卒展ブログ
二回目の更新になります、桑原です。
大学付近では今まで控えめに降っていた雪が「当たり前でしょ」と大きな顔をして降るようになりました。
そして締め切り(採点)まで、一ヶ月、ありません…!その辺のホラーよりよっぽど心臓に悪いですが今日もまたお二人ご紹介したいと思います。
さて一人目は、われらが頼れるおねーさま石川さん。
ろうけつ染めという技法を用いてキャンバス地の布を染めています。
ろうけつ染めとは、蝋(ろうそくのろうですね)を布に染み込ませることで防染し、ろうがない部分だけを染めることができる技法です。
彼女は、蝋が塗られた布を手で揉むとひびがはいることを利用し、そのひび割れた部分だけ染まるように上から刷毛で染料を塗っています。そうすると、あらら不思議な模様ができるのです。
ろうを完全に落として布を元のやわらかさにするには有機溶剤で何回も洗うことが必要なのですが、彼女は張り付いた蝋を水で剥がすにとどめることで、独特の硬さと風合いを残したようです。一枚の布が存在感を増して「枚」と呼ぶのが惜しいほど厚みをもっていくのは(横で見ているだけですが)とっても楽しいです。さてこの次はどんな形になるのでしょうか?楽しみですね~
さてお次は、テキ随一の破天荒児伊藤さんです。
このブログを書くにあたり、彼女に何を書こうかと持ちかけたところ、「くわちゃん(わたしです)のすきに書いていいよ!」と言われたので好きに書かせていただきます。(む、むずかしい)
彼女の作業スペースには一見脈略のなさそうなものがたくさんおいてあり、日用品やオブジェなどそれらのモチーフは彼女の手によって「不自然に」組み合わせられています。
わたしは自分の部屋や学校などの見慣れた景色を見ると安心するのですが、その景色に違和感を感じると不安になります。直接的な恐怖ではなく「なんか違う気がする」くらいのものです。彼女のつくったものからは、それに似た薄気味悪さを感じるのです。彼女が真に意図しているものは分からないのですが、わたしは「なんかぞわぞわするな」と思いながら彼女が制作している姿を見ています。
言われたとおりすきに書かせていただきましたが、少しでも興味を持っていただけたでしょうか。
彼女のカオスがどこへ向かうのか要注目です。
今回は石川さん伊藤さんお二人のご紹介でした。彼女たちのラストスパートに乞うご期待!
次回もお楽しみに~
さあさあ、今年も、この季節がやってきました。”紅花ルネサンス”
今年で、6年目を迎えました。
”宇宙∞山形”
広がり続ける膨大な世界は、今ここにその原点を見出し、更なる展開を生み出している。
さて、今年の演目は以下のような内容で行なわれます。
20日(金)10:30−18:00は
「草木染・伝統と未来」10:30−
草木染の未来と展望について、吉岡幸雄氏 (染織研究家・染司よしおか五代目)と、
東北芸術工科大学非常勤講師の山崎和樹氏(草木染研究家、草木工房主宰)による対談が行われ、
「今何故、紅花なのか?」12:30−
昨年同様、詩人 吉増剛造氏(2013文化功労者)に加え、森山明子氏(デザインジャーナリスト・武蔵野美術大学教授)を迎え、
<紅花>の魅力について探って行きます。
「紅花ルネサンス・吉増剛造ワールド」13:30−
映像・声・音・ことばの吉増ワールドを体感していただき、
「紅花ワークショップ」15:00−
ワークショップでは、体感と耐寒の融合する中で、極寒の水の中、ゆっくり染め入る紅を、
是非とも皆様の身体で感じて頂けたらと思います(寒い..)
それに加え、今年はハンカチ染め体験ではなく、
その原料でもある蚕の繭を染めていただくことで普段何気なく身に付けている
シルクの原点に触れていただきたいと考えています。
21日(土)12:00−15:30は
「紅花プロジェクト今年度活動報告」12:00−
テキスタイルコース学生と畑の指導して頂いている、地元山形紅花生産農家の方とのトークセッションや、
「山形の紅花事情」12:45−
大内理加氏( 山形県議会議員・山形県紅花生産組合連合会会長 )による、
生産の目線からのお話を頂き、
「音・色」13:00−
また、三名の非常勤講師、山崎和樹氏(草木染研究家)、山岸幸一氏(染織家)、中島洋一氏(古典織物研究家)
がおりなす対談にて、染織の世界を語っていただきます。
「今何故、教育の現場で<紅花なのか?」14:30−
学長 根岸吉太郎氏、森山明子氏、そして、テキスタイルコース教授 辻けいの
三名で、”教育としての紅花”をテーマに対談致します。
会場は、こども芸術教育研究センター内、こども劇場にて。
入場は無料です。
最後に、紅花ルネサンスフライヤーに寄せた、
テキスタイルコース教授 辻けいの文章を、ご一読頂けたらと思います。
紅花ルネサンス
今年もまた、比喩ではなく実際に、4月16日<種>を蒔くことからはじまりました。
<種>を蒔く、ということは<命>の不思議を思考します。特筆すべきは、<半夏のひとつ咲き(*註)>。
どのような敷地の広さに関わらず、どこに向けての合図なのでしょうか。先陣きって紅花の蕾の一輪が開き、そして次々に咲き始めます。
この事実は地球の、宇宙のドラマと、どのように繋がっているのでしょうか。
東北の、山形の大地と太陽の光、月の光彩のなかで、紅花の不思議を体感してきた学生たちがここにいます。想像から創造へと意識は紡ぎ出され、不思議の先にある、大切な<種子>は、ひとり一人の予言に満ちた不可視の可視化に繋がろうとしています。
2011年3月11日、そして「世界は変わり」また人の意識も変わらなければならない程の大いなるメッセージを受けました。
私たちは明日に向かって、どのような<種子>を蒔き、どのような人類の
遺伝子的世界像を描くのでしょうか。
2013年12月
辻けい
(*註)半夏生=七十二候の一。夏至から11日目にあたる。
こんにちは!
卒制ブログも三回目となりました。12月に入り寒さも増す中、
皆様は元気にお過ごしでしょうか?
私たちは、雨にも負けず風にも負けず頑張っております。
そろそろ本格的に冬が始まってきているので、このままフルパワーで駆け抜けたいですね。
さて、また制作紹介の前に、先週あった眞田岳彦先生の中間講評について少々…。
外部の先生からの率直な意見やアドバイスが聞けるチャンスだったので、みんな気合が入っていました…!
コンセプトやテーマを伝える中、静かにそれを聞く眞田先生。そして一通り話し終えると、
その話から展開した疑問点や矛盾点、まつわる話などをそれぞれに話していただきました。
自分のだけではなく友達の講評を聞いて、コンセプトの見つめなおしや、固まった自分の考えをほぐすことができたのではないでしょうか。
貴重な意見をいただいてから、みんなの作品がどのようになっていくか楽しみです。私も最後まで気持ちを引き締めて頑張っていきたいです。
では、作品紹介に移ります。今回の一人目は吉田さんです。
吉田さんはドレスを作るそうです。今はドレスを着せるボディを作っている最中ですね。
見えづらいかもしれませんが、奥にある蝶々は刺繍で作ったもので、ドレスのスカート部分に重要なものだそうです…!
アップを撮らせてもらいました。待ち針で止めてある姿はまるで標本のようですね。
花も一つ一つ作っているそうです。細かい作業が好きだと聞いたのですが、相当な集中力が必要でしょうね…圧巻です。
蝶々はどれくらい作るの?と質問したところ「できるだけたくさん、埋め尽くしたい」と言っていて、
その言葉にも、この作品に対する思いが入っている気がしました。蝶々は二種類いて“オオルリアゲハ”と“ヘレナモルフォ”というそうです。
それぞれの蝶々に意味が込められていて、細やかなところまでしっかり調べて考えているのが吉田さんらしいなと思いました。
どんな形のドレスかは、次に紹介するときにお伝えしたいと思います。
お次は藤原さんです。
藤原さんは絵画をたくさん描いて、それらを壁に組み合わせて一つの作品にするそうです。
全体的なイメージとしては、『無目的、無意味なもの』だそうです。
いろいろな質問をしたのですが、言葉で表現するというより、藤原さんの感覚で捉えていることを作品にしようとしているので、
その感覚をなんとか言葉にしてもらいました。
「例えば、作曲家のジョンケージの作品「4分33秒」は、物理的な音を一切奏でないことで無限大な音楽の可能性を示したし、
また絵画においてよく用いられる“余白の美”などというものは、あえて何もない空間を残すことで想像の可能性を押し広げるということをするが、
私は今回作品でそれらとは全く逆のことをしようとしている。要するに、大量のイメージを徹底的に乱立・混雑させることで、
そこには何も無いという感覚を見るものに与えたいと考えている。
まったく無意味かつ無目的なイメージの世界に鑑賞者を放り込もうという企みである。」
とのこと…。
この言葉を聞いて、不思議な気持ちになって、なぜかワクワクした気持ちになりました。
ぜひ完成した作品の前で、藤原さんの描く世界に入ってみたいです。
今回は、吉田さんと藤原さんの作業風景を紹介させていただきました。次に紹介するときにはきっと完成間近でしょうか…!楽しみです。
時間が過ぎるのが早く感じて、少し寂しさを覚えつつ、友達の頑張っている姿を沢山見ていこうと思います。
次回の卒制ブログも乞うご期待!
及川