松田道雄研究室

駄菓子屋楽校 ~愉快で,楽しく,どこからでも創造する生き方と社会づくりの活動記録~
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2011-07-27

普通名詞を生み出せるか


総合美術コースの3年生の社会プロジェクトでは、昨日は、日本製乳株式会社の「おしどりミルクケーキ」のパッケージデザイン、中山町商工会のスモモしょうゆのラベルデザインの検討会議と、社会連携事業が続きました。
今日は、猪俣商事さんが、日曜日までに学生各人がメールで猪俣さんに送った図案を、職人さんに試作してもらったものを持参していただき、実物をみながらの検討会が行なわれました。
その様子を参観したのは、「祈りの造形」の課題に取り組んでいる総合美術コース1年生です。

しめ飾りの斬新なデザイン。という依頼で学生は取り組んできましたが、まだ猪俣さんは不満足です。「何だこれは!?」と消費者が驚く形が欲しいという猪俣さん。これに対して、学生は「これまでの常識をすてて、まったく独創的なものを考えよ」という岡田先生の指導のもとで、何度も練り直していますが、まだ、独創は生まれていません。
猪俣さん(企業・実社会人)とのやりとりから、浮かんできたのは、今回の独創的な商品がスーパーに並べば、消費者は、これまでのしめ飾りとは違うものとして認識し、価値を見い出し、しめ飾りを買う予算のお金で、こちらを買うのだろう、ということです。
その際には、買う人(一般市民)は、このモノを、しめ飾りという普通名詞とは異なるものとしてとらえるので、この新たなモノに、新たな名づけをすることで、しめ飾りから脱却した独創的なものが生まれるのではないか、と考えつきました。
つまり、しめ飾りということばしか存在しなければ、これまでのしめ飾りの形から脱却できないので、新たな名づけも同時に行なって、その新たなモノの形をつくるということになります。
さてはて、新たな普通名詞を生み出すことはできるのでしょうか? その評価は何十年後になります。
まずは、来週のこの時間、再度、同じサイクルで各人がさらに改良したデザインの検討会が行なわれます。
新たな普通名詞の新たな形づくり。どんな名前のどんな形が生み出されるのでしょうか?
人間活動の根源的な営みへの挑戦です。
普通の大学の授業で行なっています。
今年の年末の店先に、どんなものが並ばれるのか? 楽しみです。
これまでの創造的な課題に取り組んできた学生諸君には、実社会を舞台にした必死の知恵しぼりを期待します。

2011-07-26

新たな仲間


久しぶりに研究室の中を報告します。地域から集めたモノ(素材)などがどんどん増えつつある中で、新たに仲間が生まれました。
これは、何でしょう?
山形に戻ってから食べた夏みかん(だったかなあ)の種を、研究室の「動く鉢」の中にプッとまいていたら、芽が出て、葉が開いたので、植え替えしました。
「松だ!」の木のボンサイに仲間が増えました。

もう一員です。これは?
窓辺のプランターに、ニンジンの種をまいてみたら、発芽してきました。
研究室で、ニンジン掘りができる日は来るでしょうか?
この世界は、自分一人が生きているのではなく、いろんな生き物が生きている中で、何かしら、創造的なコトを想像して、創造していきたいものだと思っています。
みなさんも、机上の生き物共同体、つくられてはどうでしょう?
心の持ち方が、ちょっと違うようになると思いますよ。

2011-07-25

大人の授業は


大人の授業は、子どもの授業と同じでしょうか? 違うでしょうか?
その比較は、教育論で考えるとして、大人のみなさんも学ぶ場があれば、何かかにか、いろいろと学びがいがあってくださればうれしく思います。
東高円寺の杉並区社会教育センターで行なわれている「すぎなみ大人塾」では、大きな球がつくられていました。これは、授業(講座時間)外の課外自主活動で、受講のみなさんが制作しているものです。8月上旬の阿佐ヶ谷七夕祭りに参加するハリボテを制作しています。さて、どのようなものができるのでしょうか? とても楽しみです。

「だがしや楽校的社会の作り方」と題した奇妙な年間講座は、前半、アートとショップの2つのまとまり(モジュール)に分かれて、同じ部屋で活動が行なわれています。この時間、私が黒板にかいたのは、このような内容です。現在の活動の意義と今後の展望を図化提案しました。

午後は、三軒茶屋の太子堂区民センターにて、世田谷区の講座「人間とデザイン」です。
前回、ハンズインカフェ形式で、各人、みなさんが関心あるものを持ち寄って披露しましたが、それがさらに発展されました。この作品は、前回私が持参したカーペットの糸を用いて、さっそく、小学生とかんたんコースターづくりのワークショップをなされてきたという作品群です。

ハーブもたくさんの素材と用途による「香りのミニミュージアム」のような展示と披露もしてくださりました。

前回、糸まきされたものをバッグにアレンジしたものを披露してくださったり、…今回も、豊かな自分みせの交流時間を楽しみました。カーペットの糸まき、次回、どんな姿形にしてくださるのでしょう。

前回と今回、私が行なったのは、コミュニケーション(人のつながり)・発想と活動創出・生きる形(人生)の3つのデザインについてのワークショップです。
最後の3つ目の「生き形づくり」は、短い時間で、みなさん、短冊状の人生訓とともに、それぞれ見事に個性的なデザインで表現してくださりました。しかも、発表も、ぴったり終了時間の午後4時30分に合わせていただきました。パチチパチパチ。

「人生、どのように生きるか?」「どのような形で幸せや生きる充実感を得ようとするか?」これは、人間だれもが思う最大の主題でしょう。

これを、部屋のインテリアにもなるようなオブジェの形にして、自由に組み合わせて、自分の「生きる形」を毎日暮らす居間に置く「ライフデザイングッズ」を企業と開発途中にしているものを、次回、持参したいと思います。世田谷区のみなさんや関心ある大人の授業のみなさんと共同開発してみませんか?

今日のここでの授業の黒板は、こんな感じでした。近々、杉並区のみなさんと、世田谷区のみなさんで、合同授業もいかがでしょうか? 同じ関心のあるみなさんがたくさんいらっしゃるようです。
大人の授業のおもしろさは、講座が開設されている地域を結び合わせることで、地域の相互活性もはかられてくるのではないかと思いますが。まだまだ、することはたくさんあります。
9月12日は、活動を教室の外に広げる視点と、世田谷区の関心マップづくりをしていきたいと思います。
楽しい夏をお過ごしください。
メールで、常時、アイデア応援団します。
  松田道雄: dagashiyamatsuda@gmail.com 

2011-07-24

アゲハウス


大学のある敷地内で、アゲハチョウのきれいな幼虫を見つけました。
はじめ、一匹目が留まりましたが、なんと!よく見ると、いるはいるは。アゲハのハウスです。このアゲハの家は、ハーブのフェンネル。幼虫がせっせと葉を食べているので、茎ばかりのような状況です。
このフェンネル、5年前に、私が別のところに種をまいたのが出てきて、毎年、種がとんで、ここに自生していたようです。
アゲハチョウの家を提供したことになったようです。

アゲハの家に、何匹のアゲハが住んでいるのか、この写真で見つけられるだけ見つけてみてください。

そういえば、今日は、大学の建物のところで、長い触角の虫を見つけました。これは、カミキリムシでしたっけ?(ゴミブリじゃないですよね。)
身の回りに、たくさんの生き物がいっしょに生きているという感覚は、何やら、うれしくなります。このワクワク感は、生命体の本能から湧き上がってくるように思います。

2011-07-23

人間と大地にいいもの


アンズは生で食べてもぱっとしません。
長野のアンズを買ってきて、こんな風に切ると。

ぱっ、と割れるよと、発見したのだそうです。
アボガドと同じように。

砂糖を入れて、ぐつぐつ煮て、あくをすくいながら。
クエン酸も入れて。

何とも、甘酸っぱい、くんと香るアンズジャムができました。
つくってくれるのは、ジャムおばさん(妻)です。

手づくりのアンズジャムを、手づくりのヨーグルトにかければ、最も純粋なデザートの一品。
と、思っていました。市販の保存料が入っているジャムよりは自然で美味ですし、生乳の価格ランクは、飲む牛乳用が一番。次に、ヨーグルト用。次がチーズ用なのだそうです。それで言えば、市販のヨーグルトより、自宅で牛乳からつくったヨーグルトのほうがよりよいとなります。
しかし、ここからさらに考えていくと、問題がどんどん先に浮かんできます。
そもそも、果樹は、最も農薬をかけるのだそうです。農薬だけを飲む人はいないし、それは有毒です。牛乳も、牛が食べるワラが放射能に汚染されていたら。今、それが問題になっていますが。
密かに、ふつふつと思いが浮かんでいることは、人間の口に入るものでよいものを用いて、植物や動物を栽培・飼育する循環はできないか、人間が食べれないものではなく。人間の体内にもよい発酵の微生物で、人間が食べる植物や動物を育てる、共生のあり方です。理学の研究者でもありませんが、一人の地球人として、実験していこうと思います。みなさんの中でも、実験してみる方は、情報交換お願いします。

2011-07-23

愉快な世界


朝、キャンパスを散歩していたら、もう制作している学生がいました。
この夏は、本学も節電のために、夜は9時までになり、その分、朝、6時30分から開放されています。朝型制作のライフスタイルのほうが、気持ちいい感じがします。
金属工芸の学生で、毎年恒例のライティングオブジェをつくっていました。
そのアトリエに、巨大な金属の虫が置かれていました。2年生の課題制作とのことです。
「これ、最後はどうなるの?」と尋ねると、
「自宅にも持っていけないし、スクラップゴミです」と。


ゴミになる前に、一つ借りることにしました。
ニコニコと親切な学生さんで、借りようとしたクモの足がとれていたので、その場で、すぐ、溶接をしてくれました。

さっそく、ずっしりと重いクモを抱えて、「賢治の駄菓子屋」に行き、草を刈って置いてみました。虫よけのお守りにならないかなあ。クマやカラスも、これをみれば、ちょっと驚くかもしれません。
大災害の中、東北に戻り、私が、これから生きる若者たちにつくっていきたい世界は、ようやく導き出されてきています。
愉快で楽しく、どこからでも創造することができる世界。

その素材や活動は、みのまわりにたくさんあります。
活動原理の小理論は、『関係性はもう一つの世界をつくり出す』に著したので、あとは、私自身がミツバチ(花粉媒介者:ポリネーター)のように、せっせと動き回り、人とモノと技術とイメージを組み合わせて、この世界をつくり出していきます。それが、すなわち『駄菓子屋楽校』の世界像です。

2011-07-21

祈りの造形


昨日は、スイカの箱のプレゼン。
今日は? しめ飾りの途中経過のプレゼンでした。
発表は、4人。
でも、
まだ、まだ、これまでのしめ飾りのイメージにとらわれているようです。

猪俣商事さんの要望は、まったく大胆でこれまでの常識をくつがえすような斬新なしめ飾りの形。

まずは、アイデアを絞りに絞って、ラフの造形案を描いたものを、猪俣さんに日曜日までに各人がメール送信し、その中から、猪俣さんが気に入ったものを、ラフ試作をつくってきてもらい、来週の水曜日に、ラフな造形をみながら、さらにアイデアを深めていきます。

コンピュータで図案をつくればいい平面体と異なり、できあがるのは物体なので、平面から立体の物にしてみることで、立体感覚をつかむことができます。
しかも、それには、自分でもなわをなうことができる技を身につけることも必要でしょう。

わらを基本の土台にしながら、祈りの造形を考えること。なかなか、至難の業のようです。
どんな斬新な造形案がでてくるのか?
発想と創造力の授業です。
みなさんなら、どんな形のしめ飾りを考えますか?
プレゼン後も、くらいつくように猪俣さんに尋ねる姿は、「社会造形家」になっていく一歩のように見えました。
来週の造形プレゼンが楽しみです。

2011-07-20

どれがいいかな?

今日は、スイカの箱のプレゼンが行なわれました。
みなさんなら、どのデザインを選びますか?
どれも、これまでの農産物の箱のイメージをくつがえすような図案です。
こんな想像性あふれるデザインが、スーパーや台所などの身の回りにあふれたら、どんなに創造的で心豊かな日常生活になるのでしょうか?
人類の歴史は、まだまだすることがたくさんありそうです。




そのあと、スイカの箱の中と、未知の駅スイカドームの商品に入れる、スイカドームのポストカードのプレゼンも行なわれました。
このカードを商品に入れることによって、場所(トポス)への関心も商品の購入者に伝わり、この場所(トポス)に人を誘う媒体になります。
さらに、このプレゼンには、お菓子屋さんも参加されました。その心は? スイカの季節でない時期につくるスイカの菓子づくりとパッケージを、さらに発展展開していく縁づくりのためです。
ひょっとすると、真冬のクリスマスに、雪をかぶったスイカドームのケーキなどが生まれるかもしれません!?
みなさんなら、どんな、スイカのお菓子を考えますか?
スイカ・スイーツ・プロジェクトに参加したい方、募集します。
活動は、変容させてつなげていけば、無限に生み出すことができますね。

2011-07-19

日はまた沈み、また昇る


夕暮れ時、アトリエから外を見ると、空が真っ赤に染まっていました。
あの一本の木のところで、夕焼けの写真をとっている学生がたくさんいました。


思わず、赤い空から誘われるようにして、悠創の丘にのぼりました。ここにも、アベックをはじめ、何人かが夕焼けを眺めていました。
手前の畑はすでに暗闇です。
また、明日、昇る日とともに生きよう!

2011-07-18

命の仕組み


連日の暑さで、カンカンに乾いた土の畑を朝見に行きました。「村」の長老のおじいさんがいつものようにいて、水やりはしなくていいのか尋ねると、「根っこがからからでも、街路樹が枯れないように、ちゃんと生きる。水をかけたら、いつもかけてやらなければならなくなる。幼い時だけは、ちゃんとかけて世話をしなければならない。」と教えてくれました。まるで、人間の育ちそもののを聞いているようでした。
みなさんは、トウモロコシの受粉を知っているでしょうか?
山形で生まれ育ちながら、恥ずかしながら、これまでよくわからず、それを知ったのは、何と、新宿の高層ビルを眺めながら屋上栽培をした高千穂大学での菜園体験学習の時でした。
これが、雄花。幹をゆすると、煙のように花粉が舞います。


それが、下にヒゲのようにのびた雌花(ベタベタしている)にくっつくと受粉して、そのヒゲがふくらんで実になっていくのです。雄花の花粉は、隣の他のトウモロコシの雌花に受粉するのだそうです。
それぞれ、この地球上に育った数多の動植物は、それぞれの命の仕組みを営々とつくりあげてきています。それらを体感できるのは、話を聞いたり、文字で読むだけでは不十分で、その営みに参画してこそなのでしょう。
人間社会への社会参画も必要ですし、地球生命への「命の参画」もまた、この地球上の生きている一員として、必要なことでしょう。
そして、そこから、茎の利用なども考えるなどしていくことで、命の連鎖、つながりが見えてきて、エコシステム(エコロジー)の全体感覚が磨かれていくのだと思います。
イネ科のトウモロコシは、日本人のイネの多面的利用と同じように、いろいろな活用を考えることができそうです。

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