松田道雄研究室

駄菓子屋楽校 ~愉快で,楽しく,どこからでも創造する生き方と社会づくりの活動記録~
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2011-08-24

2012年賀正・祈りの形


大震災によってJR復旧しない山形に3月31日の夜に着き、4月1日から東北芸術工科大学に勤務して、ゼロから人づき合いを始めて、私の研究室への最初の訪問者になってくださった、尾花沢市でしめ飾りをつくられている猪俣商事さん。
その猪俣さんから、まったく今までのしめ飾りの概念を超えた、斬新な発想のしめ飾りを、東北の未来への復興をも祈って考えてもらいたい、という、私の役割である、本コースへの最初の依頼があってから、しめ飾りのつくり方もフィールドワークし、何度もやりとりをして、ようやく、最終段階の見本を、今日、猪俣さんが持参しての検討会をしました。

総合美術コース3年生で、このしめ飾りデザインに挑戦したのは4人。合計で60もの基本形のアイデアスケッチから、最終的に猪俣さんが選んだのは、アイさんの3つの基本形です。これに職人のおばあさんたちが装飾をして店頭販売する案を持参してくれました。アイさんの3つの作品は、それぞれに、音・匂い・動きというテーマで、祈りを形づくったとのことです。
ここから、さらにデザインに磨きをかける検討です。まず、猪俣さんが持参されたのが、今生育している稲穂。これをどのように、どのくらい配置するか?

さらに、巻く紙は何色のどのような紙にしたらいいか?…。いろいろ、こまかなところを吟味していきます。こうして、今日の検討で最終改善をした商品見本を、翌週かその後、県外外のスーパーのバイヤー(仕入れ担当者)に、猪俣商事さんが持参して、商品提案・商談してくるそうですが、そこに、我々学生も同行して立ち会って説明の補足をしつつ、商品開発と流通の現場も実体験で学んできます。
生産者の猪俣さんがOKを出しても、仕入れて消費者に販売する店が採用しなければ、商品にはなりません。道のりはまだまだ続きます。商品の契約がなれば、次に、店頭に並べてくれる店に、この商品を説明するPOPをつくります。
これらも、すべて、この4人が最後まで、2012年賀正しめ飾りプロジェクトとして、行ないます。
東北の若者(美大生)による、人々の生活の復興と自分たちが生きる新たな未来への祈りを形づくった商品開発の学習。もしかすると、その後、50年、100年、500年後まで、発展継承されていくかもしれない、新たな未来への人間の文化創造の試み。着実に前進しています。
夏の余韻もまだある今、さまざまな生産現場では、この冬の商品づくりが真っ盛りです。
私たちは、未来を祈りつつ、未来を創造していきます。
みなさんのところの店でも販売してもらいたい、という要望があれば、
http://www.shimekazari.net/
(有)猪俣商事(山形県尾花沢市)さんに、問い合わせしてみてください。

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