馴染んだつもりでしたが、まだまだだということを今回のものづくりを通して知ることができました」と、学びの成果を語りました。

南陽市観光協会の須藤孝一さんは「アクリルの透明版を乗せて特産品を飾ったり、手作りの座布団を敷いてくつろげるようにしたり、使い方を変化させていけるのがいいですね」と、学生の発想を評価。今後は地域と連携を図り、様々な仕組みを充実させていくそうです。「例えばワインや地酒のテイスティングができる木製のカウンターを作って、窓からその雰囲気を覗き見た新幹線の乗客が、赤湯駅で降りてみようかな、と思うような駅にしていきたいですね」と語り、今回のリニューアルをステップに発展させていく考えを示しました。

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