あつらえる。ということばは、今はほとんど聞かれません。以前、工場での大量生産社会以前は、近所の職人さんの店で、いろいろ、要望を言って作ってもらうということが普通にありました。
工業デザイナーの秋岡芳夫先生は、職人のものづくりを守るために、あつらえることを、いろいろなことで提案実践なされていました。
大きな社会の流れ(トレンド)の視点から言えば、未来学者アーノルド・トインビーは、消費者が生産活動にも関わるあり方を、生産消費者(プロシューマー)という造語で表現していました(『第三の波』)。
現代社会において、あつらえることは、消費者がただ店で受動的に大量生産品を買うのではなく、自分も生産活動に参画する行為になります。
では、だれにあつらえることができるでしょうか? それは、大きな会社では無理でしょうから、やはり、個人対個人で応答してくれる個人商店、職人、信頼関係をつくった中小企業などではないかと思います。
いよいよ、私の大学でも連休明けから授業が始まります。フィールドワークでは、それぞれ野外手帳(フィールドノート)も準備しますが、あつらえの実践見本の一つとして、私自身のフィールドノートは、あつらえてもらう交渉をしました。
100円ショップでは、手帳も1冊100円であります。
山形市の竹谷製本所さんにうかがって相談し、裏表紙を厚い版にし、中味の紙は、ある紙何でもいい(残り紙処理でつくって)、途中で紙種が変わってもよく、大きさは、文庫本と、新書版を、基本サイズにして、でも、紙の都合で、いろいろなサイズもあってよく、100枚綴りで、100冊で、単価50円で、作っていただくことにしました。
印刷はまったく何もいれない。ゆえに製本屋さんに行きました。
先日、見本ができたというので、見せてもらいました。
工場にとっては、残り紙処理、購入する私にとっては、100円ショップの半額の50円でつくってもらえるので安く、どちらにもよいことです。
ご縁がたくさん重なる手帳で、50円手帳です。
書かれた本は、いまや、電子ブックが主流になりつつあります。これからは、中味はまっしろの文庫本(野外手帳)を持って、自分なりに書き込んで中味をつくることが、より生産的ですね。
こんな風にして、いろいろ共同であつらえて、小さなお店、生産者、職人さんを守りつつ、自分も創造的になりませんか?
私は、あつらえる ということを、生産者の方といっしょに相談しながら両者がよくなるようにデザインしていく、という意味で、インターデザインと、ちょうど、30年前、学生時代にことばを考え、試みました(当時はニットのデザインで)。
だれでも、インターデザイナーになれますよ!
何でも手軽に買えるファースト消費の時代だからこそ、インターデザインのスタイルは、ちょっと自分を創造的にしてくれますよ。
お互いのインターデザイングッズを、あげっこすれば、2倍楽しみが増えます。
松田道雄 着想家
メール : dagashiyamatsuda@gmail.com
ブログ : アーツ・アンド・コミュニティ: http://gs.tuad.ac.jp/matsuda/ (研究室の実践日記)
: 夢の種まき楽校: http://yumenotane.exblog.jp/ (重ね塗り着想日記)
勤務 〒990-9530 山形市上桜田3−4−5
東北芸術工科大学 芸術学部総合美術コース