6月28日(日)はwebオープンキャンパスです。

来る6月28日(日)にオープンキャンパスが開催されます。今回は通常とは違いwebで行うことになります。全体のLIVE講義などのほかに文芸学科としては以下を予定しております。

・オンライン相談

こちらは随時行います。文芸学科の教員だけではなく、在学生も同席しますので(同じzoomに参加しますので)、リアルな声を聞くことができます。もちろん教員との一対一の面談も可能です。

・在学生座談会(13:30~14:30)

こちらは座談会という形式で、在学生たちの話を聞くことができます。文芸学科で学ぶ内容だけではなく、日々の学生生活やアルバイトをしながら課題をどうこなしているのか、サークルでは何をしているのか……など様々な話が出てくるに違いありません。

・持ち込み原稿

通常のオープンキャンパスと同様に持ち込み原稿への講評を行います。web開催なので、データですとその場で読めるのでスムーズに講評ができますが、それ以外の形式でも対応いたします。

参加希望の方はお手数をおかけしますが、大学全体のサイトから登録をお願いします。

玉井建也「ウェブ小説に見る物語構造と虚構性―『転生したらスライムだった件』を事例として―」が出ました。

論文が出ました。玉井建也「ウェブ小説に見る物語構造と虚構性―『転生したらスライムだった件』を事例として―」(『東北芸術工科大学紀要』27号、2020年)になります。細かい文章を除いて発表したものをこのブログで書いてきたので、今回も同様にします。

そもそもウェブ小説(ネット小説)はちまちまと読んでいたのですが、学生指導としても求められるようになってきたので(猿渡かざみさんへの指導が契機かもしれない)、ここは一つ論文を書こうと思って取り組んだのが2年前に発表された論文でした。ただ、それではまったくもって納得できない内容だったので、もう一つ書くかというのが動機の一つです。

もう一つの執筆動機は、知人の研究者数名から「転スラの話を良くしますが、論文はどれですか?」と聞かれたことです。そうか、そうなるか、ならやるか、みたいな感じですね。

もちろん学問的な動機もありますが、そこは書いたので読んでおいてください。ただ創作の指導と学術的な考察はかなり違うものというのも痛感しました。あとは書いても書いても何かの事象にたどり着けた気がしないので、また次に取り組もうと考えています。

文芸論5と文献リスト(2018年度)

2017年度の文芸論5の概要を記録として書いたので、今度は2018年度である。自分の担当する授業は毎年内容を変えていく(ただしある程度は)と決めてしまったので、ここでもその自分ルールに悩まされている。しかし、自分自身の勉強にもなるので、そう述べているほど嫌ではないのが現実である。

1:ガイダンス+池田理知子「日常のなかの差別:差別するかもしれない「私」」(『日常から考えるコミュニケーション学』ナカニシヤ出版、2015年)

初回からの何回かはピンポイントなテーマというよりは、受講生の皆さんそれぞれが引っかかる観点のある論考を読もうと思い、取り上げている。

2:遠藤英樹「恋愛と旅の機能的等価性―「虚構の時代の果て」における聖なる天蓋―」(遠藤英樹・松本健太郎・江藤茂博編『メディア文化論』ナカニシヤ出版、2013年)

テレビ文化と恋愛の話である。90年代の映像をいくつか流して、喋っている自分自身が懐古に浸ってしまった気がする。

3:香月孝史「アイドルの「虚」と「実」を問い直す」(『「アイドル」の読み方   混乱する「語り」を問う』青弓社、2014年)

ここでアイドルである。アイドルに関する論考を毎年のように取り上げているのは、自分自身は興味ないのだが、それでも世間的に注目されている存在だからである。

4:辻泉「なぜ鉄道オタクなのか―「想像力」の社会史」(宮台真司監修『オタク的想像力のリミット 歴史・空間・交流から問う』筑摩書房、2014年)

私自身は鉄道に興味がなく、安全に乗れればそれでいいのだが、やはり自分の知らない分野にも目を向けるべきではないかと思い、取り上げた。とはいえタモリを筆頭とした鉄道好きがメディアで語るのは嫌いではない。

5:須川亜紀子「「魔法少女」アニメからジェンダーを読み解く―「魔」と「少女」が交わるとき―」(岡本健・遠藤英樹編『メディア・コンテンツ論』ナカニシヤ出版、2016年)

ここからオタクコンテンツに関する論考を取り上げるようになっていく。受講生にとっても何かしらの魔法少女に触れて大きくなってきたようで、映像の一部を流してみると引っかかる作品が存在しているのがわかる。

6:広瀬正浩「声優が朗読する「女生徒」を聴く―声と実在性の捉え方―」(『昭和文学研究』71号、2015年)

論考でも取り上げられている花澤香菜さんによる太宰治「女生徒」の朗読を皆さんと一緒に聞いた。聞いている我々が、メディアを、そしてそこで起こる現象をどう捉えるのか。

7:伊藤龍平「ツチノコも繁殖する―「恐怖」から「愛玩」へ」((一柳廣孝・吉田司雄編『妖怪は繁殖する』青弓社、2016年)

ツチノコである。皆さん何となく知ってはいるのだろうが、メディア論であり、ネットロアであり、多角的に現象をとらえる必要がある。

8:石原千秋「なぜ読者が問題となったのか」(『読者はどこにいるのか 書物の中の私たち』河出書房新社、2009年)

ここから文学理論に入っていく。去年と同じ形式であり、文芸学科の学生には復習も兼ねている。まずは読者論である。

9:都留泰作「時空感覚と社会空間の研究」(『“面白さ”の研究―世界観エンタメはなぜブームを生むのか』角川新書、2015年)

「面白さ」というのは曖昧だから、で片づけずに理論的に考えるのは、どうしたらよいのか。その一端を提示してくれているので、批評だけではなく創作においても考え得るポイントである。

10:橋本陽介「登場人物の内と外」(『物語論 基礎と応用』講談社、2017年)

タイトル通りで物語論を基礎から応用まで学べる非常に優れた書籍である。『この世界の片隅に』の話をしたのを覚えている。

11:横濱雄二「憑物落し、あるいは二つの物語世界の相克―京極夏彦『姑獲鳥の夏』」(押野武志・諸岡卓真編『日本探偵小説を読む 偏光と挑発のミステリ史』北海道大学出版会、2013年)

ここからまた少し傾向を変えて、具体的な作品に焦点を当てた論考を取り上げている。『姑獲鳥の夏』は映画化もされ、著名だから問題なかろうと思っていたのだが、そのようなことはなかった。受講生の皆さん、知らなかったのね……となった。

12:西村大志「食─ひとり飯にみる違和感と共感のゆくえ」(山田奨治編『マンガ・アニメで論文・レポートを書く―「好き」を学問にする方法』ミネルヴァ書房、2017年)

『孤独のグルメ』を筆頭とした久住作品を取り上げた論考である。『孤独のグルメ」の知名度はさすがであった……。私も毎年年末特番を欠かさずに見ているし……。

13:岩川ありさ「二次元の死に責任を持つこと―『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』論」(『ユリイカ 総特集 岡田麿里』50巻3号、2018年)

『鉄血のオルフェンズ』である。作品論にとどまらず視聴者がどう考えるのかにまで踏み込んだ論考になる。ちなみに同号には山中智省さんの論考と私の論考も収録されていて、何かの研究会の帰りに山中さんと論考に関して話した記憶がある(授業とは関係のない話)。

14:上田麻由子「白ワンピース前史 細田守作品における少女の「向こう側」」(『ユリイカ 総特集 細田守の世界』47巻12号、2015年)

『明日のナージャ』で細田守さんが手掛けた伝説回「フランシスの向こう側」を実際に視聴した。光と影、時間の進み、物語の抑揚、そのすべてが30分の時間を忘れさせるぐらいに凝縮され、しかし詰め込まれすぎていないというのは、なかなか味わえるものではない。

15:受講生によるセレクト作品の批評
そして毎年のように、最後は受講生自身が具体的に作品をセレクトし、批評するのである。

ラグナル・ヨナソン『闇という名の娘』(小学館文庫)の解説(オリジナル・ロングバージョン)

昨年の12月に、アイスランドの作家ラグナル・ヨナソンの『闇という名の娘』(小学館文庫)が出た。海外ミステリの主流になっている北欧ミステリの新刊で、嬉しいことに文庫の解説を担当することができた。小説の出来も素晴らしくて、書評もたくさん出ているし、ネットで検索かけても評判は上々である。とくに異色の構成をとる三部作の第一弾ということで、読み終えた読者たちはみな、シリーズ第二作はどういう展開なのだ? という期待を抱いている。

第二弾は翻訳を待つとして、今回の第一弾の文庫解説に関してはオリジナル・ロングバージョンがある。文庫本に掲載されたものは原稿用紙8枚で、ロングバージョンは10枚。たった2枚多いだけだが、内容はいささか違う。正直にいうなら、ロングバージョンのほうが、僕が解説で述べている「私小説」の特徴が強く打ち出されていて、ミステリファン以外の人にアピールするのではないかと思う。ただ、読み返すと、ちょっと趣味的かなと思って、引用箇所をけずり、従来のミステリファンにむけた解説に軌道修正した。

でも、評判を耳にするにつれて、もっと伝えたい思いが強まり、オリジナル・ロングバージョンの解説に心残りもあるので、小学館文庫編集部の了解のもと、以下に、ロングバージョンを張り付けたいと思う。参考にしていただけるとありがたいです。そして未読の人が、面白そうだと思って手にとってくれたら、もっと嬉しい。

なお、余談になるが、1月26日、山形小説家・ライター講座の講師として来形してくれた文芸評論家の川本三郎さんに進呈したのが、このラグナル・ヨナソンの『闇という名の娘』だった。日本の私小説や古い映画に理解のある川本さんなら絶対に気にいってくれるだろうと思っているのだが、果たしてどうか。気にいっていただけたら、「東京人」の連載でとりあげていただけるだろう。


■ラグナル・ヨナソン『闇という名の娘』(小学館文庫)解説※オリジナル・ロングバージョン

読み始めてすぐに、これは当たりだと思った。これはいい作品に違いない、少なくとも僕の好みにあうに違いないと思った。読み進めていって、すぐにそれを実感できた。ミステリというよりも私小説の味わいに近いからである。日本の私小説を好んで読んできた僕には、フルダという女性捜査官が至るところで寄せる人生観照がまさに日本の私小説を想起させて、しみじみとした物思いにふけらさせるからである。

記憶に残っている夏はもっと暖かくて、明るくて、日差しが降り注いでいた。そう、記憶ならたくさんある。ありすぎるくらいに。信じられないが、もうすぐ六十五歳になる。六十代も半分過ぎて、七十代が遠からぬ先に見えはじめているなんて嘘のようだ。(20頁)

そう、主人公は六十四歳の女性捜査官だ。作家として六十過ぎの人間を主人公にするのは勇気がいる。広範な読者を掴むことができないからで、編集者はまず、それはやめましょうと提案するほどなのだが、ヨナソンはあえてそれに挑戦した。自分よりもはるか年上のヒロインを設定して、私小説的な装いをもたせてミステリに仕立てた。でもこれがいい。ふともらす感慨にひきつけられてしまう。

時間は飛ぶように過ぎていった。結婚したのも、母親になったのも、ついこのあいだのことのようだが、数えてみると、遠い昔だったことに気づく。時間というのはアコーディオンの蛇腹みたいに、伸びたり、縮んだりするものかもしれない。(22頁)

わかるなあと思う。年をとると驚くほど時間の過ぎ去るのが早い。それをアコーディオンの蛇腹みたいに伸びたり、縮んだりするとたとえて、振り返る時間の長さを読者に印象づける。経験と洞察にとんでいることをさりげなく伝えている。
作者のヨナソンは、二十代の警官アリ=ソウル・シリーズで、アイスランドのみならず世界的な人気を博している。日本でも『雪盲』『極夜の警官』『白夜の警官』と翻訳された(シリーズは五冊)。『雪盲』が上梓されたとき、長年連載している「週刊文春」のミステリ・レビューでとりあげて、関係者たちが抱える闇の重さに注目したし、『白夜の警官』の小島秀夫さんの熱き解説にあるように、アリ=ソウル・シリーズは、北欧ミステリの現代性と普遍性を凝縮したような連作で読み応えがある。でも(その新鮮な魅力を認めつつも)個人的なことをいうなら、主人公が若すぎる印象は否めない。迷い多き青春のただなかにいるアリ=ソウルの視点は瑞々しく、世界の震えをしかと見すえているけれど、六十歳を過ぎた僕には青春を懐古するような気分に近いものがあった。
だから、本書『闇という名の娘』の主人公には親しみを覚える。夫を心臓の病気で失い、長らく一人で生活してきたが、ようやくここにきて七十歳近い元医師と知り合う。元医師もまた配偶者を病で失っている。だが恋愛ではない。そこまで至っていない。

ピエートゥルは医者だ。六十歳のときに、妻が病に倒れて早期退職したという。詳しい話は聞いていないが、看取るまで、何年かいい時間を過ごせたらしい。この話を聞いて、この人となら一緒に前に進めると思った。彼に深い悲しみを思い出させたくはなかった。そして、彼ならフルダの古傷に触れずにいてくれるのではないかと思っている。(70頁)

“看取るまで、何年かいい時間を過ごせたらしい”という見方にはっとする。看取ることは苦しいし、辛いことなのに、でも“何年かいい時間を過ごせたらしい”と考える。愛しい人間との残された時間を意識しての暮らしは、外側から見れば決して“いい時間”ではないはずなのに、お互いに向き合った穏やかで充実した日々は、思い返せば、“いい時間”といえるのかもしれない。でも、“深い悲しみを思い出させたくはなかった”、そして“フルダの古傷に触れずにいて”ほしかった。これは何だろう。あたかも“深い悲しみ”にみちた“古傷”があるということだろうか。

彼のことは好きだし、彼となら老後の生活も容易に想像がつく。これは愛ではない--愛がどんなものかも忘れてしまったが、それは必要不可欠な条件ではない。彼とは山歩きというすばらしい趣味を共有している。これは重要だ。だから一緒にいると楽しい」(22頁)

大事なのは、“これは愛ではない”というくだりだろう。“(愛など)必要不可欠な条件ではない”という老年の諦念に近い思いが親しい。分別をもった充分に大人同士のつきあいなのである。主人公の女性刑事フルダにとっては男性との関係よりも仕事の方が重い。だが、その仕事もあともうすこし。六十五歳での定年退職が近づいているからだが、もっと残念なのは、上司が勝手に後任の若手刑事をきめて、デスクの明け渡しを要求したことだろう。早期退職を迫り、彼女はそれを受け入れて、未解決の事件をひとつだけ担当する、というのが発端である。
それは一年前に起きたロシア人女性の溺死事件だった。被害者の名前はエレーナ。ロシア人の難民申請者で、アイスランドに来て四カ月目のことだった。
アイスランドは世界でも最も安全な国のひとつに数えられ、殺人事件は年に二件くらいしか起きないばかりか、一件も起きない年もあった。これも単なる事故死に思われたが、事件を担当した同僚刑事への不信があった。調べていくと同僚刑事の意図的な怠慢、すなわち捜査の放棄が疑われた。案の定、フルダが調べていくと、エレーナが売春婦としてアイスランドに来たのではないかという疑いが出てくるが、そればかりではなかった。いったいエレーナの身に何が起きたのか。
物語は、このフルダの探索行と並行して、シングルマザーの不安と失意の日々、男と女が遠出する話が描かれていく。シングルマザーが誰で、男と女が誰で、どういうつながりがあって、どのような局面を迎えるのかは明らかにしない。ひとつだけはっきりいえるのは、(冒頭に書いたことの繰り返しになるが)本書はミステリではあるけれど、同時に女性刑事の私小説の趣があることだろう。冒頭に紹介したように、フルダの生活が詳しく描かれる。たまたま主人公が刑事で、仕事がら未解決の事件を担当するけれど、中心となるのは、主人公が何を考え、どのように日々を送っているかである。
もちろん繰り返すが、作者はミステリ作家、それも北欧ミステリの牽引者(さきほど紹介した二十代の警官アリ=ソウル・シリーズは海外で翻訳され各ミステリ賞の候補にもなっている)でもあるので、並行する三つの視点を劇的につなげて興奮を覚える展開にしている(それは警官アリ=ソウル・シリーズでもおなじみだ)。それでも、読み所は、事件の解明と真相に重きを置くのではなく、少しずつ明らかになっていくフルダの人生そのものである。
たとえば、フルダがワインを口に含みながら、グラスを見つめていると「心の深淵の闇からゆっくりと浮かび上がってくる」(81頁)ものがあるとか、過去の忌まわしい記憶があり、「何か違ったやり方もあったはずだという後悔と罪悪感」(110頁)を覚えるとか、自分のことを「人生の難破船」(267頁)とよんだりする。冒頭でさりげなく語られる“古傷”でもある。警察の仕事につき、それなりの成果をあげてきたにもかかわらず、私生活では不幸の連続であり、もうすぐ六十五歳になろうとしているいま、もういちど「周囲の世界が崩れ落ちていく」(259頁)のを見ることになるのである。それが具体的にどういうことかは読んでほしいが、終盤の驚きの事件展開と、フルダ自身の心の闇が明らかになる過程は、なかなかスリリングである。

本書『闇という名の娘』を読み終えた読者には驚くべきことだが、フルダを主人公にした作品はあと二作ある。女性刑事フルダ・シリーズ(アイスランドでは“ヒドゥン・シリーズ”とよばれている)は三部作なのである。第二作「THE ISLAND」は時間をさかのぼり、五十代のフルダの活躍が描かれ、第三作「THE MIST」では四十代へとさかのぼっていくという。周到に練られた三部作なのだろう。訳者の吉田薫氏によると、二作目「THE ISLAND」は、本国ではヨナソン作品のなかでもっとも評価が高いとか。大いなる期待とともに第二作の翻訳を待ちたいと思う。


池上冬樹・文庫解説リスト(国内作家アイウエオ順。海外作家は出版社別)

■池上冬樹・文庫解説リスト(国内作家アイウエオ順。海外作家は出版社別)

年代順に続いて、作家別のリストをはりつけます。国内作家はアイウエオ順、海外作家は出版社別にしました。1988年から2019年までのリストです。なお、頭にある数字は通し番号です。ひとつひとつ消すのが面倒なのでそのままにします。

●あ
422 秋吉理香子『自殺予定日』(創元推理文庫)
423 芦沢央『許されようとは思いません』(新潮文庫)
108 麻生幾『ZERO』(幻冬舎文庫)
318 麻生幾『奪還』(講談社文庫)
284 安達千夏『かれん』(角川文庫)
313 阿部和重『シンセミア』(講談社文庫)
208 飴村行『粘膜人間』(角川ホラー文庫)
373 彩坂美月『ひぐらしふる』(幻冬舎文庫)
302 有川浩『植物図鑑』(幻冬舎文庫)
309 安東能明『伏流捜査』(集英社文庫)
420 伊兼源太郎『密告はうたう 警視庁監察ファイル』(実業之日本社文庫)
138 伊坂幸太郎『ラッシュライフ』(新潮文庫)
158 石坂洋次郎『陽のあたる坂道』(角川文庫)
73  石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』(文春文庫)
279 伊集院静『三年坂』(講談社文庫)
287 伊集院静『お父やんとオジさん』(講談社文庫)
336 伊集院静『星月夜』(文春文庫)
369 伊集院静『ガッツン!』(双葉文庫)
410 石川智健『60』(講談社文庫)
308 伊東潤『虚けの舞』(講談社文庫)
403 乾ルカ『青い花は未来で眠る』(角川文庫)※『11月のジュリエット』改題
418 井上荒野『ママがやった』(文春文庫)
406 今村翔吾『九紋龍 羽州ぼろ鳶組3』(祥伝社文庫)
391 宇江佐真理『昨日みた夢 口入れ屋おふく』(角川文庫)
28 打海文三『されど修羅ゆく君は』(徳間。※単行本。1996年5月)
144 打海文三『そこに薔薇があった』(中公文庫)
192 打海文三『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』(光文社。※単行本)
207 打海文三『一九七二年のレイニー・ラウ』(小学館文庫)
209 打海文三『覇者と覇者』(角川書店)
241 打海文三『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』(光文社文庫)
289 海野碧『アンダードッグ』(実業之日本社文庫)
58  逢坂剛『よみがえる百舌』(集英社文庫)
85  逢坂剛『カディスの赤い星』(双葉文庫)
119 逢坂剛『配達される女』(集英社文庫)
174 逢坂剛『猿曳遁兵衛 重蔵始末(三)』(講談社文庫)
292 逢坂剛『兇弾 禿鷹Ⅴ』(文春文庫)
407 逢坂剛『十字路に立つ女』(角川文庫)
20 大沢在昌『感傷の街角』(角川文庫)
49  大沢在昌『天使の牙』(角川文庫)
79  大沢在昌『B・D・T 掟の街』(角川文庫)
350 大沢在昌『冬芽の人』(新潮文庫)
397 大沢在昌『ライアー』(新潮文庫)
396 太田愛『犯罪者』(角川文庫)
80  荻原浩『オロロ畑でつかまえて』(集英社文庫)
95  奥田英朗『最悪』(講談社文庫)
368 奥田英朗『沈黙の町で』(朝日文庫)
199 鬼塚忠『Little DJ 小さな恋の物語』(ポプラ社文庫)
269 太田忠司『刑事失格』(創元推理文庫)
99  大藪春彦『雇われ探偵』(光文社文庫)
113 大藪春彦『人狩り』(光文社文庫)
165 恩田陸『夜のピクニック』(新潮文庫)

●か
415 開高健『青い月曜日』(集英社文庫)
178 角田光代『太陽と毒ぐも』(文春文庫)
218 片岡義男『花模様が怖い 謎と銃弾の短篇』(池上冬樹編、ハヤカワ文庫)
93  勝目梓『報復のバラード』(光文社文庫)
231 勝目梓『小説家』(講談社文庫)
187 香納諒一『あの夏、風の街に消えた』(角川文庫)
176 河崎愛美『あなたへ』(小学館文庫)
221 川上弘美『夜の公園』(中公文庫)
・ 川端裕人『今ここにいるぼくらは』(集英社文庫)
22 北方謙三『不良の木』(光文社文庫)
25 北方謙三『錆びた浮標』(講談社文庫)
34 北方謙三『日付変更線』(幻冬舎文庫)
42  北方謙三『遠い港』(角川文庫)
120 北方謙三『冬の眠り』(文春文庫)
130 北方謙三『擬態』(文春文庫)
143 北方謙三『鎖』(文春文庫)
156 北方謙三『白日』(文春文庫)
162 北方謙三『煤煙』(講談社文庫)
172 北方謙三『水滸伝四 道蛇の章』(集英社文庫)
226 北方謙三『旅のいろ』(講談社文庫)
232 北方謙三『棒の哀しみ』(集英社文庫)
244 北方謙三『冬こそ獣は走る』(光文社文庫)
251 北方謙三『夜が傷つけた』(講談社文庫)
322 北方謙三『抱影』(講談社文庫)
324 北方謙三『史記 武帝紀(四)』(ハルキ文庫)
395 北方謙三『岳飛伝二 飛流の章』(集英社文庫)
166 北上次郎『感情の法則』(幻冬舎文庫)
200 北上次郎『冒険小説論 近代ヒーロー像100年の変遷』(双葉文庫)
361 北上次郎『勝手に! 文庫解説』(集英社文庫、9月)※座談会形式解説
191 北重人『夏の椿』(文春文庫)
240 北重人『白疾風』(文春文庫)
237 北重人『火の闇 飴売り三左事件帖』(徳間書店)※問題小説転載
291 北重人『夜明けの橋』(新潮文庫)※単行本の解説に加筆
344 北重人『花晒し』(文春文庫)
243 北原亞以子『まんがら茂平次』(徳間文庫)
280 木村二郎『ヴェニスを見て死ね』(創元推理文庫)
342 草凪優『堕落男(だらくもの)』(実業之日本社文庫)
362 草凪優『悪い女』(実業之日本社文庫)
131 熊谷達也『山背郷』(集英社文庫)
229 熊谷達也『新任教師』(徳間文庫)
263 熊谷達也『群青に沈め』(角川文庫)
307 熊谷達也『稲穂の海』(文春文庫)
426 黒川博行『海の稜線』(角川文庫)
39 小池真理子『怪しい隣人』(集英社文庫)
63  小池真理子『欲望』(新潮文庫)
170 高城高『X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選』(荒蝦夷)
210 高城高『高城高全集第四巻 星の岬』(創元推理文庫)
343 小杉英了『先導者』(角川ホラー文庫)
47  小鷹信光『探偵物語』(幻冬舎文庫)
65 小林信彦『読書中毒 ブックレシピ61』(文春文庫)
53  小林信彦『〈超〉読書法』(文春文庫)

●さ
15 斎藤純『海へ、そして土曜日』(講談社文庫)
81  斎藤純『凍樹』(講談社文庫)
128 佐伯一麦『遠き山に日は落ちて』(集英社文庫)
233 佐伯一麦『石の肺 僕のアスベスト履歴書』(新潮文庫)
425 佐伯一麦『ア・ルース・ボーイ』(小学館電子文庫)
387 佐伯泰英『流鶯 吉原裏同心(二十五)』(光文社文庫)
78  酒見賢一『童貞』(集英社文庫)
339 桜木紫乃『硝子の葦』(新潮文庫)
385 桜井鈴茂『どうしてこんなところに』(双葉文庫)
87  佐藤賢一『王妃の離婚』(集英社文庫)
177 佐藤賢一『剣闘士スパルタクス』(中公文庫)
250 佐藤賢一『黒い悪魔』(文春文庫)
290 佐藤賢一『戦争の足音 小説フランス革命9』(集英社文庫)
312 佐藤賢一『新徴組』(新潮文庫)
31 佐藤正午『人参倶楽部』(集英社文庫)
82  佐藤正午『恋を数えて』(角川文庫)
188 佐藤正午『彼女について知ることのすべて』(光文社文庫)
278 佐藤正午『身の上話』(光文社文庫)
329 佐藤正午『ダンスホール』(光文社文庫)
67  佐々木譲『総督と呼ばれた男』(集英社文庫)
198 佐々木譲『夜にその名を呼べば』(ハヤカワ文庫)
205 佐々木譲『ネプチューンの迷宮』( 扶桑社文庫)
211 佐々木譲『飛ぶ想い』(扶桑社文庫)
217 佐々木譲『ラストラン』(ポプラ社文庫)
234 佐々木譲『夜を急ぐ者よ』(ポプラ文庫)
249 佐々木譲『鉄騎兵、跳んだ』(文春文庫)
264 佐々木譲『ネプチューンの迷宮』(ポプラ社文庫)※扶桑社文庫の移籍
411 佐々木譲『屈折率』(光文社文庫)
424 佐々木譲『真夏の雷管』(ハルキ文庫)
283 佐竹幸子『星ふる村落からこんばんわ』(書肆犀)
413 沢村鐵『雨の鎮魂歌』(中公文庫)
35 椎名誠『トロッコ海岸』(文春文庫)
69  椎名誠『黄金時代』(文春文庫)
117 椎名誠『春画』(集英社文庫)
46  重松清『ビフォア・ラン』(幻冬舎文庫)
152 篠田節子『マエストロ』(角川文庫)
122 柴田よしき『ふたたびの虹』(祥伝社文庫)
286 柴田哲孝『GEQ 大地震』(角川文庫)
317 柴田哲孝『異聞太平洋戦記』(講談社文庫)
367 柴田哲孝『国境の雪』(角川文庫)
400 柴田哲孝『下山事件 暗殺者たちの夏』(祥伝社文庫)
414 柴田哲孝『Mの暗号』(祥伝社文庫)
16 志水辰夫『帰りなん、いざ』(講談社文庫)
133 志水辰夫『背いて故郷』(新潮文庫)
228 志水辰夫『青に候』(新潮文庫)
246 白川道『最も遠い銀河』(幻冬舎文庫)
392 白川道『神様が降りてくる』(新潮文庫)
222 新庄節美『夏休みだけ探偵団 二丁目の犬小屋盗難事件』(日本標準)
225 真保裕一『栄光なき凱旋』(文春文庫)※上中下の下巻に
186 杉山隆男『汐留川』(文春文庫)
223 管野ひろし『秒奪 交通システムに侵入せよ』(ポプラ社)
371 鈴木光司『タイド』(角川ホラー文庫)
197 瀬尾まいこ『優しい音楽』(双葉文庫)

●た
236 平安寿子『あなたにもできる悪いこと』(講談社文庫)
354 高樹のぶ子『マルセル』(文春文庫)
83 高橋克彦『完四郎広目手控』(集英社文庫)
256 高橋克彦『風の陣 風雲篇』(PHP文庫)
285 高橋義夫『御隠居忍法 魔物』(中公文庫)
92 高見広春『バトル・ロワイアル』(幻冬舍文庫)
405 『短編伝説 愛を語るとき』(集英社文庫)
337 司城志朗『スパム・リコール』(小学館文庫)
378 辻原登『寂しい丘で狩りをする』(講談社文庫)
・ テレパル編集部『ミステリー作家90人のマイ・ベストミステリー映画』
(小学館文庫)※芦辺拓氏と対談
270 堂場瞬一『断絶』(中公文庫)
296 堂場瞬一『逸脱 捜査一課・澤村慶司』(角川文庫)
340 堂場瞬一『ヒート』(実業之日本社文庫)

●な
401 中島京子『かたづの!』(集英社文庫)
301 中路啓太『豊国神宝』(新潮文庫)※『謎斬り右近』改題
390 中路啓太『三日月の花』(中公文庫)※『恥も外聞もなく売名す』改題
215 永瀬隼介『誓いの夏から』(光文社文庫)
196 南木佳士『こぶしの上のダルマ』(文春文庫)
412 名取佐和子『シェアハウスかざみどり』(幻冬舎文庫)
180 南条範夫『大名廃絶録』(文春文庫)
136 仁木悦子『探偵三影潤全集②青の巻』(出版芸術社)
382 西澤保彦『下戸は勘定に入れません』(中公文庫)
328 日本推理作家協会編『BORDER 善と悪の境界』(講談社文庫)
111 新野剛志『罰』(幻冬舎文庫)
203 貫井徳郎『追憶のかけら』(文春文庫)
293 沼田まほかる『痺れる』(光文社文庫)
43  野沢尚『恋愛時代』(幻冬舎文庫)
71 野沢尚『リミット』(講談社文庫)
175 野沢尚『ひたひたと』(講談社文庫)
334 野沢尚『野沢尚のミステリードラマは眠らない』(実業之日本社文庫)
214 乃南アサ『風の墓碑銘(エピタフ)』(新潮文庫)
55  乃南アサ『結婚詐欺師』(幻冬舎文庫)
13 法月綸太郎『頼子のために』(講談社文庫)
408 法月綸太郎『新装版 頼子のために』(講談社文庫)※旧版に新たな解説

●は
154 蓮見圭一『水曜日の朝、午前三時』(新潮文庫)
97 馳星周『M』(文春文庫)
173 馳星周『クラッシュ』(徳間文庫)
306 馳星周『美ら海、血の海』(集英社文庫)
366 畠中恵『たぶんねこ』(新潮文庫)
14 花村萬月『重金属青年団』(角川文庫)
19 花村萬月『渋谷ルシファー』(集英社文庫)
40  花村萬月『ぢん・ぢん・ぢん』(祥伝社。※単行本)
70 花村萬月『ぢん・ぢん・ぢん』(祥伝社文庫)※40に追記
260 花村萬月『錏娥哢□(アガルタ)』(集英社文庫)
325 花村萬月『ウエストサイドソウル西方之魂』(講談社文庫)
353 花村萬月『よろづ情ノ字薬種控』(光文社文庫)
383 花房観音『まつりのあと』(光文社文庫)
346 葉室麟『千鳥舞う』(徳間文庫)
206 早川書房編集部編『ロバート・B・パーカー読本』(早川書房)
379 藤田宜永『探偵竹花・潜入調査』(光文社文庫)
6  東理夫『暁の翼の男』(光文社文庫)
345 東山彰良『ファミリーレストラン』(実業之日本社文庫)
370 東山彰良『さよなら的レボリューション 再見阿良』(徳間文庫)
168 樋口有介『枯葉色グッドバイ』(文春文庫)
193 藤堂絆『アシタ』(ピュアフル文庫)
227 藤原伊織『ひまわりの祝祭』(角川文庫)
179 深町秋生『果てしなき渇き』(宝島社文庫)
398 深水黎一郎『少年時代』(ハルキ文庫)
330 福永武彦『幼年』(講談社文芸文庫)
230 藤原審爾『新宿警察Ⅱ 慈悲の報酬』(双葉文庫)※「小説推理」転載
106 古川日出男『沈黙/アビシニアン』(角川文庫)
266 穂高明『月のうた』(ポプラ文庫)
419 本城雅人『英雄の条件』(新潮文庫)
216 誉田哲也『ジウⅢ 新世界秩序』(中公文庫)
56 本間香一郎『置き去りの街』( カッパ・ノベルス)
355 『冒険の森へ・傑作小説大全 第11巻/復活する男』(集英社)
374 『冒険の森へ・傑作小説大全 第15巻/波浪の咆哮』(集英社)
377 『冒険の森へ・傑作小説大全 第10巻/危険な旅路』(集英社)
384 『冒険の森へ・傑作小説大全 第3巻/背徳の仔ら』(集英社)

●ま
380 松井今朝子『壺中の回廊』(集英社文庫)
393 松岡圭祐『水鏡推理Ⅴ ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)
190 宮本輝『草原の椅子』(新潮文庫)
351 宮本輝『焚火の終わり』(文春文庫)
91  『まるごと宮部みゆき』所収「ミステリ論」(朝日新聞社)※寄稿
26 宮部みゆき『本所深川ふしぎ草紙』(新潮文庫)
32 宮部みゆき『スナーク狩り』(光文社文庫)※旧版。現在の解説は大森望
123 宮部みゆき『理由』(新潮文庫)
88  村山由佳『翼』(集英社文庫)
167 村山由佳『永遠。』(講談社文庫)
160 ミステリー文学資料館篇『わが名はタフガイ』(光文社文庫)
135 盛田隆二『ラスト・ワルツ』(角川文庫)
129 森村誠一『棟居刑事の殺人の衣裳』(中公文庫)
132 森村誠一『窓』(光文社文庫)
137 森村誠一『深海の迷路』(講談社文庫)
141 森村誠一『地果て海尽きるまで』(ハルキ文庫)
149 森村誠一『黒い戦闘機』(集英社文庫)
164 森村誠一『闇の処刑人 刺客請負人』(中公文庫)
220 森村誠一『棟居刑事の純白の証明』(中公文庫)
245 森村誠一『白の十字架』(中公文庫)
262 森村誠一『碧(あお)の十字架』(中公文庫)
253 森村誠一『青春の守護者』(角川文庫)
267 森村誠一『悪しき星座』(集英社文庫)
275 森村誠一『青春の条件』(ハルキ文庫)
294 森村誠一『夜明けのコーヒーを君と一緒に』(中公文庫)
295 森村誠一『新・野性の証明』(角川文庫)
327 森村誠一『悪道 西国謀反』(講談社文庫)
331 森村誠一『棟居刑事 代行人(ジ・エージェント)』(中公文庫)
335 森村誠一『社奴』(集英社文庫)
341 森村誠一『ミッドウェイ』(講談社文庫)
352 森村誠一『勇者の証明』(集英社文庫)
355 森村誠一『棟居刑事 荒野の証明』(中公文庫)
372 森村誠一『復讐の花期 君に白い羽根を返せ』(集英社文庫)
389 森村誠一『深海の人魚』(幻冬舎文庫)
394 森村誠一『棟居刑事の殺人の隙間』(中公文庫)
399 森村誠一『凍土の狩人』(集英社文庫)
404 森村誠一『棟居刑事の黙示録』(中公文庫)
421 森村誠一『社賊』(集英社文庫)
358 森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』(幻冬舎文庫)

●や
381 山田宗樹『ギフテッド』(幻冬舎文庫)
348 薬丸岳『ハードラック』(講談社文庫)
282 矢野隆『蛇衆』(集英社文庫)
75 矢作俊彦『マイク・ハマーへ伝言』(角川文庫)
140 矢作俊彦『リンゴォ・キッドの休日』(角川文庫)
62  山田智彦『重役室25時』(徳間文庫)
148 唯川恵『ベターハーフ』(集英社文庫)
359 唯川恵『霧町ロマンティカ』(新潮文庫)※『途方もなく霧は流れる』改題。
159 横山秀夫『第三の時効』(集英社文庫)
66  吉川英明『水よりも濃く』(講談社文庫)
126 吉村昭『秋の街』(中公文庫)
204 吉岡暁『サンマイ崩れ』( 角川ホラー文庫)
416 吉川英梨『聖母の共犯者 警視庁53教場』(角川文庫)
314 吉村龍一『旅のおわりは』(集英社文庫)
338 吉村喜彦『ウィスキー・ボーイ』(PHP文芸文庫)

●ら/わ
57  連城三紀彦『恋』(幻冬舎文庫)
320 連城三紀彦『隠れ菊』(集英社文庫)
109 若竹七海『古書アゼリアの死体』(光文社文庫)
409 渡辺優『ラメルノエリキサ』(集英社文庫)

■海外文庫(単行本)解説リスト(出版社別)

●ハヤカワ文庫(ハ)&早川書房&HPB(ハヤカワ・ミステリ)
1 ロバート・B・パーカー『レイチェル・ウォレスを捜せ』(ハ)
2 ジェイムズ・クラムリー『さらば甘き口づけ』(ハ)
3 ディック・フランシス『名門』(ハ)
7 ローレンス・ブロック『暗闇にひと突き』(ハ)
9 マイクル・Z・リューイン『A型の女』(ハ)
10 早川書房編集部編『ミステリ・ハンドブック』(ハ。鼎談・評論2本)
18 エド・マクベイン『長靴をはいた猫』(ハ)
21 アンドリュー・ヴァクス『フラッド』(ハ)
23 スー・グラフトン『殺人のH』(ハ)
24 エド・マクベイン『魔術』(ハ)
59  ロバート・B・パーカー『沈黙』(早川書房)
74 デイヴィッド・ピース『1974  ジョーカー』(ハ)
84  ジョン・モーガン・ウィルスン『夜の片隅で』(ハ)
98  ジェフリー・ディーヴァー『ヘルズ・キッチン』(ハ)※解説は共著
100 ジェフリー・ディーヴァー『ブラッディ・リヴァー・ブルース』(ハ)※共著
102 ジェフリー・ディーヴァー『シャロウ・グレイブズ』(ハ)※共著
104 ジョー・R・ランズデール『ダークライン』(早川書房)
112 T・ジェファーソン・パーカー『コールド・ロード』(早川書房)
114 デニス・ルヘイン『シャッター・アイランド』(早川書房)※袋閉じで見えず
116 アガサ・クリスティー『未完の肖像』(ハヤカワ文庫)
118 マーヴィン・H・アルバート『セメントの女』(HPB)
157 トレヴェニアン『シブミ』(ハヤカワ文庫)
161 ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(ハ)
169 グレアム・グリーン『ヒューマン・ファクター』(ハヤカワ文庫)
194 ローリー・リン・ドラモンド『あなたに不利な証拠として』(ハ)
202 デニス・ルヘイン『運命の日』(早川書房、7月)※賛辞
224 スティーグ・ラーソン『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』(早川書房)
247 ジョン・ハート『ラスト・チャイルド』(ハヤカワ文庫&HPB)
252 サラ・パレツキー『サマータイム・ブルース』(ハヤカワ文庫)
261 ディック・フランシス&フェリックス・フランシス『矜持』(早川書房)
271 ゾラン・ドヴェンカー『謝罪代行社』(ハヤカワ文庫)
298 ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q 檻の中の女』(ハヤカワ文庫)
326 トム・フランクリン『ねじれた文字、ねじれた路』(ハヤカワ文庫)
321 ジョナサン・ホルト『カルニヴィア1 禁忌』(HPB)
363 ピエール・ルメートル『天国でまた会おう』(早川書房)※推薦文
365 ウイリアム・アイリッシュ『幻の女』(ハヤカワ文庫)
376 ベン・H・ウィンター『地上最後の刑事』(ハヤカワ文庫)
402 ユッシ・エーズラ・オールスン『アルファベット・ハウス』(ハヤカワ文庫)
417 デニス・ルヘイン『過ぎ去りし世界』(ハヤカワ文庫)

●講談社文庫
17 デイヴィッド・ハンドラー『猫と針金』(講談社文庫)
30 デイヴィッド・グターソン『殺人容疑』(講談社文庫)
41  アメリカ探偵作家クラブ編『ミステリー書き方』(講談社文庫)
44  シャスティン・エークマン『白い沈黙』(講談社文庫)
50 A・デュマ 村松友視訳『モンテ・クリスト伯』(講談社)
61 デイヴィッド・グターソン『死よ光よ』(講談社文庫)
64 ローレン・D・エスルマン『欺き』(講談社文庫)
68  ロバート・クラーク『記憶なき殺人』(講談社文庫)
96  スティーヴ・マルティニ『弁護人』(講談社文庫)
125 ルブラン原作/逢坂剛訳『奇岩巌』(講談社文庫)
134 ロバート・ゴダード『悠久の窓』(講談社文庫)
150 C・J・ボックス『凍れる森』(講談社文庫)
303 リー・チャイルド『アウトロー』(講談社文庫)

●文春文庫
77  ボストン・テラン『神は銃弾』(文春文庫)
107 マックス・アラン・コリンズ『黒衣のダリア』(文春文庫)
115 ジェイムズ・エルロイ『わが暗黒の母』(文春文庫)
127 キース・アブロウ『抑えがたい欲望』(文春文庫)
139 アラフェア・バーク『消えた境界線』(文春文庫)
151 レイ・ブラッドベリ『死ぬときはひとりぼっち』(文藝春秋)
185 トマス・H・クック『石のささやき』(文春文庫)
277 ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』(文春文庫)
333 テリー・ホワイト『真夜中の相棒』(文春文庫)
386 ピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』(文春文庫)

●扶桑社ミステリー
4 ウイリアム・G・タプリー『ウィーラーからの電話』(扶)
5 ジャック・アーリー『9本指の死体』(扶)
11 サンドラ・スコペトーネ『狂気の愛』(扶)
38  バーバラ・ヴァイン『長い夜の果てに』(扶)
54  スチュアート・カミンスキー『愚者たちの街』(扶)
76 ドナルド・ジェイムズ『凶運を語る女 ムルマンスク、2017年』(扶)
86  デイヴィッド・K・ハーフォード『ヴェナトム戦場の殺人』(扶)
110 ハリー・ホイッティントン『殺人の代償』(扶)
124 ジョイス・キャロル・オーツ『生ける屍』(扶)※賛辞
142 『ジム・トンプスン最強読本』(扶桑社)※『ゲッタウェイ論』所収
147 ニーナ・ルヴォワル『ある日系人の肖像』(扶)
171 ケヴィン・ギルフォイル『我らが影歩みし所』(扶)

●創元推理文庫
8 キース・ピータースン『幻の終わり』(創元推理文庫)
12 マックス・アラン・コリンズ『想い出は奪えない』(創元推理文庫)
52  ロバート・ゴダード『鉄の絆』(創元推理文庫)
89  アンドリュー・クラヴァン『愛しのクレメンタイン』(創元推理文庫)
155 W・L・リプリー『夢なき街の狩人』(創元推理文庫)
219 ロス・マクドナルド『兇悪の浜』(創元推理文庫)
248 S・J・ローザン『夜の試写会 リディア&ビル短編集』(創元推理文庫)

●集英社文庫
33 ダシール・ハメット『コンティネンタル・オプ』(集英社文庫)
268 カミラ・レックバリ『悪童 エリカ&パトリック事件簿』(集英社文庫)
273 申京淑(シン・ギョンスク)『母をお願い』(集英社文庫)※帯の推薦文
276 クレイグ・マクドナルド『パンチョ・ビリャの罠』(集英社文庫)
310 カミラ・レックバリ『踊る骸 エリカ&パトリック事件簿5』(集英社文庫)
357 ジョー・ネスボ『ネメシス 復讐の女神』(集英社文庫)
427 バリー・ランセット『ジャパンタウン』(集英社)

●DHC
60 スー・グラフトン編『アメリカミステリ傑作選2000』(DHC)
72 エド・マクベイン編『アメリカミステリ傑作選2001』(DHC)
90 ドナルド・ E・ウェストレイク編『アメリカミステリ傑作選2002』(DHC)
105 ローレンス・ブロック編『アメリカミステリ傑作選2003』(DHC)
121 ジョイス・キャロル・オーツ編『アメリカ新進作家傑作選2003』(DHC)
145 ジョン・ケイシー編『アメリカ新進作家傑作選2004』(DHC)
163 フランシン・プローズ編『アメリカ新進作家傑作選2005』(DHC)
184 ジェーン・スマイリー編『アメリカ新進作家傑作選2006』(DHC)
212 スー・ミラー編『アメリカ新進作家傑作選2007』(DHC)
235 リチャード・ボーシュ編『アメリカ新進作家傑作選2008』(DHC)
258 J・ディーヴァー編『ベスト・アメリカン・短編ミステリ』(DHC)
300 ハーラン・コーベン&オットー・ペンズラー編『ベストアメリカン短篇ミステリ    2012』(DHC)
347 ローラ・リップマン篇『ベスト・アメリカン短篇ミステリ2014』(DHC)

●そのほか
27 ローレンス・ブロック『墓場への切符』(二見文庫)
29 ジョン・カルヴィン・バチュラー『二人の大統領』(祥伝社。※賛辞)
45  ジョー・ゴアズ『ハメット』(角川文庫)
48  エディ・リトル『アナザー・デイ・イン・パラダイス』(ソニーマガジン)
94  ラウル・ホイットフィールド『グリーン・アイス』(小学館)
101 エリック・ガルシア『鉤爪プレイバック』(ヴィレッジブックス)
146 ロバート・マキャモン『少年時代』(ヴィレッジブックス)
153 クライヴ・バーカー『アバラット』(ヴィレッジブックス)
242 ジェラルディン・ブルックス『古書の来歴』(ランダムハウス講談社)※賛辞
388 ジョン・ル・カレ『われらが背きし者』(岩波現代文庫)
428 ラグナル・ヨナソン『闇という名の娘』(小学館文庫)

北上次郎『書評家稼業四十年』と文庫解説リスト

昨年の夏になるけれど、文芸評論家の北上次郎さんから本をいただいた。『書評家稼業四十年』(本の雑誌社)である。
本の帯には「エンタメ書評界の回想録」とあるけれど、単なる回想にとどまらず、四十年間の小説の流行を詳しく検証しているし(とくに真ん中に置かれた「書評家になるまで」「中間小説の時代」の章が圧巻)、書評を書く上での苦労と愉悦をエピソード満載で生き生きと楽しく書いているし、作家や編集者や書評家たちとの交流も多彩で(僕もところどころに顔をだします)、実に面白い。エンターテインメントや書評や編集などに興味がある方なら、ぜひ読まれるといいだろう。
この本の巻末に、北上次郎文庫解説リストがついている。これが壮観。1978年から2018年までの40年間のリストである。北上さんは文庫解説を選んでいるはずだが(好きな作品しかとりあげない主義だと思う。単独の推薦文も断り、雑誌に掲載されたものを帯に使ってくれと頼んでいる。こんなに厳格な文芸評論家はまずいないと思う)、それでもやはり40年間におよぶと数は多い。
リストを見て、僕も解説リストを提示したくなった。それで以下に、文庫解説リストをはりつけるけれど、わかっているだけで、2冊ほど、北上さんが断ったために僕のところに解説依頼がきたものがある。編集者にきけばもっとあるのかもしれないが、そういうことはあまり教えてくれない。まあ、二番手だろうと何だろうと解説できるのは嬉しい。名誉に思えるからね。では、解説リストをはりつけます。単独の推薦文リストもついでに。

 

■池上冬樹/年代順別文庫解説リスト(ハ=ハヤカワ文庫、創=創元推理文庫、扶=扶桑社ミステリー)▼=単独の推薦文(解説ではありません)

●1988年
・ロバート・B・パーカー『レイチェル・ウォレスを捜せ』(ハヤカワ文庫、3月)
・ジェイムズ・クラムリー『さらば甘き口づけ』(ハヤカワ文庫、9月)
・ディック・フランシス『名門』(ハヤカワ文庫、10月)

●1990年
・ウイリアム・G・タプリー『ウィーラーからの電話』(扶桑社ミステリー、1月)
・ジャック・アーリー『9本指の死体』(扶桑社ミステリー、3月)
・東理夫『暁の翼の男』(光文社文庫、5月)
・ローレンス・ブロック『暗闇にひと突き』(ハヤカワ文庫、9月)

●1991年
・キース・ピータースン『幻の終わり』(創元推理文庫、6月)
・マイクル・Z・リューイン『A型の女』(ハヤカワ文庫、7月)
・早川書房編集部編『ミステリ・ハンドブック』(同。鼎談・評論2本、9月)

●1992年
・サンドラ・スコペトーネ『狂気の愛』(扶桑社ミステリー、9月)
・マックス・アラン・コリンズ『想い出は奪えない』(創元推理文庫、11月)

●1993年
・法月綸太郎『頼子のために』(講談社文庫、5月)
・花村萬月『重金属青年団』(角川文庫、6月)
・斎藤純『海へ、そして土曜日』(講談社文庫、7月)
・志水辰夫『帰りなん、いざ』(講談社文庫、7月)
・デイヴィッド・ハンドラー『猫と針金』(講談社文庫、10月)

●1994年
・エド・マクベイン『長靴をはいた猫』(ハヤカワ文庫、2月)
・花村萬月『渋谷ルシファー』(集英社文庫、3月)
・大沢在昌『感傷の街角』(角川文庫、9月)
・アンドリュー・ヴァクス『フラッド』(ハヤカワ文庫、9月)
・北方謙三『不良の木』(光文社文庫、10月)

●1995年
・スー・グラフトン『殺人のH』(ハヤカワ文庫、5月)
・エド・マクベイン『魔術』(ハヤカワ文庫、6月)
・北方謙三『錆びた浮標』(講談社文庫、7月)
・宮部みゆき『本所深川ふしぎ草紙』(新潮文庫、9月)
・ローレンス・ブロック『墓場への切符』(二見文庫、11月)

●1996年
・打海文三『されど修羅ゆく君は』(徳間書店、5月)
▼ジョン・カルヴィン・バチュラー『二人の大統領』(祥伝社。※賛辞。6月)
・デイヴィッド・グターソン『殺人容疑』(講談社文庫、9月)

●1997年
・佐藤正午『人参倶楽部』(集英社文庫、1月)
・宮部みゆき『スナーク狩り』(光文社文庫、6月)
・ダシール・ハメット『コンティネンタル・オプ』(集英社文庫、7月)
・北方謙三『日付変更線』(幻冬舎文庫、8月)
・椎名誠『トロッコ海岸』(文春文庫、9月)
▼神崎京介『ピュア』(幻冬舎ノベルス。※賛辞。12月)

●1998年
▼古川日出男『13』(幻冬舎。※賛辞。1998年3月)
・バーバラ・ヴァイン『長い夜の果てに』(扶桑社ミステリー、3月)
・小池真理子『怪しい隣人』(集英社文庫、4月)
・花村萬月『ぢん・ぢん・ぢん』(祥伝社。※単行本。7月)
・アメリカ探偵作家クラブ編『ミステリー書き方』(講談社文庫、7月)
・北方謙三『遠い港』(角川文庫、7月)
・野沢尚『恋愛時代』(幻冬舎文庫、8月)
・シャスティン・エークマン『白い沈黙』(講談社文庫、8月)
・ジョー・ゴアズ『ハメット』(角川文庫、9月)
・重松清『ビフォア・ラン』(幻冬舎文庫、10月)
・小鷹信光『探偵物語』(幻冬舎文庫、10月)
・エディ・リトル『アナザー・デイ・イン・パラダイス』(ソニーマガジン、10月)
・大沢在昌『天使の牙』(角川文庫、11月)
・テレパル編集部『ミステリー作家90人のマイ・ベストミステリー映画』 (小学館文庫
・A・デュマ 村松友視訳『モンテ・クリスト伯』(講談社、12月)

●1999年
▼吉田直樹『緋の楔』(祥伝社。カヴァーの賛辞。1999年4月)
・ロバート・ゴダード『鉄の絆』(創元推理文庫、4月)
・小林信彦『〈超〉読書法』(文春文庫、5月)
・スチュアート・カミンスキー『愚者たちの街』(扶桑社ミステリー、6月)
・乃南アサ『結婚詐欺師』(幻冬舎文庫、8月)
・本間香一郎『置き去りの街』( カッパ・ノベルス、8月)
・連城三紀彦『恋』(幻冬舎文庫、11月)
・逢坂剛『よみがえる百舌』(集英社文庫、11月)
・ロバート・B・パーカー『沈黙』(早川書房、12月)
・スー・グラフトン編『アメリカミステリ傑作選 2000』(DHC、12月)

●2000年
・デイヴィッド・グターソン『死よ光よ』(講談社文庫、2000年2月)
・山田智彦『重役室25時』(徳間文庫、4月)
・小池真理子『欲望』(新潮文庫、4月)
・ローレン・D・エスルマン『欺き』(講談社文庫、4月)
・小林信彦『読書中毒 ブックレシピ61』(文春文庫、5月)
・吉川英明『水よりも濃く』(講談社文庫、7月)
・佐々木譲『総督と呼ばれた男』(集英社文庫、8月)
・ロバート・クラーク『記憶なき殺人』(講談社文庫、9月)
・『ジャンル別文庫本ベスト1000』(安原顕編、学研M文庫、9月)
・椎名誠『黄金時代』(文春文庫、12月)

●2001年
・花村萬月『ぢん・ぢん・ぢん』(祥伝社文庫、2001年3月)※40に追記
・野沢尚『リミット』(講談社文庫、6月)
・エド・マクベイン編『アメリカミステリ傑作選2001』(DHC、6月)
・石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』(文春文庫、7月)
・デイヴィッド・ピース『1974  ジョーカー』(ハヤカワ文庫、7月)
・矢作俊彦『マイク・ハマーへ伝言』(角川文庫、7月)
・ドナルド・ジェイムズ『凶運を語る女 ムルマンスク、2017年』(扶、7月)
・ボストン・テラン『神は銃弾』(文春文庫、9月)
・酒見賢一『童貞』(集英社文庫、9月)
・大沢在昌『B・D・T 掟の街』(角川文庫、9月)
・荻原浩『オロロ畑でつかまえて』(集英社文庫、10月)
・斎藤純『凍樹』(講談社文庫、11月)
・佐藤正午『恋を数えて』(角川文庫、11月)
・高橋克彦『完四郎広目手控』(集英社文庫、12月)

●2002年
・ジョン・モーガン・ウィルスン『夜の片隅で』(ハ、2002年2月)
・逢坂剛『カディスの赤い星』(双葉文庫、2月)
・デイヴィッド・K・ハーフォード『ヴェナトム戦場の殺人』(扶、3月)
・佐藤賢一『王妃の離婚』(集英社文庫、5月)
・村山由佳『翼』(集英社文庫、6月)
・アンドリュー・クラヴァン『愛しのクレメンタイン』(創元推理文庫、6月)
・ドナルド・ E・ウェストレイク編『アメリカミステリ傑作選2002』(DHC 、6月)
▼『まるごと宮部みゆき』所収「ミステリ論」(朝日新聞社、7月)
・高見広春『バトル・ロワイアル』(幻冬舍文庫、8月)
・勝目梓『報復のバラード』(光文社文庫、8月)
・ラウル・ホイットフィールド『グリーン・アイス』(小学館、8月)
・奥田英朗『最悪』(講談社文庫、9月)
・スティーヴ・マルティニ『弁護人』(講談社文庫)、11月)
・馳星周『M』(文春文庫、12月)
・ジェフリー・ディーヴァー『ヘルズ・キッチン』(ハ、12月)※解説は共著

●2003年
・大藪春彦『雇われ探偵』(光文社文庫、2003年1月)
・ジェフリー・ディーヴァー『ブラッディ・リヴァー・ブルース』(ハ、1月)※共著
・エリック・ガルシア『鉤爪プレイバック』(ヴィレッジブックス、1月)
・ジェフリー・ディーヴァー『シャロウ・グレイブズ』(ハ、2月)※共著
▼103 伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』(ノン・ノベル)※賛辞
・ジョー・R・ランズデール『ダークライン』(早川書房、3月)
・ローレンス・ブロック編『アメリカミステリ傑作選2003』(DHC、6月)
・古川日出男『沈黙/アビシニアン』(角川文庫、7月)
・マックス・アラン・コリンズ『黒衣のダリア』(文春文庫、9月)
・麻生幾『ZERO』(幻冬舎文庫、9月)
・若竹七海『古書アゼリアの死体』(光文社文庫、9月)
・ハリー・ホイッティントン『殺人の代償』(扶、10月)
・新野剛志『罰』(幻冬舎文庫、10月)
・T・ジェファーソン・パーカー『コールド・ロード』(早川書房、10月)
・大藪春彦『人狩り』(光文社文庫、10月)
・デニス・ルヘイン『シャッター・アイランド』(早川書房、12月)

●2004年
・ジェイムズ・エルロイ『わが暗黒の母』(文春文庫、2004年 1月)
・アガサ・クリスティー『未完の肖像』(ハヤカワ文庫、1月)
・椎名誠『春画』(集英社文庫、2月)
・マーヴィン・H・アルバート『セメントの女』(HPB、4月)
・逢坂剛『配達される女』(集英社文庫、4月)
・北方謙三『冬の眠り』(文春文庫、5月)
・ジョイス・キャロル・オーツ編『アメリカ新進作家傑作選2003』(DHC、5月)
・柴田よしき『ふたたびの虹』(祥伝社文庫、6月)
・宮部みゆき『理由』(新潮文庫、6月)
▼ジョイス・キャロル・オーツ『生ける屍』(扶桑社ミステリー、7月)※賛辞
・ルブラン原作/逢坂剛訳『奇岩巌』(講談社文庫、8月)
・吉村昭『秋の街』(中公文庫、8月)
・キース・アブロウ『抑えがたい欲望』(文春文庫、9月)
・佐伯一麦『遠き山に日は落ちて』(集英社文庫、10月)
・森村誠一『棟居刑事の殺人の衣裳』(中公文庫、10月)
・北方謙三『擬態』(文春文庫、11月)
・熊谷達也『山背郷』(集英社文庫、12月)
・森村誠一『窓』(光文社文庫、12月)

●2005年
・志水辰夫『背いて故郷』(新潮文庫、2005年1月)
・ロバート・ゴダード『悠久の窓』(講談社文庫、3月)
・盛田隆二『ラスト・ワルツ』(角川文庫、3月)
・仁木悦子『探偵三影潤全集②青の巻』(出版芸術社、4月)
・森村誠一『深海の迷路』(講談社文庫、4月)
・伊坂幸太郎『ラッシュライフ』(新潮文庫、4月)
・アラフェア・バーク『消えた境界線』(文春文庫、5月)
・矢作俊彦『リンゴォ・キッドの休日』(角川文庫、5月)
・森村誠一『地果て海尽きるまで』(ハルキ文庫、6月)
▼『ジム・トンプスン最強読本』(扶桑社、6月)※『ゲッタウェイ論』所収
・北方謙三『鎖』(文春文庫、7月)
・打海文三『そこに薔薇があった』(中公文庫、7月)
・ジョン・ケイシー編『アメリカ新進作家傑作選2004』(DHC、7月)
・ロバート・マキャモン『少年時代』(ヴィレッジブックス、7月)
・ニーナ・ルヴォワル『ある日系人の肖像』(扶桑社ミステリー、8月)
・唯川恵『ベターハーフ』(集英社文庫、9月)
・森村誠一『黒い戦闘機』(集英社文庫、9月)
・C・J・ボックス『凍れる森』(講談社文庫、10月)
・レイ・ブラッドベリ『死ぬときはひとりぼっち』(文藝春秋、10月)
・篠田節子『マエストロ』(角川文庫、11月)
・クライヴ・バーカー『アバラット』(ヴィレッジブックス、11月)
・蓮見圭一『水曜日の朝、午前三時』(新潮文庫、12月)
・W・L・リプリー『夢なき街の狩人』(創元推理文庫、12月)

●2006年
・北方謙三『白日』(文春文庫、2006年1月)
・トレヴェニアン『シブミ』(ハヤカワ文庫、2月)
・石坂洋次郎『陽のあたる坂道』(角川文庫、2月)
・横山秀夫『第三の時効』(集英社文庫、3月)
・ミステリー文学資料館篇『わが名はタフガイ』(光文社文庫、5月)
・ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(ハ、5月)
・北方謙三『煤煙』(講談社文庫、7月)
・フランシン・プローズ編『アメリカ新進作家傑作選2005』(DHC 、7月)
・森村誠一『闇の処刑人 刺客請負人』(中公文庫、7月)
・恩田陸『夜のピクニック』(新潮文庫、9月)
・北上次郎『感情の法則』(幻冬舎文庫、10月)
・村山由佳『永遠。』(講談社文庫、10月)
・樋口有介『枯葉色グッドバイ』(文春文庫、11月)
・グレアム・グリーン『ヒューマン・ファクター』(ハヤカワ文庫、11月)
・170 『X橋付近 高城高ハードボイルド傑作選』(荒蝦夷、12月)
・ケヴィン・ギルフォイル『我らが影歩みし所』(扶桑社ミステリー、12月)

●2007年
・北方謙三『水滸伝四 道蛇の章』(集英社文庫、2007年1月)
・馳星周『クラッシュ』(徳間文庫、2月)
・逢坂剛『猿曳遁兵衛 重蔵始末(三)』(講談社文庫、3月)
・野沢尚『ひたひたと』(講談社文庫、5月)
・河崎愛美『あなたへ』(小学館文庫、5月)
・佐藤賢一『剣闘士スパルタクス』(中公文庫、5月)
・角田光代『太陽と毒ぐも』(文春文庫、6月)
・深町秋生『果てしなき渇き』(宝島社文庫、6月)
・南条範夫『大名廃絶録』(文春文庫、7月)
▼ロバート・シェイ&ロバート・A・ウィルスン
『イルミナティⅢ リヴァイアサン襲来』(集英社文庫、7月。※賛辞)
▼アンヌ・ランバック『東京カオス』(阪急コミニュケーションズ、8月。※賛辞)
▼川上健一『渾身』(集英社、8月)※帯に「青春と読書」の書評引用
・ジェーン・スマイリー編『アメリカ新進作家傑作選2006』(DHC、8月)
・トマス・H・クック『石のささやき』(文春文庫、9月)
・杉山隆男『汐留川』(文春文庫、10月)
・香納諒一『あの夏、風の街に消えた』(角川文庫、10月)
・佐藤正午『彼女について知ることのすべて』(光文社文庫、11月)
▼清野かおり『スパイラル』(ポプラ社、12月)※帯に「asta」の書評
・宮本輝『草原の椅子』(新潮文庫、12月)

●2008年
・北重人『夏の椿』(文春文庫、2008年1月)
・打海文三『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』(光文社、2月)
・藤堂絆『アシタ』(ピュアフル文庫、3月)
・ローリー・リン・ドラモンドの『あなたに不利な証拠として』(ハ、3月)
▼ジョージ・P・ペレケーノス『変わらぬ哀しみは』(ハ、3月)※賛辞
・南木佳士『こぶしの上のダルマ』(文春文庫、4月)
・瀬尾まいこ『優しい音楽』(双葉文庫、4月)
・佐々木譲『夜にその名を呼べば』(ハヤカワ文庫、5月)
・鬼塚忠『Little DJ 小さな恋の物語』(ポプラ社文庫、6月)
・北上次郎『冒険小説論 近代ヒーロー像100年の変遷』(双葉文庫、6月)
▼三田完『当マイクロフォン』(角川書店、6月)※雑誌掲載の引用(賛辞)
▼デニス・ルヘイン『運命の日』(早川書房、7月)※賛辞
・貫井徳郎『追憶のかけら』(文春文庫、7月)
・吉岡暁『サンマイ崩れ』( 角川ホラー文庫、7 月)
・佐々木譲『ネプチューンの迷宮』( 扶桑社文庫、9月)
・早川書房編集部編『ロバート・B・パーカー読本』(早川書房、9月)
・打海文三『一九七二年のレイニー・ラウ』(小学館文庫、10月)
・飴村行『粘膜人間』(角川ホラー文庫、10月)
・打海文三『覇者と覇者』(角川書店、10月)
・高城高『高城高全集第四巻 星の岬』(創元推理文庫、11月)
・佐々木譲『飛ぶ想い』(扶桑社文庫、11月)
・スー・ミラー編『アメリカ新進作家傑作選2007』(DHC、11月)
▼スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』
(早川書房、12月)※賛辞

●2009年
・乃南アサ『風の墓碑銘(エピタフ)』(新潮文庫、2009年1月)
・永瀬隼介『誓いの夏から』(光文社文庫、2月)
・誉田哲也『ジウⅢ 新世界秩序』(中公文庫、2月)
・佐々木譲『ラストラン』(ポプラ社文庫、4月)
・片岡義男『花模様が怖い 謎と銃弾の短篇』(池上冬樹編・ハヤカワ文庫、4月)
・ロス・マクドナルド『兇悪の浜』(創元推理文庫、4月)
・森村誠一『棟居刑事の純白の証明』(中公文庫、4月)
・川上弘美『夜の公園』(中公文庫、4月)
・新庄節美『夏休みだけ探偵団 二丁目の犬小屋盗難事件』(日本標準、4月)
・川端裕人『今ここにいるぼくらは』(集英社文庫、5月)
・管野ひろし『秒奪 交通システムに侵入せよ』(ポプラ社、7月)
・スティーグ・ラーソン『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』(早、7月)
・真保裕一『栄光なき凱旋』(文春文庫、7月)※上中下の下巻に
・北方謙三『旅のいろ』(講談社文庫、9月)
・藤原伊織『ひまわりの祝祭』(角川文庫、9月)
・志水辰夫『青に候』(新潮文庫、10月)
・熊谷達也『新任教師』(徳間文庫、10月)
・藤原審爾『新宿警察Ⅱ 慈悲の報酬』(双葉文庫、10月)※小説推理転載
・勝目梓『小説家』(講談社文庫、10月)
・北方謙三『棒の哀しみ』(集英社文庫、10月)
・佐伯一麦『石の肺 僕のアスベスト履歴書』(新潮文庫、10月)
・佐々木譲『夜を急ぐ者よ』(ポプラ文庫、11月)
・リチャード・ボーシュ編『アメリカ新進作家傑作選2008』(DHC、11月)
・平安寿子『あなたにもできる悪いこと』(講談社文庫、12月)
・北重人『火の闇 飴売り三左事件帖』(徳間書店、12月)※問題小説転載
・北重人『夜明けの橋』(新潮社、12月)※小説新潮転載
▼桜木紫乃『恋肌』(角川書店、12月)※帯の推薦文

●2010年
・北重人『白疾風』(文春文庫、2010年1月)
・打海文三『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』(光文社文庫、1月)
▼ジェラルディン・ブルックス『古書の来歴』(ランダムハウス講談社、1月)※帯
・北原亞以子『まんがら茂平次』(徳間文庫、2月)
・北方謙三『冬こそ獣は走る』(光文社文庫、2月)
・森村誠一『白の十字架』(中公文庫、3月)
・白川道『最も遠い銀河』(幻冬舎文庫、4月)
・ジョン・ハート『ラスト・チャイルド』(ハヤカワ文庫&HPB、4月)
・S・J・ローザン『夜の試写会 リディア&ビル短編集』(創、4月)
・佐々木譲『鉄騎兵、跳んだ』(文春文庫、5月)
・佐藤賢一『黒い悪魔』(文春文庫、8月)
・北方謙三『夜が傷つけた』(講談社文庫、8月)
・サラ・パレツキー『サマータイム・ブルース』(ハヤカワ文庫、8月)
・森村誠一『青春の守護者』(角川文庫、9月)
▼深町秋生『ダブル』(幻冬舎、9月)※ウェブの書評が帯に引用される
▼三咲光郎『死の犬』(角川書店、9月)※帯の推薦文
・高橋克彦『風の陣 風雲篇』(PHP文庫、10月)
▼高城高『ウラジオストクから来た女』(東京創元社、10月)※帯の推薦文
・J・ディーヴァー編『ベスト・アメリカン・短編ミステリ』(DHC、11月)
・深町秋生『果てしなき渇き』(宝島社文庫、11月)※新装版。加筆版
・花村萬月『錏娥哢□(アガルタ)』(集英社文庫、12月)

●2011年
・ディック・フランシス&フェリックス・フランシス『矜持』(早川書房、1月)
・森村誠一『碧(あお)の十字架』(中公文庫、1月)
・熊谷達也『群青に沈め』(角川文庫、2月)
・佐々木譲『ネプチューンの迷宮』(ポプラ社文庫、2月)※扶桑社文庫の移籍
・トレヴェニアン『シブミ』(ハヤカワ文庫、3月)※新装版。解説に加筆。
・穂高明『月のうた』(ポプラ文庫、4月)
・森村誠一『悪しき星座』(集英社文庫、4月)
・カミラ・レックバリ『悪童 エリカ&パトリック事件簿』(集英社文庫、4月)
・太田忠司『刑事失格』(創元推理文庫、4月)
・堂場瞬一『断絶』(中公文庫、7月)
・ゾラン・ドヴェンカー『謝罪代行社』(ハヤカワ文庫、8月)
▼申京淑『母をお願い』(集英社文庫、9月)※帯の推薦文
▼月村了衛『機龍警察 自爆条項』(早川書房、9月)※帯の推薦文
・森村誠一『青春の条件』(ハルキ文庫、10月)
・クレイグ・マクドナルド『パンチョ・ビリャの罠』(集英社文庫、10月)
・ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』(文春文庫、11月)
・佐藤正午『身の上話』(光文社文庫、11月)
・伊集院静『三年坂』(講談社文庫、11月)
・木村二郎『ヴェニスを見て死ね』(創元推理文庫、11月)
・スティーグ・ラーセン『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
(ハヤカワ文庫、12月)※「224」の文庫化
・矢野隆『蛇衆』(集英社文庫、12月)
・佐竹幸子『星ふる村落からこんばんわ』(書肆犀、12月)

●2012年
・安達千夏『かれん』(角川文庫、2012年1月)
・高橋義夫『御隠居忍法 魔物』(中公文庫、1月)
・柴田哲孝『GEQ 大地震』(角川文庫、2月)
・伊集院静『お父やんとオジさん』(講談社文庫、3月)
・ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』
(ハヤカワ文庫、3月)※2006年刊行の新装版
・海野碧『アンダードッグ』(実業之日本社文庫、4月)
・佐藤賢一『戦争の足音 小説フランス革命9』(集英社文庫、5月)
・北重人『夜明けの橋』(新潮文庫、5月)※単行本の解説に加筆
・逢坂剛『兇弾 禿鷹Ⅴ』(文春文庫、7月)
・沼田まほかる『痺れる』(光文社文庫、8月)
・森村誠一『夜明けのコーヒーを君と一緒に』(中公文庫、9月)
・森村誠一『新・野性の証明』(角川文庫、9月)
・堂場瞬一『逸脱 捜査一課・澤村慶司』(角川文庫、9月)
▼太田愛『犯罪者 クリミナル』(角川書店、9月)※推薦文
・ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q 檻の中の女』(ハヤカワ文庫、10月)
・『ベストアメリカン短篇ミステリ2012』(ハーラン・コーベン&オットー・     ペンズラー編。DHC、11月)

●2013年
・中路啓太『豊国神宝』(新潮文庫、2013年1月)※『謎斬り右近』改題
・有川浩『植物図鑑』(幻冬舎文庫、1月)
・リー・チャイルド『アウトロー』(講談社文庫、1月)
▼織田啓一郎『谷中ゲリラアーチスト』(徳間書店、2月)※推薦文
▼新野剛志『美しい家』(講談社、2月)※推薦文
・馳星周『美ら海、血の海』(集英社文庫、3月)
・熊谷達也『稲穂の海』(文春文庫、4月)
・伊東潤『虚けの舞』(講談社文庫、4月)
・安東能明『伏流捜査』(集英社文庫、4月)
・カミラ・レックバリ『踊る骸 エリカ&パトリック事件簿5』(集英社文庫 4月)
▼小杉英了『先導者』(角川書店)※推薦文 昨年10月に出た本の帯改定版
・佐藤賢一『新徴組』(新潮文庫、5月)
・阿部和重『シンセミア』(講談社文庫、5月)
・吉村龍一『旅のおわりは』(集英社文庫、5月)
▼吉村龍一『光る牙』(講談社)※推薦文 2月に出た本の3刷帯改定
▼中路啓太『恥も外聞もなく売名す』(新潮社)※「波」の書評の引用
・柴田哲孝『異聞太平洋戦記』(講談社文庫、7月)
・麻生幾『奪還』(講談社文庫、7月)
▼レン・カーバボル&アネット・フリス『スーツケースの中の少年』
(講談社文庫、7月)※「イン・ポケット」書評の引用
・連城三紀彦『隠れ菊』(集英社文庫、7月)
・ジョナサン・ホルト『カルニヴィア1 禁忌』(ハヤカワ・ミステリ、9月)
・北方謙三『抱影』(講談社文庫、9月)
▼柚木麻子『伊藤くんA to E』(幻冬舎、9月)※推薦文
・北方謙三『史記 武帝紀(四)』(ハルキ文庫、10月)
・花村萬月『ウエストサイドソウル西方之魂』(講談社文庫、10月)
・トム・フランクリン『ねじれた文字、ねじれた路』(ハヤカワ文庫、11月)
・森村誠一『悪道 西国謀反』(講談社文庫、11月)
・日本推理作家協会編『BORDER 善と悪の境界』(講談社文庫、11月)
・佐藤正午『ダンスホール』(光文社文庫、11月)

●2014年
・福永武彦『幼年 その他』(講談社文芸文庫、2014年1月)
・森村誠一『棟居刑事 代行人(ジ・エージェント)』(中公文庫、2月)
▼森村誠一『祈りの証明 3・11の奇跡』(角川書店)※推薦文
・テリー・ホワイト『真夜中の相棒』(文春文庫、4月)
・野沢尚『野沢尚のミステリードラマは眠らない』(実業之日本社文庫、4月)
・森村誠一『社奴』(集英社文庫、4月)
・伊集院静『星月夜』(文春文庫、5月)
・司城志朗『スパム・リコール』(小学館文庫、5月)
・吉村喜彦『ウィスキー・ボーイ』(PHP文芸文庫、5月)
・桜木紫乃『硝子の葦』(新潮文庫、6月)
・堂場瞬一『ヒート』(実業之日本社文庫、6月)
・森村誠一『ミッドウェイ』(講談社文庫、7月)
・草凪優『堕落男(だらくもの)』(実業之日本社文庫、10月)
・小杉英了『先導者』(角川ホラー文庫、10月)
・北重人『花晒し』(文春文庫、11月)
・東山彰良『ファミリーレストラン』(実業之日本社文庫、12月)

●2015年
・葉室麟『千鳥舞う』(徳間文庫、2015年1月)
・ローラ・リップマン篇『ベスト・アメリカン短篇ミステリ2014』(DHC、1月
・薬丸岳『ハードラック』(講談社文庫、2月)
▼中村理聖『砂漠の青がとける夜』(集英社、2月)※推薦文
・大沢在昌『冬芽の人』(新潮文庫、3月)
・宮本輝『焚火の終わり』(文春文庫、3月)
・森村誠一『勇者の証明』(集英社文庫、4月)
・花村萬月『よろづ情ノ字薬種控』(光文社文庫、4月)
・高樹のぶ子『マルセル』(文春文庫、5月)
・『冒険の森へ・傑作小説大全 第11巻/復活する男』(集英社、5月)
・森村誠一『棟居刑事 荒野の証明』(中公文庫、6月)
・ジョー・ネスボ『ネメシス 復讐の女神』(集英社文庫、7月)
・森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』(幻冬舎文庫、7月)
・唯川恵『霧町ロマンティカ』(新潮文庫、8月)
▼草凪優『黒闇』(実業之日本社、9月)※推薦文
・北上次郎『勝手に! 文庫解説』(集英社文庫、9月)解説座談会
・草凪優『悪い女』(実業之日本社文庫、10月)
▼ピエール・ルメートル『天国でまた会おう』(早川書房、10月)※推薦文
▼石川智健『60 tとf の境界線』(講談社、10月)※推薦文
・ウイリアム・アイリッシュ『幻の女』(ハヤカワ文庫、11月)
・畠中恵『たぶんねこ』(新潮文庫、12月)
・柴田哲孝『国境の雪』(角川文庫、12月)

●2016年
・奥田英朗『沈黙の町で』(朝日文庫、2016年1月)
・伊集院静『ガッツン!』(双葉文庫、2月)
・東山彰良『さよなら的レボリューション 再見阿良』(徳間文庫、3月)
・鈴木光司『タイド』(角川ホラー文庫、3月)
・森村誠一『復讐の花期 君に白い羽根を返せ』(集英社文庫、4月)
・彩坂美月『ひぐらしふる』(幻冬舎文庫、4月)
・『冒険の森へ・傑作小説大全 第15巻/波浪の咆哮』(集英社、4月)
▼山本巧次『大江戸科学捜査八丁堀のおゆう 両国橋のご落胤』
(宝島社文庫、5月)※推薦文
・ベン・H・ウィンター『地上最後の刑事』(ハヤカワ文庫、6月)
・『冒険の森へ・傑作小説大全 第10巻/危険な旅路』(集英社、6月)
・辻原登『寂しい丘で狩りをする』(講談社文庫、6月)
・藤田宜永『探偵竹花・潜入調査』(光文社文庫、6月)
・松井今朝子『壺中の回廊』(集英社文庫、6月)
・山田宗樹『ギフテッド』(幻冬舎文庫、8月)
・西澤保彦『下戸は勘定に入れません』(中公文庫、8月)
・花房観音『まつりのあと』(光文社文庫、8月)
・『冒険の森へ・傑作小説大全 第3巻/背徳の仔ら』(集英社、9月)
・桜井鈴茂『どうしてこんなところに』(双葉文庫、9月)
・ピエール・ルメートル『傷だらけのカミーユ』(文春文庫、10月)
・佐伯泰英『流鶯 吉原裏同心(二十五)』(光文社文庫、10月)
・ジョン・ル・カレ『われらが背きし者』(岩波現代文庫、10月)
・森村誠一『深海の人魚』(幻冬舎文庫、10月)
・中路啓太『三日月の花』(中公文庫、10月)『恥も外聞もなく売名す』改題
・宇江佐真理『昨日みた夢 口入れ屋おふく』(角川文庫、10月)
・白川道『神様が降りてくる』(新潮文庫、11月)
・松岡圭祐『水鏡推理Ⅴ ニュークリアフュージョン』(講談社文庫、12月)
・森村誠一『棟居刑事の殺人の隙間』(中公文庫、12月)
・北方謙三『岳飛伝二 飛流の章』(集英社文庫、12月)

●2017年
・太田愛『犯罪者』(角川文庫、2017年1月)
・大沢在昌『ライアー』(新潮文庫、2月)
・深水黎一郎『少年時代』(ハルキ文庫、3月)
・森村誠一『凍土の狩人』(集英社文庫、3月)
・柴田哲孝『下山事件 暗殺者たちの夏』(祥伝社文庫、6月)
・中島京子『かたづの!』(集英社文庫、6月)
・ユッシ・エーズラ・オールスン『アルファベット・ハウス』(ハヤカワ文庫、6月)
・乾ルカ『青い花は未来で眠る』(角川文庫、8月)
・森村誠一『棟居刑事の黙示録』(中公文庫、10月)
・集英社文庫編集部編『短編伝説 愛を語れば』(集英社文庫、10月)
・今村翔吾『九紋龍 羽州ぼろ鳶組3』(祥伝社文庫、11月)
・逢坂剛『十字路に立つ女』(角川文庫、11月)
・法月綸太郎『新装版 頼子のために』(講談社文庫、12月)

●2018年
・渡辺優『ラメルノエリキサ』(集英社文庫、2018年2月)
・石川智健『60』(講談社文庫、3月)
・佐々木譲『屈折率』(光文社文庫、3月)
・名取佐和子『シェアハウスかざみどり』(幻冬舎文庫、4月)
・沢村鐵『雨の鎮魂歌』(中公文庫、10月)
・柴田哲孝『Mの暗号』(祥伝社文庫、11月)
・開高健『青い月曜日』(集英社文庫、11月)
・吉川英梨『聖母の共犯者 警視庁53教場』(角川文庫、11月)
・デニス・ルヘイン『過ぎ去りし世界』(ハヤカワ文庫、12月)

●2019年
・井上荒野『ママがやった』(文春文庫、2019年1月)
・本城雅人『英雄の条件』(新潮文庫、2月)
・伊兼源太郎『密告はうたう 警視庁監察ファイル』(実業之日本社文庫、4月)
・森村誠一『社賊』(集英社文庫、4月)
・秋吉理香子『自殺予定日』(創元推理文庫、5月)
・芦沢央『許されようとは思いません』(新潮文庫、6月)
・佐々木譲『真夏の雷管』(ハルキ文庫、7月)
・佐伯一麦『ア・ルース・ボーイ』(小学館電子文庫、 8月)
・黒川博行『海の稜線』(角川文庫、10月)
・ラグナル・ヨナソン『闇という名の娘』(小学館文庫、12月)
・バリー・ランセット『ジャパン・タウン』(集英社、12月)

「九龍ジェネリックロマンス」と11月の終わり

 11月末になってくると文芸学科では4年生の卒制が佳境を迎える。はずなのだが、年々、学生が卒制を教員に持ってくるのがぎりぎりになってきており、十分な指導を受けられないまま締切直前に提出するようになってきている。これは多くの場合は、就活が多忙になり、その上、就活終了後にも研修やらなにやらと駆り出されているのも一つの要因だと思う。もちろん印象論でしかないし、教員による大局的な指導不足であり、また学生自身の取り組みが遅いためだともいえる。多くの要素が複雑にからみあって一つの現象が形作られている。

 とはいえ別に教員が暇になったのかというとそういうわけでもなく、何かしらの作業が発生してしまうために時間は毎日細切れになっている。睡眠も細切れで、深夜ラジオの途中で寝落ちしたりしている。深夜ラジオも聞けない生き方なんて、それでいいのか。その合間合間で、今月から連載がはじまった眉月じゅんさんの「九龍ジェネリックロマンス」を読むため『週刊ヤングジャンプ』を毎週、手に取るようになった。具体的には電子版なので手に取っているのはkindleである。さらにはkindle voyageである(型は古いけど違和感なく使っている)。雑誌を毎週読むのはいつ以来なのかわからないぐらいなのだが、個人的な価値観としては週刊誌一冊を読む習慣はもう完全に消え去っていて、読み方としては「目次」をまず見て、そこでページ数を確認し、眉月さんの作品だけを読み、終わる。を繰り返している。昔はいろいろ目移りしながら読んでいたのだが、それは紙だったからなのか、今は電子版だからなのか、年を取ったからなのか、生活習慣が細切れなのかはわからない。

 「九龍ジェネリックロマンス」は一人の女性を描き出すところからスタートする。彼女が起床し、スイカを食べ、タバコを吸い、着替えて、出勤する。ただそれだけのことを様々な構図を駆使しながら数ページにわたって描かれていく。たったこれだけのことを描くのに費やすページ数は、普通に考えると割に合わない(尺に合わない)と考えるはずなのだが、カメラの移動を駆使し、タバコや矢印などの小道具で視線誘導し描かれていく彼女の生活が非常に力強く読者には響いていく。概ね第一話は主人公のキャラクターをいかにして読者に伝えていくのかを苦慮していくのだろうと思うが、それにいきなり取り組むわけではなく漫画としての特性を活かし、一人の女性を描ききった第一話だと思う。

 以前、眉月さんに「『恋は雨上がりのように』の第一話はすべてが過不足なく完璧です」と伝えたことがあるのだが(そしてそれは大変失礼なことでもあったのだが)、今回のこの第一話の入り方は想像していなかった。この後に描かれる職場の先輩とのやり取りからスタートしても、別におかしくはない。というよりキャラクターが映えるのは、人間関係だし、何かの出来事への登場人物たちの対応により、読者にはダイレクトに伝わっていくので、そのようにする選択肢もあったはずだ。とはいえこの作品は物語のスピードをゆっくりにし、焦点化の度合いをも動かしながら話を始めている。

 その物語の抑揚は一話の後半でも、そして二話以降にもつながっている。基本的な姿勢として物語を描く視線は、九龍に住む主人公から動かさない。彼女の気が付く範囲内で物語は進んでいく。メガネを外し、裸眼でクリアに切り取られる社会は、世の中のニュースであり、流行りの食べ物であり、そして先輩である。二人を中心とした物語の中で、細切れになった社会情報を読者は読み取っていく。どこまでのディストピアなのか、何が起こっているのか、という情報を求めようとしても、見事に手に届かない。

 ディストピア作品では、絶望的な状況を主人公がどのようにして切り抜け、生き残っていくのかが描かれる傾向にある。それは全体主義的な国家・政府により生命や生殖、セクシュアリティを管理する傾向に拍車をかけ、ゲームや漫画などのエンターテイメントだけではなく、村田沙耶香さんのように文学作品でも描かれている。特にディストピアとポストアポカリプスをミックスさせた設定で、主人公たちが生き抜いていく「けものフレンズ」のヒットは記憶に新しい。とはいえ「けものフレンズ」は90年代からのセカイ系(と呼ばれるもの)とは一線を画し、必ずしも生き残るために絶望的な状況からの脱却を行っていくわけではない(最終回に向けても、かばんちゃんを助けるためであった)。

 その意味では「キミとボク」の物語が、社会性の中に溶け込んでいてもおかしくはない。ディストピアのなか、主人公たちが必死に生き抜く。その生き方はサヴァイヴしなければならないのか。絶望的な状況でなければならないのか。新しい一面を見出してくれるかもしれない。そう思いながら、「九龍ジェネリックロマンス」を読み進めている。

文芸論5と文献リスト(2017年度)

 2017年度後期から文芸論5を担当している。前に担当されていた池田雄一先生が退職されたので、そのあとを受けて行うことになった。池田先生が「読んで書く」ことを毎週していたので、それを踏襲しようと思い、授業設計をしていった……のだが、全員が毎週は書いてこない……。池田先生はどうしていたのであろうか、と授業をしながら思ったことを覚えている。

 内容としては評論や論文を読む授業が文芸学科ではなかったため、それらを読むこと、読む内容を踏まえて書くことを行うことにした。ちなみに前期の作品読解と同様にこのあと毎年内容をかえていくことになる。学生だけではなく教員も学ぶつもりでのぞんでいるのだ。

 そして記録に残していなかったので、思い出しながら書いている。今はもう3年目に突入している。

1:授業の進め方。テクストを読み、考える方法とは。 
 初回なので、「読むこと」と「書くこと」の意義を解説した。

2:山口誠「パワースポットの想像力と変容―メディア・ツーリズム研究の可能性」(遠藤英樹・松本健太郎・江藤茂博編『メディア文化論 想像力の現在』ナカニシヤ出版、2017年)

 最初に読む数本は、文芸学科の枠組みだけではなく、もう少し幅広い出来事を取り扱ったものを読もうと思い、取り上げた。パワースポットに関してであるが、思いのほか御朱印帳マニアが受講生の中にはいなかった記憶がある。

3:山崎鎮親「世界が小舟か、小舟がセカイか」(『半径1メートルの想像力 サブカル時代の子ども若者』旬報社、2014年)

 若者論という流れの中で結局のところコンテンツ系(オタク系)の論文を取り上げてしまう。90年代からゼロ年代にかけて若者がどのようなコンテンツの影響を受け、その中で文化を作り上げていったのかを考えていった。

4:谷本奈穂「恋愛の死と再生」(『恋愛の社会学 「遊び」とロマンティック・ラブの変容』青弓社、2008年)

 若者論の続きである。恋愛というものが、近代から現代においてどのように捉えられていたのかを検討した。

5:西兼志「〈キャラ〉と〈アイドル〉/拡張されたリアリティ」(『アイドル/メディア論講義』東京大学出版会、2017年)

 アイドルに対する興味はほとんどないのだが、アイドルをめぐる議論は興味深いので、いろいろと読んだりしている。その中でキャラクター論を考えるために、この論考を取り上げた。

6:玉川博章「ファンダムの場を創るということ―コミックマーケットのスタッフ活動」(東園子・岡井崇之・小林義寛・玉川博章・辻泉・名藤多香子『それぞれのファン研究 I am a fan』風塵社、2017年)

 コミケットにサークル参加をしているので……という個人的なことは置いておいて、ファン研究を考えるために取り上げた。

7:小池隆太「マンガにおける物語論の可能性とその限界」(小山昌宏・玉川博章・小池隆太編『マンガ研究13講』水声社、2016年)

 ここから文芸学科の授業として物語を考える回に入っていく。創作演習で取り扱った物語論の復習も兼ねて、読んで、考えていくのである。

8:都留泰作「空間感覚の研究」(『“面白さ”の研究―世界観エンタメはなぜブームを生むのか』角川新書、2015年)

 文化人類学者であり漫画家である著者による、物語の描く空間に関する文章である。非常に示唆的であり、物語を考える上で批評的な視点が養われると思い取り上げた。

9:橋本陽介「「おもしろい展開」の法則」(『物語論 基礎と応用』講談社、2017年)

 本書は物語論の入門書として、そしてタイトルの通り応用として非常にまとまっており、発売されたばかりだというのに授業で取り上げている。皆さんも読んだほうがいい。

10:一柳廣孝「学校の異界/妖怪の学校  峰守ひろかず『ほうかご百物語』を中心に」(小松和彦編『妖怪文化の伝統と創造 絵巻・草紙からマンガ・ラノベまで』せりか書房、2010年)

 ここから具体的な作品を取り上げている論考を読んでいく。初回はライトノベル研究であり、妖怪研究でもあるという内容なので、多面的に考察していく姿勢を学んでほしくて取り上げた。

11:広瀬正浩「仮想世界の中の身体―川原礫『ソードアート・オンライン』アインクラッド編から考える」(西田谷洋編『文学研究から現代日本の批評を考える』ひつじ書房、2017年)

 続けてみんな大好きSAOである。VRでのゲームを描いた作品の身体性は一つの視点として重要である。

12:池田雄一「魂のジャンルのために 宮崎作品におけるアニメーションとアレゴリー」(『ユリイカ』36巻13号、2004年)

 そして前任者の池田先生の論考を読むのであった。宮崎作品への批評でもある。

13:上田早夕里「リリエンタールの末裔」(『リリエンタールの末裔』ハヤカワ文庫JA、2011年)

 ここから具体的に作品を読んで、みんなで考えてみようとしてみた。初回はSF。空を飛ぶことにどのような意義を評者として見出すのか、みたいなことを考えていた。

14:『プリンセス・プリンシパル』(制作:Studio 3Hz Actas Inc.)

 次はアニメ作品。スチームパンクでありスパイものである本作品をどう解釈するのか。アニメという枠組みの中で表現されていること、描き方、様々な論点が存在する。ちなみに2020年から劇場版が随時、公開されていくとのことで、非常に楽しみにしている。

15:受講生によるセレクト作品の批評
 最終回は受講生それぞれが選んで、書いてきた批評文を全員で検討する回である。これがこの授業の最終課題でもある。

『スライム倒して300年~』と夏の集中講義

 森田季節さんの『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)のアニメ化が発表された。まことにめでたい。

 その森田季節さんと毎年夏に集中講義を行っているのだが、この夏も例年のごとく行われた。森田さんのブログを見るとお分かりだと思うが、旅好きの森田さんは旅をしながら山形に来られ、旅をしながら山形から帰られたのであった。

 授業は受講生個々人に合わせた内容にしているので、大枠は一緒でも一人ひとりではまったく違う取り組みになっている。そのため初日から最終日まで毎日のように全員の面談を行い、その日の課題を出していくことになる。受講者数がその年により違うため、面談時間は固定ではないが、それでも教員側からすると一日のほとんどが面談に費やされ、提出された課題を持って帰り、夜に読むということになる。それなりにハードである。

 とはいえ個々人に向けたバラバラの内容というわけでもなく、大枠としては「ライトノベルを書くこと」が授業目的として設定されている。そのうえで今年はその日の授業のスタート時に玉井と森田さんとの対談を行うことにした。対談というより一方的に玉井が森田さんに聞いていくという形式が多かったような気もするが、さておき「現役のラノベ作家がこれまで(特に学生時代に)どのようなものを読んで、吸収してきたのか」、「学生のときは何をどれだけ書いていたのか」、「その後、プロとして何に取り組んできたのか」、「そして今、考えていることは何か」という点を重点的に聞いていった。

 毎日のように話題をかえて喋っていったのだが、これら連日の内容はすべて「本を読み、小説を書く」に帰結していく。「小説を書く」というのは、文字通りの意味以上はないのだが、書かないとレベルアップも何もしないので課題のときだけ書くのではなく、日ごろから取り組みなさいということになる(先生っぽい内容である)。問題は「本を読む」のほうだ。単に漫然と受け身のまま読書をするだけではダメで、それをどのようにして能動的にアプトプットに変換していくのかが問われていく。いや、もちろん漫然と文章を書いても意味はないので読書だけの問題ではないのは確かだが、文章を書くという行為はそれ自体が否応もなく能動的にならざるをえない。それに対し、物語を受容することは、下手したらただひたすら読者としての自らの位置づけを変化させることないまま読み続けることが可能となってしまう。

 そこで授業では森田さんが書かれた短編作品を読んでもらい、玉井が解説をしていく中で体感してもらうという手法を取ってみた。そう。ここで問題となるのは作者本人を前にして、作品解説をしていくのだ。自分が。玉井が。批評であったり評論であったり研究であったりするのは、作者自身の考えやテーマが作品に反映されていれば、それをくみ取って考えていくことになるが(そしてくみ取らなくても良いのだが)、それだけで成り立つものではない。研究などの文脈の中で、作品がどう位置づけられて、それをどの切り口で語っていくのかは、作者の立ち位置というよりは評者自身の立ち位置が求められていくことになる。

 授業で取り上げた作品は森田季節さんの「まどろみは遠く、遠く彼女を運ぶ」(『切望小説。』所収)である。この作品はいわゆる百合小説と呼ばれるもので、そこからイメージされる通り耽美的であり、静寂な雰囲気は物語全体を覆うものとなっている。さらにこの作品のもう一つの特徴はポストアポカリプス的な側面で、耽美的な要素に退廃的な要素をも追加しているところである。単なる架空の世界をそのまま描くと、当然ながら読者とは違う百合物語という世界観に彩られてしまうのだが、現実世界との地続き状態を維持するためにポストアポカリプス的要素は一役買っている。現実世界に存在する土地や概念、事物が文明が滅びたあとにも残り続け、登場人物たちにというよりは読者に対して語りかける。この二つの要素により物語の完成度が一気に高まっており、SF的な百合小説として評価することができるのではないだろうか。みたいな話をした気がする(あまり覚えていないが)。

 ここで授業として重要なのは森田さんの作品を作者や玉井がどう考えているのかではなく、受講生が何を考えるかである。物語を読むときに考えるべき点は複数存在するのだが、その一つには物語の構造を考えること、もう一つには物語の型を身につけることが創作に活かせる大きなポイントだと思う。もちろん取り上げるテーマ性など受容すべき点は多々あるのは確かだが、それは恐らく次のステップではないだろうか。物語の構造に関しては世間一般に物語論として流布しているものが多数存在するので(プロップとかキャンベルとか)一つひとつ説明するのは避けていくが、簡単にいえば主人公がどのタイミングで何を選択し、どのような行動を起こすのかということである。もちろんシステマティックに分量で切り分けていき、物語の展開を考えていくこともできるし(シド・フィールドとかを読めば何となくわかると思う)、もう少し曖昧に「序盤ではこういうことをしている」ぐらいでも構わない。とはいえ実はこれだけでは物語を生み出し、作品を書いていくことに直接的にはつながらない。

 なぜなら構造をどれだけ精緻に作り上げていっても、極論では大枠でしかないし、普遍化すればするほど曖昧にならざるをえない。それはプロップやキャンベルのような古典的な物語論にも言えることで、大枠を広げれば広げるほど、どこかの要素は何かの作品に当てはまってしまうことになる。要は中身について考えていることにはならないし、普遍化すればするほど個々の作品に活用する意義が失われていく。

 そのために内容の型を身につけることも考えたほうがいい。これは読書論の視点からいえば、ヤウスが概念化した古典的な「期待の地平」というものに近いのかもしれない。「ジャンルについての予備知識、それより前に知られた作品の形式と主題形成」(H.R.ヤウス『挑発としての文学史』岩波現代文庫、2001年)などから読者に対象作品への「期待の地平」が形成され、作品はその「期待の地平」をこえていかなければならない。授業で森田さんの作品を取り上げたときに、比較対象として話に挙げられたのは宮澤伊織さんの『裏世界ピクニック』シリーズであった。これは百合小説としての単純な対比でしかないのだが、森田さんの作品と宮澤さんの作品を比べるだけで同じ百合小説というジャンルではまとまらないということがわかると思う。

 森田さんの作品は百合という耽美性を率直に打ち出し、そこにポストアポカリプスの退廃性を付与しているのに対し、宮澤さんの作品はネットロアの捜索という直接的な物語の目的を設定した上で、そこに取り組む二人の女性のバディものというキャラクター構造を取っている。百合小説という枠組みではあるが、そこで描かれている作品はここまで違うのは、「期待の地平」として想定しうる「あるあるネタ」を多様性ある中からセレクトして描き出していき、さらにそこから読者の期待をきちんと裏切っていくことにより浮かび上がってくる。

 創作者として取り組むのであれば、単に小説を受動的に読むのではなく、「期待の地平」を認識するために様々なものを吸収し、「期待の地平」を乗り越えるためにやはり様々なものを吸収しなければならない。

 ということを思いながら、今年の夏の集中講義をしたような気がするが、とにかく暑かったことが一番印象深い。

数をこなせば忘れます

 芸工大の文芸学科に寄贈するために、研究室で、ブックオフで求めた文庫解説本を整理していたら、あれれと思った。重松清『幼な子われらに生まれ』(幻冬舎文庫)の解説者が吉野仁なのである。え? なんで池上冬樹ではないの? と思った。ブックオフで買い求めるときに何故確認をしなかったのか。もう頭から自分が解説を書いた本と思いこんでいたのだろう。文庫本を見ながら、突然勘違いに気づいた。僕が担当したのは『ビフォア・ラン』(幻冬舎文庫)。重松さんのデビュー作であり、重松清文庫化第一弾だ。幻冬舎文庫ということで勘違いしていたのかもしれない。

 ある有名なシンガー・ソングライターが、こんなことをいっていたのを思い出す。「街なかの商店街を歩いていると音楽が流れてくる。あ、俺が作った曲だ! と一瞬思うんだけど、歌っているのは自分じゃないんだよね。俺の曲なのに、どうして俺が歌っていないんだろうと思う。それもたいていヒットしている曲なんだけど(笑)」

 オチはともかく、そういう錯覚もわからないではない。デビューして30年もたてば、作曲した数は数百を数えるだろう。短い曲をいれたら、1000近くいっているかもしれない。そうなると錯覚が起きる。似たような曲を聞いて、一瞬自分の作った曲と勘違いしてしまうのだ。

 逆に、自分の作品なのに、まったく自分の作品ではなく、人ごとのように愉しんでしまう場合もある。戦後を代表するベストセラー作家の森村誠一さんは、戦争小説&青春小説の傑作『ミッドウェイ』が4次文庫(版元を変えて4度目の文庫化)になるので、十数年ぶりに読み返したら夢中になってしまった(と編集者から聞いた)。そしてこう感じたという。「いやあ、この小説は面白いね!」

 森村誠一さんのご指名で僕が解説を担当することになり(ちなみに講談社文庫版である)、僕もゲラで読んだのだが、森村誠一さんの気持ちがよくわかった。これはものすごい傑作で、僕自身もゲラで読んでいてわくわくしてしまった。森村文学のでもベスト10に入る作品なのではないかと思う。ベストセラー作家が自分の小説であることを忘れて感動する理由もわかる。

 というと、自分の小説なのに、まるで人の作品のように感じるなんておかしいではないか・・と思われるかもしれないが、森村誠一さんはなんと420冊以上を上梓している。覚えられるわけがないだろう。

 実は、その3分の1にもみたない(それでも充分に多い)エンターテインメントのベテラン作家(いまや巨匠といってもいい)も、初期の名作が版元を変えて文庫化されたとき、実に久々に読み返した。きっかけは、僕が朝日新聞に書いた文庫本の書評である。「ツイストの連続」という表現をしたら、その作家も気になって文庫本を手にした。

「池上さん、おそるおそる読み返したら、なかなか面白くてさ、どういう結末になるのかと我ながらはらはらしましたよ」というので、「××さん、あの中盤の展開から結末まで実にスリリングだし、どんでん返しも効いているし、傑作ではないですか」といったら、「そうなんだよ、どうなるかと思ったら、うまい具合に結末が考えぬかれていて、いやあ感心しましたね(笑)」と完全に他人が書いたような感想を寄せている。

 これは特別なことではない。ほかの作家も同じようなことをいっている。次々に依頼がきて原稿を書いていると、前に書いた作品など読んでいる暇がない。実はこれは作家に限ったことではない。評論家にもいえる。

 エンターテインメント界のナンバーワンの文芸評論家といったら、これは誰がみても、北上次郎(目黒考二)だろう。北上さん(いや、僕は目黒さんとよんでいるので、以下目黒さんと書く)が書評集を編むことになり、ゲラで読んでいたら、自分が書いた書評のことも忘れて、この小説は面白そうだ、読みたくなったと感想を述べているほど。

 何を馬鹿なことをと思う人もいるかもしれないが、数をこなしていけば忘れるということです。読んだことを忘れて面白そうだ、という話は、よく目黒さんが書くけれど、そして僕も昔はそんなことは絶対にない! と思っていたけれど、僕も近年経験するようになった。

 仙台市鉤取(かぎとり)に萬葉堂というどでかい古本屋がある。神田の古本屋を数軒集めて、ジャンル別・アイウエオ順に並べ替えたような巨大な古本屋なので(ほとんど図書館ですね)、ついつい「ア」から順に眺めていって、ときどき、おおこれは面白そうだ! という本を発見する。本を手にして、ストーリー紹介を読み、後書きを読み、こういう本は絶対に自分の好みにあうし、こういう本を探していたのだとすら思って買い込む。

 ところがだ。家に帰って本棚を見ると、何とその本がある。あれ? と思って、本棚からとりだすと、頁の端が折ってある。頁の端が折ってあるということは、読んでいるということだ。読んでいるということは、ひょっとしたら書評もしたのではないかとスクラップブックを見ると、ちゃんと書評も書いてある(!)。まいったなあ、完全に忘れているよと思う。

 ただ、弁解させてもらえば、忘れている理由がわかる。忘れている本はたいてい「ミステリマガジン」(早川書房)の新刊レビューを担当した時期(1988年1月号~1996年3月号)の本である。毎月編集部から与えられた5冊を書評していたので、およそ500冊にのぼる(書評稼業30年、他紙誌の書評を入れたら5000冊はいっているかもしれない。それは忘れるよね?)。逆にいうと、自分から逆提案した本(新人の頃はできなかったが、ある程度売れてきた頃から「その本もいいかと思いますが、こちらのほうが面白いと思いますが、どうでしょう?」と提案した本)の書評は忘れない。

 数をこなせば忘れます。でも、数をこなせないとあがらないレベルもある。粗製濫造になって駄目になる場合もあるから、要注意ではあるけれど。