g*g Vol.22 AUTUMN 2012

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高校生が見つめる明日の社会
「第19回全国高等学校デザイン選手権大会」
決勝大会に出場する1チームを紹介します。

「全国高等学校デザイン選手権大会」通称「デザセン」は"高校生ならではの視線"に注目し、芸工大開学からすぐに始動した歴史ある大会です。高校生の視線で社会や暮らしの中から課題を見つけ、解決方法を表現する力は、社会でも注目が集まっており、現在まで提案作品のいくつかが商品化されています。19回目の今回は、934チーム(89校)がデザイン力を競い合いました。今年度は試験的に韓国でも募集を行い、4校から5提案が集まりました。企画書による一次審査ののち、提案パネルをもとに二次審査を経て、入賞12提案と入選30提案が決定。入賞した12チームは10月28日の決勝大会でプレゼンテーションを行います。今回は、決勝進出を決めた川崎市立川崎総合科学高等学校チームにお話を伺いました。

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写真左:チームが持っている個性を大事に指導したという高野日出見先生。写真右:神奈川県川崎市立川崎総合科学高等学校。デザイン科ではデザイナーを目指す生徒たちが表現力と創造性を鍛えている。

川崎総合科学高等学校が提案するのは『デザイン銭湯~フロネタリウム~』。「高校の近くにある銭湯が寂れているのが気になっていた」という滝口奈津子さん、笠倉綾さん、河田真生子さんの3人は、既存の銭湯にデザインを加えて地域住民が集い、家族が楽しめる新しい交流の場にすることを考案。プラネタリウムを銭湯で上映するアイデアを中心に、子どもが描いた絵を流れ星のように映し出し、3D映像で立体感ある富士山を湯船に浮かべる案など楽しい企画を盛り込みました。考案中にちょうど自宅のお風呂が壊れ、銭湯通いをしていたという笠倉さんは、銭湯に客が集まらず高齢者が滑りやすいタイルの上で気をつけながら入浴している様を目の当たりにしました。「銭湯は商店街から外れた場所にあり、寂しく見えました。地域が一体となって活性化する必要も感じました」という笠倉さん。そこから、高齢者とのコミュニケーションがとれる状況づくり、全世代が楽しめる仕掛けを考え、地域と連携して活性化するアイデアを練ったといいます。3人が一番苦労したのは、ポンポンと飛び出るアイデアをまとめること。滝口さんは「仲が良い以上に個人の主張が強過ぎるので、一時は"お互いの意見を否定するのはやめよう!"と決めたほどです。でもそのルールもすぐに崩壊して"でも""だって"と反論してしまいましたけど(笑)」と語り、銭湯を掃除することでもらえる通行書、自分の風呂桶を持っていくことで受けられるサービスなど、採用にならなかったアイデアも紹介してくれました。話し合いの場ではまとめ役になることが多かったという河田さんは、今回のデザセン出場を通し街中をよく観察するようになったそうです。「工事中の道路にあるランプが動物の形だったりしますよね。身の回りにある何気ないデザインが人を笑顔にするんだなあと気づきました」と笑顔で語りました。

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「プレゼンでは覚えなくてはならないことが多く緊張しますが、頑張ります! デザセン大会報告書の表紙を飾りたいんです(笑)」と明るく語った(左から)滝口奈津子さん、笠倉綾さん、河田真生子さん。

指導にあたった高野日出見先生は、「話すのが好きな3人で、自分たちが見たこと思ったことを言葉にしてそこから発想を膨らませることが多いようです。現在は印象的な商品名が多かったり、言葉を効果的に使ったデザインも多いと思います。普段は何の役にも立たないおしゃべりや発想を、提案としてまとめていくことはとても勉強になったのではないでしょうか」と語っています。川崎総合科学高等学校では、デザセンへ応募することを授業の課題として、例年取り組んでいます。デザイン力を鍛えるカリキュラムの中で、高野先生が力を入れているのはプレゼンテーション。チームの3人は高野先生の指導を受け「決勝大会では、私たちが"いい!"と思っている提案を、工夫に工夫を凝らしたプレゼンテーションでしっかり伝えたいと思います」と、熱意を語りました。

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