全国高等学校デザイン選手権大会
山形県内では唯一、決勝大会に進出した東根工業高等学校。そのOGで美術科洋画コース4年の矢口聖奈さんが訪れたのは、公開プレゼンテーション(10月26日)をおよそ1カ月後に控えた9月下旬。矢口さんは偶然にも同じクラスで今年の6月に教育実習を行っており、決勝進出チームの高島さん、木村さん、井上さんとはもう顔なじみ。教育実習のときは、ちょうどデザイン選手権大会に向けてチーム分けやテーマの設定などに取りかかったばかりで、その後の後輩たちの動向を気にしていたそうです。矢口さんは、自身も高校時代にデザイン選手権大会に出場した経験があり、現在は大会をサポートする学生スタッフでもあります。後輩たちが決勝進出を決めたことを知り、激励とアドバイスを送りたいと訪れました。
放課後の教室で矢口さんを待っていたのは、指導教諭の長澤先生と決勝進出チームの3名。挨拶が終ると、さっそく、提案パネルを見ながら公開プレゼンテーションに向けての話し合いが始まります。今回、3人が選んだテーマは「あ・る・く」。友達と話しをしながら歩くのは楽しいけれど、普段はけっこう面倒で退屈にも感じる「歩く」という行為を、もっと楽しいものにしたいという発想。テーマはスムーズに決まったものの、その展開方法がなかなか決まらなかったといいます。
。当初は、歩き方そのものを楽しくしようとあれこれ考えたのですが、結局行き詰まり、道路などの歩く環境の方に視点を変更。具体的なものとして、1:道路の路面にあみだくじが書かれている「あみだ道」、2:歩くほどにトクをするシステムを道路に仕掛けた「ウォークーポン」の2つを提案。3人は一次審査を通過するため、デザイン工学科の強みを生かして編集ソフトを使いこなし、起・承・転・結、シンプルでわかりやすい4枚のパネルに仕上げました。
デザイン工学科のある東根工業高校は、芸工大と開学当初から関わりが深く、芸工大に進学する生徒も少なくありません。デザイン選手権大会にも第1回から連続参加していますが、まだ優勝経験はなく、最高記録は2位。最初は決勝大会進出すら想定外だったという3人も、すっかり気合いが入り「優勝狙います」と宣言。今年こそ悲願の優勝を狙いたいと、公開プレゼンテーションに向けての秘策を練り始めています。
矢口先輩は、「15回大会という節目の年にもあたり、選考基準も一部新しくなっています。より高校生らしい提案ということがポイントになると思いますよ。」とアドバイス。さらに、長澤先生も「近年の重厚なテーマから一転、うちのチームのような高校生らしい明るくて楽しいテーマで優勝して、デザ選に新しい流れを作りたいですね。」を期待と自信をのぞかせていました。高島さんたち自身もあまり立派になりすぎない、高校生らしい発表にしたいと抱負を語ってくれていましたから、26日の公開プレゼンテーションが楽しみです。興味のある方は是非、会場に足を運んで「あ・る・く」チームを応援してあげてください。
『全国高等学校デザイン選手権 決勝大会』
会期:10月26日(日)12:30-17:00(開場12:00)
会場:東北芸術工科大学201講義室(入場無料)
http://www.tuad.ac.jp/hidechamp/