2010-11-11

カッパドキア

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学生たちとトルコのカッパドキアに行ってきました。宗教的な迫害を逃れて地下に町を造った時代は遙か昔となりましたが、今でも岩をくり抜いた穴の中に住み続けている人たちがいます。カッパドキアの冬はかなり冷え込みますが、岩や土は人々を暖かく包んでくれています。岩の中の住居は、天井は低いですが広さは十分あり、娘さんの部屋は2階にあるそうです。岩の中は蟻の巣のように多層構造になっているようです。リビングの床一面に敷き詰められた絨毯が心地よく、家族が寄り添って仲良く暮らしている雰囲気が伝わります。外から眺めると、一見、人など住んでいないただの岩山に見えますが、よく見ると、ストーブの煙突が突き出ていたり、穴にガラスがはめ込まれていたり、住居のかたちが見えてきます。地球につながった生活が脈々と継承されているのです。(カッパドキア、トルコ)

2010-11-11

建築はエネルギーを消費するものから生産するものへ

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東北芸術工科大学の敷地に山形県のエコハウスが建てられた。
このエコハウスは地球温暖化と決別すべく、次世代の住宅として計画されたもの。
二酸化炭素の排出がゼロとなる住宅。そもそも、建築が二酸化炭素を排出するのはエネルギーを消費するからだ。
このエコハウスは徹底した省エネで消費する以上のエネルギーを自然のエネルギーで生産している。
壁には厚さ30cmの断熱材が入れられ、屋根には太陽光発電と大尉用熱温水器、暖房や給湯には木からつくった燃料を使う。
身近なところにある自然エネルギーを使えば建築はエネルギー自立できるのである。
建築が変われば世界を変えることもできる。

2010-11-08

【映画上映会】「ミツバチの羽音と地球の回転」in TUAD A+E

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この度、東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科では11月25日(木)に、
鎌仲ひとみ監督作品「ミツバチの羽音と地球の回転」の上映会を開催いたします。

この上映会は、私たちが置かれている地球環境問題の現状を見つめ、
「これから自分たちがどのようなエネルギーを選択するのか」
「持続可能な社会とはなにか」
「私たちがこれからどうしたらいいのか」
など様々な視点で考えることを目的とした上映会となっております。

下記のとおり開催いたします。
一般の皆様にもご参加いただけます。

【開催概要】
東北芸術工科大学 映画上映会
■日 時:2010年11月25日(木) 18:00〜20:15(入場17:30)
■会 場:東北芸術工科大学 本館4階 407教室
■入場料:お一人様 1,000円

【主 催】
東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科

【問合せ】
TEL:023−627−2189(建築・環境準備室)
MAIL:env.info@aga.tuad.ac.jp
■映画「ミツバチの羽音と地球の回転」ご紹介はこちら(↓)

2010-11-02

早戸温泉石積み実習 続報【廣瀬俊介】

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今夏、奥会津は三島町の早戸温泉で行った石積み実習の続報を届けます。
10月15日(金)午後2時より、地区にお住まいの方々を対象とした遊歩道改修の説明会を、施工後の点検を兼ねて催しました。
薄曇りの空から時折光が差す、そんな天候でした。
暑い夏のさなかに作業をする私たちの傍らにあったヤマアジサイの花は終わり、かわってシラネセンキュウが花を咲かせていました。

石垣の天端の石を一つ一つさわって確かめたところ、
表の積み石も裏込め石も施工直後より引き締まっていました。雨水が裏込め石を動かしつつ締め固められるのだ、と思い当たりました。

佐久間さんのお話では、
私たちが施工を終えて湯治場と集会所を引き払った8月28日(土)以来、数度強い雨が降ったが石垣はびくともしていないとのことでした。

福島県三島町に隣り合う金山町には、気象庁の地方気象観測所があります。そこでの観測値を調べると、9月8日(水)に1時間当たりの最大降水量が19.0mm、1日の降水量が63.0mmという雨が降っていることが分かりました。そして、もっと強い雨が同月12日(日)に降っています(日1時間最大降水量34.5mm、日降水量106.5mm)。
さらに、同月22日(水)、23(木)は日1時間最大降水量20mm、日降水量50mm相当の雨が連日降り続きました。
なお、9月12日の日降水量は金山地方気象観測所における観測史上1位、日1時間最大降水量は同3位であったそうです*註。

降雨の程度は土地によって違い、また観測所は三島の隣町に位置します。
かつ期間の限られた「観測史上」というとらえ方を絶対的な判断基準にはできません。
しかし、遊歩道の石垣もそだ柵も、当地では強い雨に数えられる降水に持ちこたえられたことは評価できます。

私たちは早戸温泉の駐車場に集まり、そこから只見川に面した斜面の緩やかなところを結ぶように通された遊歩道の新設部分を一同和気あいあいと歩きながら、石垣とそだ柵のある杉木立へと向かいました。

説明は私が主に担い、廣瀬研究室招聘講師であるデザイナー田賀陽介氏に補足をしていただきました。
遊歩道が元から歩きやすく、木立の間から垣間見える只見川の水面や川霧がたつ様子が美しく、土地の植物のさまざまな葉や花や実のかたちや色を楽しめる秀逸なデザインの成果と評価できたこと
(デザインの原点は、温泉組合の佐久間源一郎さんらが子供のころに遊んだ小道にあり、それが藪に埋もれてしまっていたのを改めて拓いたのだそうです)。

そこへ、山側から流れ下る雨水が土や落ち葉を大量にかぶせたり、切り土面を洗い掘ったりしないように、道の周りにあった石や杉の落枝を用いて石垣とそだ柵を必要な箇所にもうけたこと。

私たちは施工の専門家ではなく高度な技術の行使が不可能であるために丁寧に仕事をし、丁寧な仕事の跡が風景の部分となるように予め申し合わせていて、心のこもった歓迎会を開いてくださり集会所を宿泊用に貸し出してくださった地区の皆さんが実際にこの道を散策されることを思いながら学生らは石を積みそだを編むことができ、その経験が大きかったと話していること等々を、私はお伝えしてきました。



遊歩道での説明を終えた後、参加者一同は温泉施設の二階へ移動して、今後の管理ほかに関した意見を交わしました。(歓迎会のはじめに地区の方々と自己紹介をしあった、なつかしい……)

私にも田賀氏にも、遊歩道の排水と地形保持についての技術的処置以上に、丁寧な仕事の跡が風景の部分となっていることを地区の皆さんに価値と受けとめていただけていると思えました。

私たちの「土地の材を用いて土地の自然に対応しながら人が生活する場をもうけ、その先に土地の風景の質を向上する」仕事を、参加者のお一人である角田和子さんは「素朴な考え方」と評してくださいました。

福島県の林業試験所に努められた目黒卓男さんは石垣やそだ柵を「なつかしい」とおっしゃられました。

あの場で角田さんの口から発せられた「素朴」という言葉を聴いた身として、それは「洗練」の反意語のような意味と違い「簡潔」であり「穏やか」であることを指すように感じられました。

目黒さんの「なつかしい」には希望が湧きました。
なにしろ、設計図に空石積みやそだ工の指示をしようにも「もう伝統工法を継承している施工者がいない」と言われることが普通であったことから、私や田賀氏は自分で石が積める農家の方や数少ない伝統工法の継承者を訪ねて、技術の習得を進めてきていました。

それゆえ、かつてこれらに携わった方の「なつかしい」という言葉に、失われつつある技術の継承、あるいは再生はまだ手の届くところにあると安堵に近い感情を覚えられたと共に、さらなる意欲が持てたのです。
この日、早戸で私たちはデザイナーとしての幸福な時間が過ごせました。
早戸の皆さま、今回も本当に有り難うございました。
次回は雪が降る前、できれば紅葉の盛りのころに点検に参りたいと考えております。
なお、報告の終わりに実習参加者の名を列記します。敬称は略しました。

早戸温泉石積み実習参加者
■企画 / 設計 / 施工
廣瀬俊介(東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科 准教授)
■設計 / 施工
田賀陽介(廣瀬研究室招聘講師、田賀意匠事務所)
渡部 桂(東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科 講師)
■施工監理指導
高山登志彦(煉瓦職人、東京ブリック社)
■施工
野呂光平(東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科 4年)
佐々木愛奈( 〃 )
井形 充( 〃 )
角田裕介( 〃 )
越田淑子( 〃 )
後藤 東( 〃 )
齋藤直哉( 〃 )
渋谷隆太( 〃 )
志村ちあき( 〃 )
須藤ありさ( 〃 美術科 テキスタイルコース 4年)
伊藤麻衣子( 〃 建築・環境デザイン学科3年)
菅 拓哉( 〃 )
熊谷麻里奈( 〃 )
佐々木智之( 〃 )
佐藤 海( 〃 )
佐藤詩織( 〃 )
丹野惇平( 〃 )
鷲尾 愛( 〃 )
渡部彩佳( 〃 )
早坂 芳( 〃 研究生)

廣瀬俊介

*註 気象庁ホームページhttp://www.jma.go.jp/jma/index.html
金山地方気象観測所 / 気象観測データを引用