大江町×コミュニティデザイン学科
「みんなでまちづくり交流会」
住民主体の町づくりに取り組んでいます

コミュニティデザイン学科は、店舗統合により空き家となった旧きらやか銀行の利活用を通して大江町のまちづくりを考える「みんなでまちづくり交流会」に取り組んでいます。中心となっているコミュニティデザイン学科の岡崎エミ准教授と学生たち、主体的に動いていくのは地域活性化を願う大江町住民の方々です。11月12日には大江町ふれあい会館にて、3回目となる「みんなでまちづくり交流会」を開催しました。

これまでのワークショップで町民自身が考え、意見を出し合って生まれた理想の大江町のビジョンは、「未来につながるまち」「自分たちで出来ることは自分たちでやるまち」「自分らしく生きられるまち」「多様なつながりを持つまち」「○○といえば大江!と言われるまち」の5つ。そしてそれらは“自分たちからはじめよう あなたが笑顔の発信地”という大きなビジョンに集約されるのでは、という提案が岡崎准教授よりなされました。今回のワークショップの目的は、これらのビジョンを見据え、旧きらやか銀行の使い方について具体的なアイデアを出し合うことです。ワークショップが始まる前に、学生たちは町内を散策。大江町の良さを再確認するように蔵のある町並みを写真に収めました。町を歩いていると、たいやき屋さんや床屋さんの前で店主に声をかけられるなど、街全体も学生を迎えている様子を窺い知ることができます。途中岡崎准教授や講演者の風間教司さん、町役場の方々と合流し、学生達と一緒に旧きらやか銀行の建物を下見しました。

交流会ではじめに講演したのはゲストの風間教司さん。風間さんは、栃木県鹿沼市の自宅を改装して始めたカフェをきっかけに、空き家や空き店舗を活用したチャレンジショップ事業などで町を活性化しています。自身が経営する日光珈琲で行った、空き家や古商家のセルフリノベーションの手法や、若者が主体となって文化・伝統などの地域資源の魅力を伝えることで集客に成功した文楽公演の実例などを話しました。風間さんは大江町について「景観が保全されていて街並も整っていますね。駅から市街地が近いのでコンパクトに周ることができ、商店街を歩けば、こんにちは、と声をかけてくれる里山の温かみがある。僕には大江町が宝の山に見えますし、ここで何かをやりたいという人は多くいると思います」と語り、ふるさとを活性化させたという参加者たちの想いをさらに熱くさせました。

講演が終わると、参加者たちは5つのビジョンの中で自分がやりたいと思うものを選び、グループごとにアイスブレイク。今回行ったのは「マシュマロチャレンジ」というもので、棒状のパスタを組み立てて頂上にマシュマロを乗せ、1番高さがあるグループが勝ちというゲームです。組み立てる際に使っていいのは使う長さが定められたマスキングテープのみ。机に固定することは禁止されているので、細く折れやすいパスタにマシュマロが乗るくらいの安定性と強度を持たせるのは難しく、各グループは様々なアイデアを出し合いながら和気あいあいと試行錯誤を繰り返しました。学生たちはグループに入り、ゲームの説明やアイデアが出しやすい雰囲気作りをしながら、参加者と交流を深めていました。司会進行の岡崎准教授は「マシュマロは結構重かったですよね。これは皆さんが取り組む課題です。その解決に取り組むために自由にアイデアを口にして試してみる。上手くいかなかったらそこからまた考えていくという、チームビルディングが出来たのではないでしょうか」と締めくくりました。

次はいよいよ、きらやか銀行の利活用法について具体的なアイデアを出す時間。それぞれのテーマ(5つのビジョン)に沿って課題を解決しながら大きなビジョンへ向かっていくアイデアを、1枚の付箋に1人1つずつ書き出していきます。各グループのテーブルにはファシリテーター(意見の調整役)として学生がつき、参加者から声を引き出しアイデアが広がるように声がけをしながら進行。考え込んでしまう参加者には「とにかく沢山書いていきましょう。質より量です!」と、笑いを誘いながら場を盛り上げたり、会話の中から思いつきを引き出したりしていました。集まった沢山の付箋は、キーワードごとに分類。参加者が発表しやすいようにまとめていきました。発表はグループの個性がうかがえる楽しいもので、一流のジャズが聴ける喫茶店、週末ごとに内装が変わるDIYチャレンジショップ、常に地域住民がいてまちの情報を得ることができるカフェなどのアイデアを全体で共有しました。次回の交流会までにこれらのアイデアの事例を調べて視点を広げ、誰がやるのか、どういう人を外から連れてくるのか、お金をどのように循環させるのかを考え、実現性を高めてくることを宿題として、第3回「みんなでまちづくり交流会」は終了しました。

コミュニティデザイン学科3年の村山夏渚さんは、大江町から車で10分くらいの距離にある中山町出身。中山町を活性化したいと思ってコミュニティデザイン学科に入学したといいます。「大江町の方々は温かくて、人通りの少ない商店街でも顔を見せれば、来たねぇ、と声をかけてくれます。実家が近くて親しみがある町ということもありますが、困っている人がいるのを知る度に現状をなんとかしたい、地域が盛り上がっていって欲しいという想いが強くなっています」という村山さん。きらやか銀行利活用については、町の人が望む形で何十年先も使い続けられるものができれば、と今後の意気込みを語りました。

ワークショップの前に行った商店街の町歩きで、地域の方が気さくに学生に声をかける姿を見て、地域が活気づいているのを感じたという大江町役場の櫻井さん。「住民と行政という立場だと“要望”という形が強く出てきがちなんです。学生が中間に入ることで、私たちが気づかなかった情報や素直な気持ちを語ってくれるようになりました。全国的な事例を知る機会があることもそうですが、これだけ多くの学生が大江町に入るということが、住民が主体的に取り組む町づくりにつながっていくように思います」。旧きらやか銀行利活用を軸に、周辺商店街を巻き込んだ町づくりに大きな期待が寄せられています。

 

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