2010-07-31

山形エコハウス

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未来の住宅はどのように変わるのでしょうか

これから21世紀は環境の時代。自動車がガソリン車から電気自動車に変わろうとしています。石油に代表される化石エネルギーは使い勝手もよく、出力が大きいのでさまざまなモノの移動に役立ってきました。20世紀はまさに石油の時代だったのです。一方で、大気汚染の問題があったりしました。また、それも永遠に続くものではないことがわかってきました。
そこで、石油以外の選択肢が求められてきているのです。同様に、住宅も変わるべきだと考えられています。というのも、日本の住宅はあまりに簡単に考えられているために、エネルギーのロスが大きく、石油を由来としたエネルギーに頼っているために、地球温暖化を進めてしまうCO2をたくさん放出しているからです。 さて、未来の住宅はどのように変わるのでしょうか。


環境共生を実現した山形エコハウス

それを具現化したのがエコハウスです。

いくつかの要素にあわせて説明します。

1. 木材で建てる。
2. 省エネルギー化する
3. 自然エネルギーを利用する。 以上の3点がエコハウスの基本です。

その1。住宅を木材で建てる。 木造住宅というと未来というよりは過去のものという印象を拭えませんが、そんなことはありません。日本では建物を火事で燃やさないようにするために不燃化が押し進められてきました。その結果、燃えやすい木造よりも鉄やコンクリートが価値のある材料のように思われてきました。

しかし、木材にもいい点はいっぱいあるのです。まず、軽い。伐っても適切に管理してやれば、再び生えてくる。なにより、光合成をするときに、CO2を吸ってくれ、それを固定化するので地球温暖化の防止につながります。日本では木を大切にするなら伐ってはいけないような印象がありますが、実際は、ある程度間伐しながら、手を入れてやることが必要になってきます。逆に、日本の森林の現状はよくありません。植林されていても放置されているので、樹径が小さく倒木しやすい。集中豪雨になると土石流など発生する可能性があります。一方で、日本は森林国でもあります。国土の約2/3が森林ですから、自らの資源を大切に使うべきだとも言えます。後継者問題など課題は山積していますが、それでも、自国の資源を使うことは政策的にも大切なことだといえます。


山形スギとカラマツを用いた外壁


地元産材をふんだんに利用した内装

 

その2。住宅を省エネルギー化する。
もっとも日本の住宅が遅れているのがこの分野です。寒暖がはっきりある日本の気候では、暖房や冷房に多くのエネルギーを使います。CO2の排出量を抑える意味でも、無駄なエネルギーを使わないためにも、住宅を断熱化することはとても大切なことです。
このエコハウスは屋根40cm、壁30cmと断熱材が通常よりも厚く入っています。また、窓から熱が出入りをしてしまうので、窓には3枚ガラスの入った木製の窓をはめています。この結果。エネルギーの消費量は通常の家の、およそ1/10程度となっています。

その3。自然エネルギーを使う。
このエコハウスは太陽電池5kw分(通常、5人家族がつかう家電をまかなえる量)、太陽熱温水器、ペレットボイラがついています。ペレットボイラは、木を切ったときに出るおがくずを、蒸気で固めた燃料です。だから木です。木は燃えると実際はCO2がでます。しかし、その時代に育った木を切っても、大気中にあるCO2を固定化し、それを離すだけですから、CO2の量はかわらないと考えます。結果、この住宅は太陽と木材、両者とも完全な自然エネルギーでまかなわれます。年鑑をとおして考えるとこの家はエネルギーを消費するのではなく、生産する拠点であるとも言えます。

 


小型ペレットボイラーを用いた暖房システム


間伐材からつくられたペレット燃料

 

エコを考えると間取りまで変化する

さて、このように書いてきましたが、大事なのは空間です。いままで書いてきたことは技術の問題、これから書くのはデザインの問題。

ここから先はいろいろな可能性があります。だから、今回はそのなかの一例です。簡単にまとめると、

・家はコンパクトになる。
・空間が流動的にワンルームに近づく。

家を大きく建てても、今まではエネルギーを節約する意味で、冬につかわない部屋があるといったことがないようにすべきです。ですから、たとえば、家族にとって必要な大きさということが重要になります。だからコンパクトになる。そのうえで、空気を循環させるわけですから、部屋を一個ずつわけるより、空間はつながりを持ってきます。だから大きなワンルームになってくるわけです。一般的に吹抜けを住宅につくると、暖かい空気は上にあがり、下の階は寒くなってしまうということがありますが、このエコハウスではそうなりません。熱の出入りがすくないので、熱的に非常に安定しているのです。このようにエコを考えると間取りまで変化してきます。

 


快適性を考慮した間仕切りのない大きな空間

建物だけでなく庭や周辺の環境を考える

さて、建物は建物だけで成り立っているわけではありません。それを含んだ周辺の環境とともに成り立っています。つまり、庭や外部の環境も家の一部です。敷地が極端にせまい都市部では、集合的に考える必要がありますが、山形エコハウスでは庭や植物とともに考えるべきだと考え、それを実習の現場として役立てようとしています。いまは家だけがたった状態ですこし寂しいのですが、これから木を植えていくことで、周辺の環境を作っていきます。

 


屋根に設置された太陽光発電と太陽熱温水器。周辺環境づくりはこれから

 

実際にまなび、それを活かしながら学校の教育に活かしていきます。

さて、このエコハウス、意外と知られていないのですが、公開されています。平日と第土曜日の10時から16時まで、自由に見学ができます。どうぞお気軽にいらして体感してみてください。
山形エコハウスの見学についての案内など、詳しい情報は公式サイトをご覧ください。

山形エコハウス
山形エコハウスの公式サイトです。
yamagata eco house report
東北芸術工科大学が運営する「山形エコハウス」ブログです。