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会場いっぱいに運び込まれた茅。見上げる先にあるのは「山村スピーカー」、廃屋の廃材でつくられた小屋があります。この会場に入った茅葺き職人・奥村さんの第一声は「いいにおい」。いつもの茅葺きの現場とはシチュエーションが違ってとても新鮮だったようです。

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日常の中の芸工大
アートプロジェクト「I'm here.」東京展間もなく開催

廃村・廃校・廃屋での芸術行為の総括として
山形市内のギャラリーに大蔵村の空気感を再現。

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思い出の廃材を手に、実験跡地の主なメンバーたち。写真、後から黒田良行さん、阿部亮平さん、小玉大介さん、大宮かさねさん。

東北芸術工科大学を卒業し、将来の活躍が期待される若手アーティストを紹介するアートプロジェクト『I'm here.』。2008年度は、仙台、山形、東京でのシリーズ展として開催しています。昨年の秋に開催された山形展には、グループ「実験跡地」が登場。最上郡大蔵村の山間部で地域に密着したアートプロジェクトを展開してきたメンバーがこれまでの活動報告として作品展やインスタレーション、パフォーマンスを行いました。

「実験跡地」は、平成18年度に採択された現代GP(文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム)のひとつで、森繁哉教授が主宰するチュートリアル。2006年から大蔵村柳淵地区の分校跡を拠点に、雪下ろしや屋根の葺き替えなど、村仕事を手伝いながら芸術活動に取り組んできました。さらに翌年には、一歩踏み込んで既に廃村となった柳淵地区新村に分け入り、人々の生活の痕跡を採集して作品として甦らせるという試みにも挑戦。2007年度には旧南山小学校柳淵分校において「分教場の春̶実験跡地展覧会」を開催。それらの作品とそれまで行われてきたパフォーマンスや制作風景の写真、日記などを展示しました。

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雪の重みで倒壊してしまった小屋を、廃材を使って見事に再現。

今回の『I'm here.』は、OBで彫刻コース副手の黒田良行さんを代表として、洋画コース副手の阿部亮平さん、そして、OGで現代GP事務局の大宮かさねさん、映像コース3年の小玉大介さん等が中心となって企画運営。大蔵村での活動を山形市内諏訪町のギャラリー絵遊+蔵だいますで発表・展示しました。大蔵村を象徴するかのように会場に持ち込まれたのは大量の茅や葦。そして、その頭上には小さな小屋。かつて柳淵集落にあり、雪の重みで倒壊してしまった小屋をその廃材を利用し縮小サイズて忠実に再現したのです。『山村スピーカー』と名付けられたこの作品からは、集落の歴史について語っている村人の声が流れ、ギャラリーを訪れた人々はその声の出どころを追って小屋の存在に気づかされたのではないでしょうか。

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パロディ看板アート「コンビニもねぇ」。街中でよく見かける看板と思ってよく見ると・・・。

この「山村スピーカー」とは対照的な存在感を放っていたのは、看板アート『コンビニもねぇ』。だれもが知っているあのお店の看板と思いきや、微妙にはずした実はパロディ。コンビニすらない山間の地にあるはずもない店の看板が出現したらおもしろいのでは……。そんな発想から生まれたこれらの作品は実際に豪雪まっただ中の柳淵地区に設置され、その一部始終を地元の人々はとても不思議そうな表情で見つめていたそうです。

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上:「Human Portait」|中田朝乃 Asano Nakata 下:「風貌」|土ヶ端大介 Daisuke Tsuchigahata

そしてシリーズ最後となる東京展『森の発生/森の腐敗』では、山形で習得した日本画や漆芸の高い技術を駆使して、文明批評的な眼差しで人間と自然との関係をテーマに制作する3人のアーティストを紹介します。
「東北」に出会った若いクリエイターたちが、その地域固有の精神風土や、周辺の自然環境からの影響をどのように作品に内在化させていったのか? 都市中心に展開するアートシーンとは異なるルーツを持つ彼らの実験的作品にご期待ください。

I'm here. vol.3|東京展 [森の発生/森の腐敗]
中田朝乃 + 土ヶ端大介 + 古川紗帆

会期=2009年1月19日(月)〜31日(土)
会場=表参道画廊
主催=東北芸術工科大学(卒業生支援センター)
協賛=東北芸術工科大学校友会/卒業生後援会
企画=美術館大学構想室
キュレーター=宮本武典[美術館大学構想室主任学芸員]

http://www.tuad.ac.jp/museum/archive/0812_imhere03/index.html

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