一週間のお盆休みも終わり、明日から授業が始まります。前期終了まで、もう少しあります。
現在は、企業も行政も教育現場も組織社会はどこでも、職員の勤務自己評価などがあります。また、教育現場では、学習者(学生)による評価もあります。何でも、なにかすれば、評価評価とつきまとう世の中になっています。メタボの検査などの健康評価もどんどん増えていきます。きっと、これから、もっともっと増えていくことでしょう。
さて、4月から山形の大学に勤務し、自分の専門担当で、ゼロから活動を生み出しながら、働いてきて、自分なりの仕事の自己評価を端的に示す写真を1枚と言われたら、これをあげます。
「一体、なんだ!これは?」と思われることでしょう。正式な大学の教員自己評価にも、この写真を載せることはありえないでしょうが、これこそ、私の現在の仕事の独自性を端的に表す1枚です。
6月16日、本コースでペイントすることになった尾花沢市のドームハウスの下見にフィールドワークした時に、ドームハウス壁画の次に思い描いた、スイカの箱のパッケージをデザインしたいスイカ農家がいるかどうか、頼んでいたら、箱を必要とする農家の方がいるというので、そのまま、スイカ農家の畑に行って、大学の公用車の後ろに積んでいた、学生のドームハウスのデザインのプレゼンボード7枚と、既存の農産物のダンボールを、実際に農家の方に、その場で見せたところです。
農家の方は、学生のデザインに感動して、即、スイカの箱のデザイン受注が決まりました。
その経過と成果は、これまでのブログに紹介した通りです。
スイカ農家の方は、本学にまだこられた時はありません。当然、美大生の制作や作品も見たことがありません。美大生も、作品は美術館やギャラリーに展示するものなので、スイカ農家の方のところに行くこともありません。
これまでは、同じ地球上に住んでいながら、両者は別々の世界に生きていて、出会うこともありませんでした。
美術科に美術をしない教員がいて、学生の作品を大学の公用車につけて、農村をまわって見せて、商談をとる。
単にミュージアムのクルマが地方をまわって巡回公開するのではなく、両者をドッキングさせる新たな学社連携の共同事業をおこす。
ちょうど、クルマの移動八百屋さんが村をまわっていくような感じですが、フィールドワーク・社会関係論の教員として、私は自分で実践事例をつくってみせて、そのノウハウと背後の論理を学生に教えていきながら、次は学生もともに活動し、後に、将来、自分ひとりで、このような社会関係をつくり出していくことができるようにすることが、私の教員としての役割です。
ということで、東北芸術工科大学という名前が書かれたクルマで、学生の作品をのせて、いたるところ営業する。
クルマで地方をめぐって料理をするテレビ番組もありますが、こちらは、アート版です。
こんな風変わりな教師もいるんです。そんな役割の教師を採用してくれた大学も、また風変わりなのか、どうなのか?
その成果は、これからです。
かつて、松下幸之助も、大八車に自室でつくった二股ソケットを積んで営業をしました。
その昔には、近江商人が全国、山形などにも来て、モノ売りをしました。「相手よし、自分よし、世間よし」の「三方よし」は、社会関係の基本原理でしょう。
「生産者よし、学生よし、消費者よし」の「三方よしのアートデザイン」を生み出すべく、明日からも、もしかすると、そこいらにフィールドワーク・アンド・セールスしているかもしれません。
もし、自分のところにも来てほしい、という方がいらっしゃったら、お声かけください。
シルクロードや大航海時代、人類の歴史と発展すべては、壮大な交易の産物です。
活動の果実を生むために、ブンブンと花粉媒介者(ポリネーター)として、私も飛び回りたいと思います。
松田道雄 dagashiyamatsuda@gmail.com