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舞台装置として制作した敷物を芸工大のグラウンドに広げる坂内さんと松田さん。手にしているのはクッションです。

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テキスタイルコース院生と研究生による共同制作/「草」をテーマとした舞台装置

2人の持ち味、植物とドットがコラボして
家族舞踏団『南山座』の心地よい舞台空間を創り上げた。

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大学院工芸領域の坂内まゆ子さんと、美術科テキスタイルコース研究生の松田かやさんは、この夏、舞台装置の制作というカタチで大地の芸術祭〈越後妻有アートトリエンナーレ2009〉に参加できたことをとても素晴らしい体験として話してくれました。g*g11号の表紙を飾った家族舞踏団『南山座』の舞台装置の中で、路上に敷いて仮設舞台とする5m×5mの敷物と、ざっくり編まれた円錐形のカゴの中にトグロ状に敷き詰められたクッション、そして、カゴに飾り付けられた布が彼女たちの作品です。

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植物が大好きという研究生の松田かやさんは、今回は大蔵村で採取した草花や種のコラージュで本領発揮。越後妻有にも足を運び、現 場の臨場感を楽しんできました。

彼女たちにこのような機会が与えられたのは、東北文化研究センター研究員でもある舞踏家の森繁哉さん率いる『南山座』の越後妻有での舞台装置とフライヤーのディレクションを担当した、本学の宮本学芸員のアイデアによるもの。大蔵村にある森先生の「すすきのシアター」を数回訪れ、稽古を見せてもらい、相談の末に「草」をキーコンセプトに決め、宮本学芸員は、卒業制作展で見て印象的だった坂内さんのドット柄と松田さんの植物のモチーフで何かできるのではないかと考えたのです。それぞれ大学院生と研究生として大学に残っていた二人は、宮本学芸員からの申し出を快諾。1カ月ほどの短い制作期間の中で、モチーフを決め、パターンを起こして敷物やクッションを仕上げていったのでした。

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自分たちの作品であり、森先生の舞踏という作品の一部ともなる舞台装置。舞踏家本人、舞台監督、制作者2名、その4人の総意がないと進められない大変さ、もどかしさも体験しました。越後妻有に出向いて舞台装置の設営にも協力しました。舞台といっても、彼女たちが作った敷物を敷くだけの仮設舞台。場所を転々として、その度に、その場所の植物を摘んではカゴなどに飾って地元との一体感を演出しました。

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大学院工芸領域の坂内まゆ子さん。草花やその種をドットで表現し、敷物やクッションのモチーフに。空間演出への関心が高く、今回の経験を今後に繋げたいと考えています。

舞台装置の1つとしてクッションを作ったのは、森先生と一緒に踊る子どもたちへの心づかい。舞台上が子どもたちにとって少しでも居心地のよい場所であってほしいとの思いが込められています。実際に子どもたちがクッションをフルに活かしている様子を目にしたときはとてもうれしかったそう。自分が作ったものがさまざまな場所で何かと融合する面白さ、越後妻有アートトリエンナーレのような大きな舞台でいろんな人に見てもらえた喜び、2人にとってはとても得るものの多い夏となったようです。

もともとは絵を描くことが好きだったものの、平面にとらわれず空間を演出してみたい工芸領域を選んだ坂内さん。卒業制作では、とても気になるモチーフとしてドットを扱ったそうですが、今は柿渋とテクスチャーの面白さに傾倒しているのだとか。一方の松田さんは、以前から着物や染め物に興味があって自然の流れでテキスタイルの分野へ。デザイン的なモチーフとしての植物が好きなだけでなく、草木染めも大好きと目を輝かせます。

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越後妻有で舞台の設営に協力している様子。さまざまな場所を転々とする公演で、その都度、その場所で草花を摘んで飾り付けを行いました。

今回は、舞台装置づくりに挑戦することができた2人。互いの持ち味を融合させることで新しい表現が生まれたようですが反省点もいろいろ。この経験を活かしてもっとやってみたい、そんな意欲をみせていました。空間演出と捉えると多方面でのコラボレーションが考えられるテキスタイル。2人の感性の次なる活躍の場はどんなシーンとなるのでしょうか。

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