クルマで移動するようになって、人間が環境に対しての繊細で鋭敏な感覚が失われた傾向はあるでしょう。
カプセルの中に入って移動するだけでは、新緑のにおいも、いそいそと働いている商店や農家の人の営みもわかりませんし、それらの環境と五感で応答することもできません。
万葉の時代から、明治の作家まで、もののあはれや、環境への心の移ろいを表現するようなことは、なかなか生まれにくいのではないかと思います。
それらの心を取り戻すには、古人の作品を読んだり鑑賞したりするだけでは、自分もそのような心を取り戻すことはできないでしょう。
自分自身も、より自分の手の届くところに日々、変化する生きた環境をつくり、その小さな環境との応答によって、心を育むことが必要なのではないかと思います。
これを、手が届くところのエコロジーという意味で、リーチ・エコロジーと呼んでみたいと思います。
私も、研究室に、いくつか、リーチ・エコロジーをつくりました。
5月4日、机の前に置いたプランターにまいた種から芽が出ていました。
この小さな環境から、どれくらいのセンスオブワンダーを体験できるか、報告していきます。
あなたのリーチ・エコロジーもつくってはどうでしょう?
エコロジーをどこまでもつきつめると、私自身も人間も地球の一部となります。
ヨーロッパ中世では、家を追われたねずみが人間を訴える(人間が代理人になって)動物裁判が教会で行なわれた記述があります。
すべての生き物が生存権を主張したら、どうなるでしょうか?
人間中心主義をなくしたエコロジー思想をディープ・エコロジーと言いますが、そこまでは、私はまだわかりません。しかし、私自身が環境への感受性を取り戻す、リーチ・エコロジーは、始めていきます。
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