やっと一息…なんて言っていられません!本番はこれからのようなものです。…とかなんとか言いつつ風邪っぴきの及川です。年々体力が衰えていっているのか、昔はそんなでもなかった風邪が辛くて仕方ないです。みなさんも風邪には十分に気を付けてください。あとインフルエンザも流行っているようなので、うがい手洗いしてしっかり予防をしましょう。
そして卒展ブログは採点までで終わりではありません。卒展まで更新しちゃうよ!
ということで、今回のお二人です。
まず一人目は大滝さん。
大きな輪の一部が捻じれていますね。そうです、「メビウスの輪」をイメージしているそうです。
彼女は“織物で立体を作りたい”というところから考えて、帯状なのに永遠にサイクルしている「メビウスの輪」に魅力を感じたそうです。帯状なのに永遠にサイクルしている、命には限りがあるけれど人は輪廻転生をしているのではないだろうか、という思いが形に表れています。
織り込む素材を白っぽい布にしたのは、白は神聖なイメージで、でも織り込むのはあくまで白っぽいもの、概念的な不完全な白で尚且つ生きているときに必ず人の肌に触れ、必要不可欠であろうものだからとのこと。そこにシミや汚れがあることで、その服を着ていた人の時間の経過を織っている時間の経過と重ねることができるのではないだろうか、という事だそうです。
輪廻転生のように、もう着てもらえなくなった服が新たな場所で形を変えて、また時を流れるのかなと思いました。大滝さんに服を提供した方は、是非自分の着ていた服を探してみてください。
中にはボタンやファスナーが付いたままの生地もあります。そういう発見も楽しいですね。
お次は同じ広報係の桑原さんです。
彼女は、生まれつき左耳が聴こえない自分の、右耳が受け取ったいろんな言葉たちのテクスチャーを布に写し取ってみようと思ったそうです。画像はその一部です。
言葉は、語る人によって意味もニュアンスも違い、それをまた受け取る人によっても変わってきます。そこに重点を置いている桑原さんの作品の説明はやはり本人の言葉を直接載せたほうがいいと思い、そのまま記します。
「人に影響を及ぼすのは文字ではなく言葉であり、その言葉が誰かに響くには文脈が必要です。例えば、私があの人に言われる「ばかやろう」と、あなたが誰かに言われる「ばかやろう」は違います。私が言われた言葉を見せたところで見る人にはその言葉に対して何の文脈も存在しません。
言ってしまえば、ただの文字でしかありません。その「ただの文字」と「見る人」の間をつなぐために私は染めという手段をとりました。でもやっぱり、私自身がよく咀嚼できていない言葉だとどうやって染めたらいいかわからないのです。「でも」というか、「だから」というか、よく分からないものは分からないままです。それはそれでいいのかな…と。」とのこと。
言葉に対する考えが、人よりも敏感なのだろうかと思いました。一つ一つの言葉の意味を、テクスチャーからは情景を思い浮かべてみようと思います。
サービス精神大聖な桑原さん!
二人とも、次に紹介するときはもう完成していることでしょう。それでは次回の卒展ブログも乞うご期待!