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旅館時代の厨房を活かしたキッチンスペース。構造上、外すことのできなかった3本の柱の間にセットされたテーブルが印象的。この日は、教授も交えてのミーティング。「ミサワクラス」としての今後の取り組みなどが話し合われていました。

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日常の中の芸工大

中心商店街に芸工大生がやって来た。
暮らしの場、制作の場として、生まれ変わった元旅館。

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「ミサワクラス」誕生の発端は、「山形R不動産リミテッド」。これは、芸工大建築・環境デザイン学科の馬場正尊准教授が、制作ディレクターとして取り組んでいる「東京R不動産」の山形版で、東京R不動産の協力を得て運営しているもの。新しい視点で使われなくなった不動産の価値を見直し、利活用のプランを含めて紹介するプロジェクトです。実践的な教育の一環としての意味合いが強く、実際の不動産仲介は行っていません。中心市街地の建物に対する使い方やデザイン、およびライフスタイルを提案することが主な目的で、その第1弾として元旅館の再生に取り組んだのが、今回の写真に登場した建築「ミサワクラス」です。

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上は空き物件だった頃の廊下の様子。それが、改装工事と学生たちのDIYペンキ塗りによって見違えるような空間になりました。

馬場准教授の指導のもと「山形R不動産リミテッド」の中心人物として活動しているのが、大学院修士課程デザイン工学専攻環境デザイン領域1年の黒田良太さん。空き物件を求めて街中を歩き回り、七日町の真ん中に元旅館という面白い物件を発見。かつては中心街に住まうことがステータスだったにもかかわらず、郊外化が進んだ今では街中に暮らすという発想がすっかり薄れてしまっています。空洞化した中心商店街に本当の活気を取り戻すためには、店舗やテナントを増やすのではなく、そこに暮らすということが大切なのではないかと考えた黒田さんたちは、「街に住むことを復活させる」を提案。三沢旅館のオーナーの理解と賛同も得ることができ、リノベーション(再生)が実現したのです。改装工事は急ピッチで進められ、当初の予定通り今年4月にオープン。3月末から少しずつ引っ越しがはじまり、現在では11名の芸工大生および卒業生が生活・制作の場として活用しています。

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馬場教授の指導のもと、「ミサワクラス」のリノベーションに尽力した黒田良太さん。

この春、大学院修士課程芸術文化専攻洋画領域を修了した松山隼さんは、本格的な作家活動に入るための場所を探していたところ、「ミサワクラス」の紹介を受けて引っ越してきた一人。中心市街地に暮らすことの意義や役割にも理解を示し、「今のところここで制作活動をしているだけで、地域に対してはまだ何も始めていませんが、今後は様々なカタチで地域活動に参加していきたい。まず手始めに花笠まつりに参加することなども考えています。」と意欲をみせていました。

また、「ミサワクラス」の4階部分はギャラリーとして公開する計画で、現在その準備が進められています。芸工大では、将来の活躍が期待される卒業生若手アーティストを紹介するアートプロジェクト『I'm here.』を2005年から毎年開催していますが、その会場としても活用する予定です。

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今年、大学院を修了し、「ミサワクラス」をアトリエとして制作活動を行っている松山隼さん。

建築・環境デザイン学科の「山形R不動産リミテッド」が地域に飛び出して、中心商店街に誕生させた「ミサワクラス」。いま、ここに芸工大の学生や卒業生、教授が学部学科の枠を超えて集い、また新しい何かを生み出そうとしています。中心市街地に眠る空き物件の再生にとどまらず、芸工大ならではの幅広い発想力と機動力で次から次へと繋がるプロジェクト。また近々、「ミサワクラス」からのリポートをお伝えする日はそう遠くはないようです。

「山形R不動産リミテッド」には、一般の方からの相談も寄せられるようになっており、その一部はwebサイトでも紹介されています。そして、「ミサワクラス」に続く第2の物件への具体的な取り組みも既に始まっています。

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