g*g Vol.19 WINTER 2012

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〈studioこぐま〉が、クリスマスリースと
カラフルなキャンドルで温かなクリスマスを演出

地域と芸術の関わりから生まれる可能性を探る実験の場所〈studioこぐま〉が冬のひとときを彩る、楽しい企画を開催。

卒業生の大沼洋美さん、鈴木淳平さん、原田聖さんは、廃校になってしまった山形県小国町の旧小玉川小中学校をアトリエに、アーティスト集団〈studioこぐま〉として活動しています。まだまだ新しく広い校舎は、それぞれの制作の場としてだけでなく、専門である写真のワークショップや大人のデッサン教室を行うなど、芸術活動を通じた交流や体験の拠点として活用。小国町ならではの芸術的イベントで地域づくりにも参加しています。

この日行われたのは、「キャンドルを作ってみよう」と「クリスマスリースを作ろう」というクリスマス関連のワークショップ企画。しんしんと雪が降り続く中、午前と午後で37人の参加者がイベントを楽しみました。キャンドル作りに使用したろうそくは、近くのお寺や葬儀屋で使わなくなったものを譲り受けたもので、クレヨンを溶かし着色します。星やハート型など好きな形に成形し、ろうそくの芯を吊るせばオーナメントとしても使えるような可愛らしくカラフルな仕上がりになりました。

クルミにサンタクロースの顔を描き、子どものクリスマスリースづくりを手伝う大沼さん。旧小玉川小中学校は、廃校になったとは思えないほど新しく快適で、そこに集まった人々が発する温かく和やかな空気に満ちている。〈studioこぐま〉のメンバーは、映像コース卒業生の大沼洋美さん、工芸コース卒業生の鈴木淳平さん、大学院洋画領域修了生の原田聖さんの3人。

クリスマスリース作りは地元の方を講師に迎え、教室に座机を運びくつろいだ空間で制作。松ぼっくりや南天、クルミ、行者にんにくやガクアジサイのドライフラワーなど、地元で採れた材料を持ち寄り、リボンをかけたりしてアレンジを加えていました。子ども用にダンボールでリースの下地を作ったものもあり、子どもたちはキャッキャッと声をあげてリース作りに取り組んでいました。親子で参加した方は「初めて参加しましたがとても楽しかったです。旧小玉川小中学校は山あいにあって、県内でも雪が多い小国町の中心部よりも更に雪が多いですね。冬の間は雪で外に出るのが億劫になるなのですが、子どもは雪の中を歩くのも楽しい様子で、今日は参加してよかったと思います」と感想を寄せてくれました。地域の人にとって、冬のひとときを温かく楽しく過ごすことができたイベントとなったようです。

大沼さんは、地域と美術の関わりに可能性を感じています。「美術自体にいろいろ可能性があり、地方だからこそ生まれるものが見えてきています。今日のリース作りで地元の方が講師になってくれたことも、幸せな形のひとつ。まだまだできることはないか探っている段階ですが、これからどんなものが生まれるか私も楽しみなんです」と、大沼さんは笑顔で語りました。

2011年5月に発足した〈studioこぐま〉が行ってきたのは、好きな本を持ち込み、校内の敷地の好きな場所で読書をする「やまなか学校読書会」、小国町に継承されているマタギ文化を体験する「里山体感合宿 〜廃校に泊まって マタギの暮らしを学ぼう〜」、「初夏の小国町わらびサイクリング」など、地域の人たちと協力して飯豊山脈の麓にある豊かな環境や文化に直接触れ、感じとり、共有する機会をつくること。そういった活動が少しずつ地元に浸透し、話題になり、また広がりをみせています。2011年9月には、芸術家が旧小玉川小中学校に滞在し、小玉川の土地や場所、出会った人やものから受けたインスピレーションから作品を制作する「アーティスト・イン・レジデンス」を実現。もともと別々に制作するはずだった作曲家の大場かおりさんと、写真家の佐藤志保さんが合作することになり、アーティストとして新たな可能性を見つけたといいます。2011年11月5日〜11月20日に開催された、アートと雑貨と音楽のお祭り「芸術の収穫祭 かっきりまつり」では、芸術の実り(作品)を作者、鑑賞者が一緒に収穫(鑑賞、交流)し、芸術を通して多くの人が触れ合いました。

美術、音楽、伝統工芸、お祭り、様々な活動を可能にしている〈studioこぐま〉。しかし、大沼さんは気負うことなく自然に活動の幅を広げているようです。「私はただ、やりたいなあと思っているだけで、きっちりこれをやるぞ!と決めている訳ではないんですよね。地域の中学生が参加し開催回数が増えた、大人のデッサン教室も、他のメンバーがいたから実現したこと。人がいるだけで可能性が増えていくことを感じています。誰と出会うかによって生まれてくるものが全然違うんです」と語る大沼さん。頭の中には、職員室を多くの人が集まり憩いの場にする「カフェ職員室」「居酒屋職員室」など、楽しい構想も。新たな人とのつながりから毎月行っている企画が増え、さらに多くの人を呼べるようになれば、と展望を話しました。

スタジオこぐまWEB:http://studiokoguma.tumblr.com/

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