東北復興支援機構 | TRSO

キッズアートキャンプ山形2012|報告展 9/3-30

 この夏、2回目の開催となった『キッズアートキャンプ山形』は、東日本大震災で被災した南相馬市の子どもたちとその家族を、キャンパスに招待する教育支援プログラムです。南相馬市から46名が参加した今夏のキャンプでは、株式会社三越伊勢丹と本学グラフィックデザイン学科の全面的な協力のもと、世界中で愛されるウクライナの民話『てぶくろ』を題材に、ダンス、ファッション、音楽、美術のワークショップを集中的におこない、最終日にそれらを複合させたダンス公演『新訳“てぶくろ”』にまとめて劇場で上演しました。

 『新訳“てぶくろ”』は、原作の“その後”を描いています。森の動物たちが身をよせあった『てぶくろ』は、持ち主の登場で失われましたが、今回私たちが創作した“新訳”は、季節は冬から夏にかわり、森から離散した動物たちが、ふたたびキャラバンを組織してやってきて『てぶくろ村』を建設するというストーリーです。
 狐やうさぎの群れ、大きな熊など、動物に扮した南相馬の子どもたち、父母たち、学生たちが、踊りながら登場するたび、ガランとした舞台に、色鮮やかなテントが立ち並び、暗い森に明かりと活気と、安らかな夜が訪れます。

 東日本大震災とそれに続く福島第一原発事故から1年と6ヶ月。山形県は震災直後から福島からの避難を受け入れ、避難所が解散した現在も、1万人をこえる自主避難者が暮らしています。除染作業や避難生活が長期化するなかで、様々な問題も生まれていますが、同時に、子どもたちのために県境を越えて人々が支えあう相互扶助的なコミュニティーも生まれています。『新訳“てぶくろ”』は、3.11以後の福島と山形の関係や絆を描いた物語とも言えます。
 本展では、国内外で活躍するクリエイターたちの指導のもと、南相馬からの参加者がキャンプ期間中に制作した衣装と舞台美術を再現するとともに、公演の記録写真や映像を展示し、『新訳“てぶくろ”』感動のフィナーレまでの3日間を振り返ります。

『新訳“てぶくろ”』
日時:2012年8月5日[日]14:00―15:30
原作:エウゲーニー・M・ラチョフ(ウクライナ民話)
会場:東北芸術工科大学こども芸術教育研究センターこども劇場

出演:福島県南相馬市の子どもたちとその家族
   東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科学生
演出:中山ダイスケ/衣装:飛田正浩/美術:原高史/音楽:村山政二朗/振付:伊東歌織/企画:宮本武典/映像記録:赤沼明男/写真記録:志鎌康平

ッズアートキャンプ山形2012 活動記録展
2012年9月3日[月]→9月30日[日]9:00ー17:00
(日・祝・9月8日[土]休廊/入場無料)
主催:東北芸術工科大学東北復興支援機構TRSO
会場:東北芸術工科大学やまがた藝術学舎