アートプロジェクト「I'm here.」。この夏、仙台で2つの個性が開花する。
卒業生の中から将来の活躍が期待される若手アーティストに発表の場を提供していくアートプロジェクト『I'm here.』。4回目となる今回の展覧会は、夏は仙台、秋は山形、冬は東京と、3つの街のギャラリーでシリーズ展開され、その口火を切る仙台展に抜擢されたのがこの2人です。洋画コース卒業のナガバサヨさんとグラフィックデザインを専攻する大学院生・望月梨絵さんが、『ピクニクス・ドローイング』と題して杜の都・仙台で2週間の展覧会を開催します。会場は、ギャラリーカフェ「ピクニカ+エノマ」と、ギャラリー「リブリッジ・エディット」で、ともにオーナーは芸工大の卒業生。仙台におけるアートシーンをリードする木村良、山崎環両氏が後輩たちの成長を強力にバックアップしてくれるというわけです。
「リブリッジ・エディット」で展覧会を行う望月さんは、今回のギャラリーが寝泊まりできる会場ということもあり、とてもワクワクしているようです。会期中、日中は受付としてお客さまの応対をし、夜はそのままギャラリーで制作活動に入り、仙台でしか描けない作品を描こうという計画。仙台での出来たての作品と山形で描きためたもの、そしてBOOKの3点を観てもらいたいと考えています。
これまではあまり展示の経験もなく、観た人がどう感じるかを意識してこなかったという望月さん。この機会にいろんな人の声に耳を傾けてみたいとも。だからといって決して媚びることなく、2週間の滞在で好きなことを好きなだけやりきりたいとキッパリ。「媚びることなく自由に好きに描いてます」、そんな楽しそうな光景を見てもらうことが後輩の学生へのメッセージでもあるのだそうです。
一方、「ピクニカ+エノマ」で展覧会を行うナガバサヨさんは、キャンバスやパネル、額装を好まないという個性派アーティスト。スケッチブックなどの薄い紙に思いのままに描き、壁に展示する予定で、観る人にも楽に観て欲しいのだとか。学生時代は先生の言うことや、他の学生がすることを意識しすぎて、吸収する一方で上手くはき出せなかったと自己分析するナガバさん。卒業後は、誰を意識することもなく自由に楽しく、これまで吸収したことを一気にはき出しているように描いているそう。ナガバさん自身が学生時代に『I'm here.』で先輩の作品を見るのを楽しみにしていたように、『I'm here.』は後輩学生たちへのメッセージでもあります。ナガバさんは、この展覧会を通して自分が楽しく描き続けていると伝えることで、もし卒業後への不安を抱いている人が居るとしたら、「大丈夫」と勇気づけてあげたいと語ります。
I'm here. vol.1|仙台展
[ピクニクス・ドローイング]
望月梨絵+ナガバサヨ
会期:7月21日(月)〜8月3日 (日)
会場:Picnica+Enoma/re:bridge edit
主催:東北芸術工科大学(卒業生支援センター)
協賛:東北芸術工科大学校友会/卒業生後援会
キュレイター:宮本武典(美術館大学構想室)
WEB:www.tuad.ac.jp/museum