g*g Vol.19 WINTER 2012

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学生独自の視点で"山形"を映像化。
個性的な映像で山形のPRの一端を狙います。

映像学科2年の学生が中心となって制作した、山形をPRする映像作品が山形県インターネット放送局「やまがたChannel」で公開されています。これは芸工大が山形県広報課と連携し演習の課題として制作したもので、"山形"を若者の視点から捉え新たな魅力を発信することを意図しています。学生たちは、初めての編集作業、グループ制作に苦労しながらも力作を生み出しました。

『幻想都市ヤマガタ』阿部友美さん
阿部友美さんが制作したのは、『幻想都市ヤマガタ』。100年前に山形県が地図から消えたという設定で、大学の授業で山形の文化を学ぶ女子大生が、謎の人物「さくらぼー」に出会い、かつての山形県で行われていた芋煮を楽しむ場所へ連れて行かれてしまうというストーリー。玉こんにゃくやラフランスの紹介もユーモラスに盛り込まれています。「ファンタジーなものが好きなので、自ずとそういった作品になったのだと思います」と、阿部さんが語るように、画面には少し不思議な雰囲気が漂い、謎めいたキャラクター「さくらぼー」が、未だ全容を知られていない山形の存在を表現しているかのようです。

『SHOJI FIGHT』佐々木里菜さん
仙台市出身で、芸工大から見える月山の姿の美しさに癒しを覚えたという佐々木里菜さん。仕事に疲れたOLが日常のストレスを障子にぶつけ、障子の穴から見えた月山に安らぎを感じる『SHOJI FIGHT』という作品を制作しました。自分が月山を見た時の爽快感と、障子に穴をあけた時の爽快感が似ていると思った、という所から着想したそうです。佐々木さんは「何もかもが初めてという状況で、どこを削るか何を残すのか、監督としてグループの上に立ち決断することの大事さを感じました」と、一人で制作していた時には経験しなかった難しさを語りました。

『壮絶!芋煮プロレス』中塩健吾さん(映像学科2年)
山形をアピールするということで山形のものを使いたい、と芋煮に注目し、プロレスの派手な興行性を盛り込んだ『壮絶!芋煮プロレス』を制作したのは、中塩健吾さん。山形芋煮のしょう油か仙台芋煮のみそか、味付けをめぐって対立する様をコミカルに表現しました。「若者に、これは何か違うなと思わせるために、CG合成をしたり試行錯誤して制作しました。映像として見た時に印象に残るものを目指しています」と語る中塩さん。朝から夕方まで、エキストラを入れた現場で炎天下の撮影を経験し、とても苦労したと振り返ります。

『ワンちゃんの全国天気予報』広井砂希さん(映像学科2年)
広井砂希さんは、毎朝テレビで放送される全国天気予報の中で、擬人化された山形県が愚痴を言う、という作品を制作。高知出身の広井さんは、山形の変わりやすい天気や、全国版の天気予報では山形の予報がされないことがある事に不満があったそうです。「一年の時から悶々としていました。私はPRすることはあまり好きじゃないので、有名な県しか天気予報がされないことについて見た人に共感してもらえたら、と思っています」。山形県が顔の形をしていることに衝撃を受け、絶対使えると思ったという広井さん。他にはない存在感ある作品を創り出しました。

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『デワサンザン』及川基さん(映像学科2年)
作品の中には、現在制作中で公開が待たれているものもあります。及川基さんは、月山、羽黒山、湯殿山の総称である出羽三山から、『デワサンザン』というロボットを主人公にしたアニメーション作品を思いつきました。パソコンで絵を描いていくアニメーションならではの大変さを感じながらも、アニメでやった方が若者にアピールできる、と確信をもって取り組んだ及川さん。「若者に発信するということで、未来の若者である小学生を対象にしてもいいな、と思いました。ネットを通じて興味をもってもらえたら嬉しいですね」と、制作に対する意欲を語ります。

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前田哲 映像学科准教授。代表作は『ブタがいた教室』『猿ロック』『極道メシ』など。

指導にあたった前田哲准教授は、完成度が高くいろいろな観点で制作された作品を高く評価しています。「幻想都市や天気予報など、山形の個性を貶して際立たせる発想は特にユニークです。今まで生きて感じてきた所を、荒削りで何か偏っているけど敢えて出すということが大事。県の広報課から、やめて!と言われるくらいの毒があっても良かったかもしれませんよね」と語る前田准教授。作品の制作には1班につき10人弱の編成であたらせました。そこで何よりも学んで欲しかったのは、ものづくりにおける人とのコミュニケーションの重要性だといいます。「作品のためには苦手なタイプの人とも情報伝達をする必要があります。映画作りでもスタッフが7、8人遊んでいたら機能しませんから。今回の制作では、失敗から上手くいくまでの"作るプロセス"を経験し、制作過程の判断力なども養えたのではないでしょうか。スキル的なものは追々ですね」。今回の制作では、作品づくりの基礎となる力を身につけながら才能を発揮し、実際に作品が公開されるという経験を通して、学生がひとまわり大きく成長する貴重な機会となったようです。

やまがたchannel WEB:http://www.youtube.com/playlist?list=PLCD87DAD6495024CF&feature=plcp
なお、やまがたchannel WEBのトップページバナー画像も、映像学科の学生が制作しています。

やまがたchannel 芸工大映像 WEB:http://yamagata.channel.yahoo.co.jp/index.php?catid=349

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