今日は研究室に、尾花沢市でしめ飾りをつくる猪俣さんと、モノづくり仲間の有路さんが来室しました。それを聞きつけたチュートリアルメンバーも、ぞろぞろと。アイデア談義になりました。
有路さんは、三人の仲間と建築会社を立ち上げたのだそうです。大達という会社名は、大きなことを達成するという願いを込めたとのこと。きっと、その通りになると、今日の話し合いで感じました。
有路さんがまず見せたのは、とれそうでとれない千鳥格子の組み木。子どもたちから評判がいいので、これを玩具にできないかと。耐震玩具のようなおもしろさがあります。
宮大工について寺社仏閣の建築もしている有路さんは、その技術に関心があるとのことです。
次に見せてくれたのは、四方差し。これも精巧な組み方で、日本のかつての大工の技術を目の前で再現してくれた感じです。どちらも現在の建築には、手間がかかって使われていないとのこと。
きっと、法隆寺以来、千年以上も前からかかって培われてきた日本の木工技術を、次の世代、次の世代にも、何か楽しく知的好奇心を喚起するモノとして作ることができれば、それこそ、未来の人類への貢献になります。文殊の知恵遊び。スイスの玩具メーカー、ネフ社を超えるような、世界に誇る宮大工の伝統を未来に伝える木工玩具メーカーがこれからきっと生まれることでしょう。
2回目来室の猪俣さんは、しめ飾りをデザインしたいという学生に、さっそくしめ飾りの基本パタンと、猪俣さんの要望を伝えました。8月をめどに、来年の正月から何年後?何十年後?何百年後?まで、伝えられるかもしれないアノニマスデザイン(無名性の伝承デザイン)の歴史の中に、参加することになりました。
私たちが行なうしめ飾りプロジェクトは、
1 しめ飾りの歴史と内容を調べる。
2 新たな縁起かつぎのことば合わせの農産物(特に県産)を探す。
3 なわなえを見学体験フィールドワークする。
4 総合美術の課題制作(または自分の専攻分野)の技法と発想を生かす。→ どのような課題や専門をどのように生かしたのかをだれにでも語れるようにします。それを私が指導します。それを武器にシューカツで語ることができれば、丸でしょう。
もう、この場で、日本の生活文化の歴史を変えるようなアイデアが出ました。それは…? これからのお楽しみ。
あらゆるジャンルを超えて創造性を育む総合美術コースの多様な学習の成果は、社会の大地にまもなく芽を出しそうな気配が出てきましたが、当然これからが産みの苦しみを経なければなりません。
安易なものやマニュアルの指示の仕事ではなく、人類の歴史的視点からしようとしているという風に思えば、それはそれだけ若い情熱を傾ける価値のあることでしょう。
千年規模の大津波からの復興と再生をはかる東北で、芸術とデザインを学ぶ若者たちとそこに生きている若きものづくり人たちよ! 千年のものづくりをしていこう!
壁面は、だれ(学生)とだれ(社会人)のプロジェクトがおこるのかが「見える化」された、出会い系プロジェクト戦略マップに変身です。