g*g Vol.20 SPRING 2012

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日常の身近な動きをアート作品にするみんなの居場所『毎日こうみんかん』。地域、人、アートをつなぎます。

2011年度の卒業・修了研究/制作展で開かれた『毎日こうみんかん』は、こども芸術教育研究領域の石沢惠理さんによる研究と実践の発表です。日替わりでアート作品のワークショップを行い、期間中は常に20人ほどの人で賑わいをみせ、何度も足を運ぶ常連ができたほど人気を博しました。

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左:石沢惠理さん/2011年度東北芸術工科大学大学院こども芸術教育研究領域卒業。「卒展・修了展では、ざわちゃん!と、愛称で呼んでくれる常連さんもできました」と嬉しそうに語る石沢さん。右:数々のプログラムをまとめたノート。カラフルな糸を巻いた栞も石沢さんのお手製。

期間中に行ったのは、ダンボールの土台に画鋲を刺し、糸を絡ませて様々な模様を作る「星光る夜~糸で絵をかこう~」、透明なクリアファイルに色を重ねる「トントンステンシル」、使い終わったコピー紙を丸め、クレヨンで色を重ねて紙の変化を楽しむ「わしわし和紙!」、発泡スチロールに爪楊枝を刺し形をつなげていく「ぷすぷすブロック」、松ぼっくりなどに毛糸を巻き付けてオーナメントを作る「まくだけ!まゆこさん」など。巻く、刺す、丸める、など普段何気なく行っている手の動きできるものづくりを行いながら、それを楽しむ"みんなの居場所"を創り出しました。『毎日こうみんかん』の開放的でゆったりとした雰囲気に一役買ったのは、石沢さんの実家酒店にあったという酒箱や小物です。使い込んだ道具で作った棚は、人の温もりが感じられる空気を醸し出しました。「期間中は、初めて来た方との会話のきっかけを大事にして、参加者がおしゃべりをしながら和んで手を動かせる場所づくりを念頭におきました」という石沢さん。親子連れや女性の来場者が多い中、男性参加者もものづくりに熱中している様子が新鮮だったといいます。「どうやったら男性を巻き込んでいけるか、というのは私の課題でもあったのですが、工具を使った作業だと参加しやすいようでした。いざ手を動かし始めるととても集中して、職人技のような大作を作ってくれるんです!驚きました」。参加者は、普段意識しない身体の動きと改めて向かい合い、充実した時間を過ごした、と感想を寄せてくれました。

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左:石沢惠理さん/2011年度東北芸術工科大学大学院こども芸術教育研究領域卒業。「卒展・修了展では、ざわちゃん!と、愛称で呼んでくれる常連さんもできました」と嬉しそうに語る石沢さん。右:数々のプログラムをまとめたノート。カラフルな糸を巻いた栞も石沢さんのお手製。

「大人だから教える、講師だから指導する、というのではなく同じ視点に立って学び合える関係がいいな、と思っています」という石沢さんの想いが伝わったのか、『毎日こうみんかん』では、参加者同士が教え合う姿が多く見られるようになりました。また、大人の許可をとってからでないと動けなかった子どもたちが、自ら進んで考え実践するようにもなったとか。石沢さんは、『毎日こうみんかん』の継続した取り組みを通して、アートや制作が日常から得られる部分が多く、そして今以上に日常に関わることができると確信しました。今後は活動の拠点を設け、さらにいろいろな場所でも地域の人たちを巻き込んでいきたい、と意気込みを語りました。「ふらりと立ち寄れる、公民館カフェもやりたいですね。あと、制作材料となる木などを拾うことも面白いので、みんなでやっていきたいです。今は私一人でやっていて孤独感があるので。歌いながら拾っていますけど(笑)」。石沢さんの明るい人柄が、地域と人とアートをつないでいます。

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