画像(520x331)

生産デザイン学科の会場となった体育館で、荷台に人を乗せて自転車救急車を軽快に走らせる野口さん。

画像(520x75)

卒展プライズを受賞した『CYCLE Ambulance̶途上国を支援する為の移動体計画̶』

途上国の人々への優しいまなざしと着眼点が評価され、
「卒展プライズ」に輝いた不思議な乗り物。

画像(150x150)

2008年度生産デザイン学科卒業の野口剛さんは福岡県出身。九州男児らしい骨太な主義主張の持ち主。それを繊細なデザインセンスでカタチにしていました。

『CYCLE Ambulance̶途上国を支援する為の移動体計画̶』という作品は、病気やケガの人を荷台に載せて運べるように工夫された「自転車救急車」です。卒展期間中は、希望者を荷台に載せて上の写真のように会場内を走るパフォーマンスも行われました。実際、載ってみた人には大変喜ばれたということで、エンターテインメント性も兼ね備えた作品といえそうです。

この作品を発表した野口剛さん(生産デザイン学科)の発想の原点は、「アフリカ音楽」。その太鼓のリズムが好きで、自らも小・中・高校時代には和太鼓を叩いていたそうです。高校生の時に見た報道カメラマンによる途上国や戦争孤児の写真をきっかけに、自分が「アフリカ音楽」からもらった元気を何かのカタチでお返ししたいと考えるようになったのだといいます。戦禍や貧困、飢餓……、こうしたサバイバルを強いられている状態をデザインでユートピアにできないものかと。

今回の作品は、プロダクトデザイナーである野口さんが途上国の人々のためにできることの模索の第一歩。単に、モノを提供する支援ではなく、現地で現地にある材料で作り、利用し、修理する「地産地消地修型」提案という点にも現地への愛情が感じられます。この作品は、現地でも調達できる程度のモノを材料にという制約の中でデザインしたのだとか。

卒展会場となった体育館や芸工大キャンパスでは快適に走れたとしても、途上国の道路事情を考えると作りが華奢すぎるという指摘も審査員からはありました。もちろん、現地で実際に活用するためには改良の余地がたくさんあることは野口さんも十分に認識済み。その一方で、宮島副学長はウガンダでワークショップに取り組んでいることもあって、野口さんの途上国の人々に向けたまなざしの優しさを高く評価。野口さんの中にある優しさが卒展プライズ受賞の大きなポイントとなったようです。

「かっこいいもの」が好きでデザイナーを目指したという野口さん。生産デザイン学科(現 プロダクトデザイン学科)を卒業した今は、静岡の企業でバイクのデザインに取り組んでいます。仕事にも慣れ、実績も積み、いつの日か「"MOTOR-CYCLE"Ambulance」をデザイン・提案してくれる日がくるかもしれません。

RECOMEND

2014.12.16

名もなきものに光をあてた、山形文化の核心『ヤマノカタチノモノガタリ[地域文化遺産の保存と伝承…

表紙のアート

2014.09.10

「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」プレイベント「荒井良二 ライブ & ペインティング …

表紙のアート

2014.06.13

大学院洋画領域2年生の田中望さんがVOCA賞を受賞 力強い自然の流れと文化の集合を描いた「も…

表紙のアート

2014.01.15

g*g Vol.26 WINTER 2014:表紙のアート

表紙のアート

2013.07.15

g*g Vol.25 SUMMER 2013:表紙のアート

表紙のアート

2013.04.14

g*g Vol.24 SPRING 2013:表紙のアート

表紙のアート