g*g Vol.22 AUTUMN 2012
まだ強い日射しが照りつける9月8日、山形に避難されている福島のご家族とで交流するワークショップ「福しまピクニック」を村山市農村文化伝承館で実施しました。2回目の開催となる今回の内容は、〈山形ガールズ農場〉のプロデュースで近くの畑から収穫した野菜を調理する「畑で野菜教室」と、村山産のそば粉を使ったそば打ち体験、だし作り。そして縞しまのピクニックシートを敷いてのランチ。午後からは、〈手づくりパンnouka〉による苺のジャムづくり、生花生産者のユニット〈floRE:ふらり〉の協力によるオリジナルフレームづくりと生け花、学生による造形遊びなどを行いました。
学生が企画した「思いっきり外あそびアート!」では、段ボールで作るオリジナルフレームを飾る草花を探すために、キッズ探検隊を結成。虫メガネ型のまるいシールをバッジのように洋服の上に貼り、サポートの学生が名前を書きます。お楽しみとして、ひょうたんにお菓子を詰めた"宝物"があることを学生が告げると、子どもたちは元気よく走り出し、すぐにひょうたん探しに夢中に。子どもたちから目を離さないように付き添っていた洋画1年の斉藤綾子さんは「活動に興味があって参加しましたが、子どもは苦手だったんです。でも、子どもと話しているうちに自分の中から楽しさが沸き起こってきました。続けて参加していきたいと思っています」と感想を語りました。
子どもが駆け回っている間、大人は青空の下でアイスコーヒーを飲んだり、おしゃべりをしたり、夕方まで大人同士の交流の時間を楽しみました。お母さんたちは、山形の花農家と花屋、フラワーアーティストのコミュニティ〈floRE:ふらり〉が提供した季節の花を自由に生け、情趣ある時間を過ごす方が多かったようです。今回の花は、上山市のリンドウ、山形市のユリ、山辺町のフジバカマ、庄内町のケイトウに鶴岡市のトルコキキョウ。そして、地元福島県の生産者とのつながりを感じてもらいたいという気持ちから、福島県昭和村のかすみ草を用意しました。生けた花を、手づくりのフレームの中にクレヨンや水彩色鉛筆で描き、子どもたちが持ち帰った木の枝や松ぼっくりで周囲を装飾していきます。今回で4回目だという加茂さんは家族4人で参加。「畑で季節の野菜を採る経験も、みんなで手を動かして何かを作る経験もとても貴重。いつもより子どもたちがのびのびとしているのが分かります。盛りだくさんな内容のプログラムなのに、ゆるゆるとした雰囲気なので何度でも参加したいなと思っています。素敵な空気感ですね。縞しまのドレスコードも大好きです」と、花の絵を描く手を休め楽しそうに笑顔を見せました。
「福しまピクニック」の今回の参加者は62人で、リピーターが半分。各回のプログラムをディレクションしている美術館大学センター 宮本准教授は「自主避難のご家族には未就学児童が多いことから、子どもが飽きずに楽しめ、お父さんお母さんが安心して自分の時間を過ごすことができるプログラムづくりをしています。毎回ピクニックを楽しみにしている方や、〈floRE:ふらり〉など新たな協力者が増えてきていることに、やってきた分の手応えを感じています。学生たちの企画力が向上し主体的に動けるようになってきたのもいい点だと思います。後は子どもに合わせて大人がどう動くかを学んでいけたらいいですね」と、今後も継続していく上での改善点を述べました。