みなさんこんにちは。
今年も残すところあとわずかとなりましたね。山形は雪がちらつく日も増え、本格的な冬の到来を思わせる寒さが続いています。
さて、今回の放課後農芸の活動は、毎年恒例の勉強会となっている「モモ会」です。この勉強会ではミヒャエル・エンデによって書かれた文学作品「モモ」の6章を取り上げて、目に見えないけれども確かに私たちの側にある「時間」について考えました。勉強会には洋画コースの室井先生にもお越しいただきました。ありがとうございます!
写真引用 岩波書店 岩波少年文庫 モモ
https://www.iwanami.co.jp/book/b269602.html
この本、「モモ」は時間を盗む泥棒から、モモという女の子が私たち人間の時間を取り返してくれるというお話です。
その中の6章は、生活の中での時間の使い方について考える部分でもあります。
自分の人生について振り返っていた理髪師のフージー氏。自分のやっていることは嫌いでは無いけれど、もっと時間があれば大きなことを為せるのではないか。そんなことを考えていると、そこに謎の男が現れ、時間を倹約すればいいと言います。人生の中で誰かと交流したり、自分のために使ったりする時間というのは無駄であり、さっさと短時間で済ませるべきだとフージー氏は告げられます。更に、仕事は効率良くたくさんするべきだ。そうして倹約した時間は大きな資本となり有意義に使える──はずだったのに日を重ねるごとに彼の生活は味気のないものになっていき……というお話。
初めにみんなで輪読し、その後にはそれぞれの感想を発表しました。ここでも少しメンバーの感想をご紹介します。
・時間は大切だと思うが、節約しすぎても心にゆとりは生まれないと思った。無駄な時間も必要で、何もしない時間もただ人とお喋りするだけの時間も無駄では無いと思った。
・今の私は確かに時間が足りないと感じる。けれど昔の人はもっと忙しかったはずだが、6章を読むとそうではないらしいと気付かされる。でも私はどうやったら忙しくない日々を送れるのかが分からない。なぜなら私は忙しい時代しか知らないから。
・「時は金なり」という言葉をよく耳にする。しかしモモで書かれている「時は金なり」は、私の思うことと異なるように思えた。無駄なことはないし、後悔さえも今の自分を作る大切なものの一つである。私にとって大切なことはこの本に書いてある無駄なことで、無駄なことをやっていきたいと思った。
一人一人が異なる感想を持ち、時間についてのそれぞれの意見を交換し合うことができた会になりました。側にあるけれど実際に見ることはできない時間。その時間をどう使うかでどう生きるかが変わっていくのでしょうね。
最後になりますが、放課後農芸で過ごす時間はとてもゆったりとしていて、穏やかです。豊かな時間とは、このような時間なのではないかと感じる今年のモモ会でした。
年末に向けてばたばたとすることも多くなりますが、皆様も体調にお気をつけください。心休まる豊かな時間を見つけていきたいですね! それでは。
洋画コース 2年 菅原穂乃佳