文化財保存修復学科

立体作品修復/東洋絵画修復/西洋絵画修復/保存科学
*
2009-06-29

とある食事の席にて、ポッケでメモる


 先々代の副手殿がおいで下さいました。
 叱咤激励を受けながらも、とっても嬉しかったです。
 どうか、お幸せにお健やかにお過ごしくださいますよう、
 お祈り申し上げます。

 閑話休題。

 とある食事の席での話しの一部。素敵な研究者ばかり。
 これは伺った話から、つらつらと。

 なぜ、実験をするのでしょう(仮題)

 美術作品や文化財を観察(目視)することだけでは
 確かめられないもの・分からないことがあります。
 出来る範囲で環境条件を把握し整え、
 理想的な測定を行うことで、実験結果は得られますが、
 それでも、様々なノイズが混入します。
 これらをどのように捉えて、潜んでいる状況を見出し
 見極めることができるのか、これが実験者の重要なところです。
 あと、同じメーカーの同じ機械でも、番号が違うだけで性格も変わるようです。
 
 実験を行うとその報告(レポート)を作成します。
 その目的、手順、そして結果を述べたあとには「考察」をします。
 実験の成果を述べます。
 観察された結果に対する実験者の意見を述べます。
 
 同じ結果だからと言って、成果も同じとは限りません。
 実験の結果からその原因とか傾向とかを推測し述べますが、
 実験者の持つ知識やこれまでの経験などなどが、ここで主観となって反映されます。
 そしてこの違いは、次の段階へ進んだときに顕著となります。
 
 推測を検証するための実験が次に計画されたとき、
 ここで過去のデータの捉え方に差が出ます。
 推測が正しければ、宜しいでしょうけど、
 間違っていれば、最初からやり直しです。
 やり直すということは、それだけ作品にリスクが生じるということ、です。
 
 結果であったりデータであったり、
 に拘ってばかりでは、いつまで経っても真意には近づけません。
 データは正確であっても、
 それらをどのように扱うのかは人間なのだ、
 ということです。

 暑くて熱い、ひとときでした(汗

 なぜ、実験をするのでしょう・・・
 実験がしたいのではないと思います、
 実験などせずとも結果が分かっちゃうような世界を
 夢見ているのかもしれません。
 そうしたら、美術作品も文化財も痛くないのに。
 (えっと、もうそのような世界は来ているかもしれません
 けれど、副手はわかりません、そう思ったのです)

 このことにつきまして、
 訂正がございましたら仰ってください。

 今日は、副手と青い胴着の女(ブリリアント)、
 のツーショットでお別れです。
 
 ごきげんよう。

2009-06-25

最近の演習より


こんにちは。
久々の書き込みとなってしまいました。
今日は最近の保存科学演習を紹介します。

まずは近年稀に見る異様な盛り上がりとなった
酸・塩基の実験。

文化財を構成する様々な材質は、環境条件によっても異なる物性を示します。
中でも酸性度、塩基性度は材料劣化の重要な因子。

というわけで、様々な物質の酸・塩基性度を測定してみました。

まずは、遊び心を入れて・・・
赤キャベツを煮出した液(これが、酸・塩基の指示薬に!)に、
各自用意してきた液体を加えてみます。

右が赤キャベツ液の原液
真中はそれにジンジャーエールを加えたもの。
炭酸は酸性なので赤く変化!!

やっぱり、色が変わるとか、変形するとか
変化のある実験は“うけ”がいいですね。

ちなみにアルカリ性では・・・
是非、チャレンジしてください。

酸・アルカリ度をより細かく調べるには、
pH試験紙が有効です。

↓こんな風に変化した試験紙をチャートに合わせて判断します。

  これはpH=4でしょうか。

今週は、金属の錆の実験も始めました。
食塩水をしみこませたろ紙の上に鉄と銅の釘をのせると、
数分後には鉄くぎ煮変化が現れました。
今後、これらの運命は・・・?

種々の接着剤の溶解性についても実験しています。
文化財の保存修復には、なくてはならない様々な接着剤。
どんな溶剤に溶けるのでしょうか?
接着剤と各種溶剤を写真のようなチューブに入れて、
ひたすらシェイク!
完全に溶けるもの、懸濁するもの、全く変化しないもの・・・いろいろですね。

このような、簡単にできる実験を通して、
保存科学に興味を持ってもらおうと企んでいます。

皆さん、実験は好きなようです。
でも、レポートが・・・。

保存科学 教員Y

2009-06-19

 副手のポケット X線の中へ

  
  太宰 治(様)生誕100周年の記念すべきこの日。
  太宰の方向へ合掌(想う方向でよし)。

  いかがお過ごしでしょうか。 副手です。

  各研究室の4年生にはビリビリ、何かが起こっています。
  卒業研究に没頭しているようです。
  
  ちょっと 覗いてみようかな。

今日は、X線写真撮影にお邪魔しました。

修復作業に入る前の、情報収集。
肉眼ではみえない内部情報を、
紐解いていきいます。

何がみえるのかしら。 わくわく。


  日々、様々な形態・材質の文化財や美術作品が
  運び込まれてきます。

  作品を扱うときは
  丁寧に、慎重に、そしてテキパキ動きます。
  さすが4年生、しっかり者。

  ご指導されておりますのは、米村先生。
  毎日クタクタのはずなのに、明朗闊達、
  元気いっぱい。

  (ちなみに、こちらの機械、今週の稼働率は100%のようでした、凄)

現像して、待つこと数分。

何か映っている模様。

みんな真剣な まなざし。

どうやら「打ち込まれた釘錆び」と「支持体の木目」と
「肉眼では見えなかった文字」などが見えてきたようです。

どっきどき、胸が高鳴ります(副手だけ?)

  修復作業を行う上で、
  作品の情報を得ることはとても重要です。

  そのためには、知恵と忍耐力が必要で、
  (ほかにも必要なものがたくさんありますが)、
  いずれにしても、諦めないで粘ります。
  
  今日の作業は、ほんの一工程。
  これからどんどん大変な作業に入ってゆきます。
  

  
  今まで、みえなかったもの、がみえる
  みえていたのに気付かなかったこと、に気づく

  作品の小さな小さな声を
  しっかり受け留められる喜びを噛みしめて。 
  毎日こつこつ、健闘してください。
  
  それでは、チャオ〜。

2009-06-17

 副手のポケット


どんなことを書いたらいいものか、考えあぐねているうちに2か月も経ってしまいました。日々猛省。

一人称について。客観的で明快なので職位を利用することにしました(本学科副手は1名です)。

それでは、さようなら。

  本日は大変な雨量です。
  いかがお過ごしでしょうか。
  はじめまして、副手です。どきどき。
  
  写真を撮ってみました。
  撮影をした日(昨日)は山形らしい気持ちの良い青空。
  よく映っています(誰が?)。
  

まず入り口。本館4階404講義室です。
準備室のとなり。

入ってみましょうか。
  
  美・文学科1年生へ。

  突然ですが、
  本館4階にある美・文学科の学習室をご紹介します。

  (美・文学科とは、
   美術史・文化財保存修復学科の略称。
   念のため)


  ここでは、学部1・2年生と
  美術史コースの3・4年生が
  利用しています。
  
  もちろん保存修復コースの学生さんも
  よく利用します。

  先輩方を見習って、
  すくすくと学んでいきましょう。
  
  この学習室を大いにご活用ください。
  
  学習の一助となれれば、とても嬉しいです。


美術全集や展覧会カタログ、授業で使用する書籍など、学科で必要な書籍を多く用意しています。

昨日、面白い書籍を投入しました。必見。

  貸し出しも可能です。
  このシステムからご利用ください。
  利用上の注意を守りましょう。

  (申し訳ありませんが、美・文学科の学生のみ
  利用可能です)

2009-06-16

学会レポート!


6月13日・14日に保存修復学会が倉敷にて開催されました!!
今回は、そのレポートです。

<学会発表>
大きなホールで、さまざまな分野の研究発表がありました。
専門的な内容で理解が追い付かないところもありましたが、どのような
修復や研究が行われているのかを知る貴重な機会になりました。

<ポスターセッション>
学会発表とは異なり、発表者と直接対話ができるポスターセッション!
人ごみをかき分け、各自興味ある発表者のもとへ質問をしにいきました。
みなさんどんな質問にも丁寧に応対していただいて、大変勉強になりました。
また、今回は本学の先生方や先輩方も発表していました。お疲れ様でした。

<倉敷観光>
きびだんご、おいしーーー!!
ままかり、うまーーーーい!!
独歩ビール、さいこーーー!!
舟にゆらり揺られるのもきもちい—–!!
船頭さんのお話もおもしろーーーーい!!
って、はしゃぎっぱなしの倉敷観光(^^)

倉敷の歴史情緒あふれる町並みは本当に美しかったです。
大原美術館のエル・グレコも見てきました。
劇的な受胎告知でした・・・。本物を見れるのはとても嬉しいことです。
他にも、ピカソやシャガールの絵もありました。すごいですね大原家。

来年は、発表者として参加できたらいいね♪

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