コミュニケーションのあり方は、環境にも規定されるのでしょうか?
たとえば、明治から昭和の時代の家庭のコミュニケーションの環境は?
畳(座った低空間)に、ちゃぶ台(丸く囲む、移動自由)が、定番の環境でした。 昭和の家庭テーマパークよろしく、そこでのコミュニケーションを体感してみようと、研究室に配置しました。
あとは、何があったらいいでしょう?
山形市落合スポーツセンター避難所で、3回目のハンズインカフェを行ないました。前回まで参加されたお1人は、二次住まいに移られ、今日は2人のお母さんと娘さん2人、ボランティアスタッフの方1人。そして、山形市でニットデザインの手芸を製作販売している、とがせ真さんが参加されました。読売新聞山形支局の記者の方がこの集いを見て紹介してくださりました。
フィレンツエでも糸の修行をしてきたという、とがせさんが持参してくださった作品(商品)は、山形県の形(人の横顔です)に編んだコースター(がんばれ日本の日の丸入りもあります)、肌さわりが「海ぶどうのよう!」と歓声があがったグラデーションが美しい、リースのようなマフラー、鏡の前で、お母さんたちがかぶって女子高生のように喜んだ帽子、そして、これも山形の形にざっくりと編んだマットでした。
マツダナルドとは、
マクドナルド化する社会(リッツア/正岡『マクドナルド化する社会』早稲田大学出版会、1999)に対して、私(マツダ)なりに、それを超える社会づくりをめざす試みを名づけます。
私は、その巨大なマクドナルド化に対抗するアイデアの素を、ちっぽけで大人の眼中に入らなかった駄菓子屋に見い出しました。その具体的な戦略的方法は、『駄菓子屋楽校―小さな店の大きな話・子どもがひらく未来学』(新評論、2002)にまとめました。関心ある方は品切れになったので図書館で探してください。
その新版『輪読会版・駄菓子屋楽校』(新評論、2008)には、駄菓子屋の意義だけをまとめ、マクドナルド化への戦いの戦略論は削除しました。その理由は、それを共感する人たちみんなで考え練って行なおうと提案したためです。
そして、それをいよいよ私自身が具現化していく出島「真田丸」が、この部屋です。
どんどん、駄菓子屋化していきます。
山形市の卸売り市場に行き、塩釜などのマグロのトロ箱をもらってきました。
津波で港がやられたので、返せないものです。
昼は、市場食堂で、マグロのなか落ち丼。隠れた穴場食堂です。
大学のとあるところで、長年の落ち葉が腐って堆肥になっているのを、ゴミ拾いもかねて、トロ箱に入れ、象徴としての大地の再生を、この小さな箱の中でも試みてみます。
海水で塩田になってしまった三陸の田畑では、塩性植物を植えて、新たな地場産物にすることを応援したいと思います。いっしょに、塩性植物栽培プロジェクトしてみたい方いませんか?
三陸の海の豊かさも、海流とともに、落葉樹林の山の養分が水に含まれていることにもよります。
落ち葉の豊かさとトロ箱は、大地と海の再生の象徴になります。
山形にもどった翌日、4月1日、山形市内の避難所に行って様子をみてきました。
次の日に行った時は、ボランティアの窓口になっている社会福祉協議会の方と立ち話しながら、その場で、「手を動かしながら語り合う集い」の貼り紙をかいてきました。
最初に電話もらったのは、読売新聞の記者の方です。みな見ていますよ、と。
電話に応答あったのは、2人の方です。
さっそく、材料と道具集めです。
ニット工場が集まっている山辺町の工場から残糸をもらい、名古屋市のロイヤル工業様から糸巻き器10個を寄付いただき、三重県伊勢市の林イマニティ様から竹の編み棒100本を寄付いただきました。
1回目、電話の2人の方と行ないました。同じ避難所にいても、話すのは初めてとのこと。
2回目は、もう1人誘われて、3人。途中、ボランティアの高校生も混ざりました。
手を動かすことは、会話の潤滑油になる。
会話の中味を、手を動かしながら、自分の中にしみこませる。
巻き上がる糸は、つれずれなるままに語る会話をつむぐ象徴として、心をいやす道具にもなっている。
固い話の内容も、なめらかで、やわらかく、変容し、どんどん話の中身が変わっていき、途中、笑いもおこりました。
手を動かしながら語り合う集いの形式で、人とつながるコミュニティの基本原理を学ぶことを、今年度、東京都杉並区の社会教育センターが主催する「すぎなみ大人塾」の昼コース「だがしや楽校的社会の作り方」で行ないます。その方法を「ハンズインカフェ」と名づけました。ご関心ある方は、問い合わせてみてください。私も参加します。
また、山形市の元木公民館では、日本語にしてわかりやすく「おしゃべり手芸の会」として開きます。1回目は、5月7日、午前10時から昼までです。
各自の手芸は、自分が何か手を動かしたいものなんでもよしです。
ここでの手芸は、一人で真剣に集中する手芸ではなく、会話をやわらかくする道具の役割としての手芸です。かつ、自分の持ち味を見せ合い、より豊かにするための「自分みせ」でもあります。
それは、原発のように、個人では制御不能な技術ではなく、自分が制御できる範囲の技芸(アーツ)で人と関係をつくる等身大の人間関係づくりの基本学習です。
かつて、今でも、農家のおばさんなどが、集まって、手を動かしながら、おしゃべりして、笑いあい、生産と福祉と健康と地域づくりが一体になった活動を、時間と技と飲食を持ち寄って行なう試みです。
私の研究室でも、この形式を日常的に学生が体感できるようにしていきます。そのために、研究室を駄菓子屋化していくわけです。
さて、避難所での第3回は、4月30日の午前10時から11時までです。
でも、みなさんは、別の仮避難所に移動するかもしれないと言うことでした。
この集いからすれば、また、できればいいですが、みなさんからすれば、それは一時のくつろぎに過ぎず、何より、どこに住まうかが最大のことです。
偶然の出会いでしたが、人生、いろんなことでも偶然の出会いも大切にしたいものだと思います。
今年、日本全国各地での、手を動かしながらの語り合いが、さらにネットも活用して、つながっていくことをめざしていきます。
縁育てのやわらかな大運動をおこしましょう。
人間は、これまでたくさんのモノを作り出してきました。縄文時代の数千年前から、いろいろなモノを作り、特に一気に増えたのは、200年前の産業革命以後、さらに、50年前の戦後の高度経済成長、そして、20年前からのファーストフード、ファッションのグローバルシステムによって、安価な使い捨て商品がどんどん身の回りにあふれています。
この部屋にも、どんどんモノが入ってきました。
その中で、同時に、震災支援活動を行なう下準備として、
名古屋のロイヤル工業様が、糸まき器10個を寄付してくださりました。
この部屋づくりは、同時に、この地域社会、震災地域をはじめ、現代社会の次なる新たな社会づくりを実践提案する社会実験基地にしていきます。
松田道雄 着想家
メール: dagashiyamatsuda@gmail.com
ブログ:夢の種まき楽校:
http://yumenotane.exblog.jp/ (ふりかえり着想日記)
アーツ・アンド・コミュニティ:
http://gs.tuad.ac.jp/matsuda/ (社会実験日記、これ)
勤務 〒990-9530 山形市上桜田3−4−5
東北芸術工科大学 芸術学部総合美術コース教授
研究室 芸術棟118室 電話: 023-627-2099
大学の前の道路の真ん中で、カラスが何か加えていました。
しばらく見ていると、何と、通るクルマにクルミを割らせて、中味を食べていました。
なんとまあ、ぼくより頭がいいなあ、と感心しました。
4月5日、大学の研究室に入って2日目。まず、机の周囲に本を石垣のように積み上げました。
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