実をいうと柳川郁生の構想で今回のこじまくんとのデバイスは、
子どもたちが体育館に来るころには粗方できている状態を考えていました。
そこからいろんなデバイスがつながれば……と思っていたのです。
なのでずいぶんと時間も過ぎてしまい「どうしようかな?」「延期しようかな?」と思ったのですが、
「こんな展開の日があってもいいかな。」「次週からまた日常に戻したいし。」「まずは今日やってしまおう。」
いろいろと迷いつつもやることにしました。
本来はもっと時間のかかる工程をなんとか短縮してつくったので、もう少し調整したい部分もありました。
でもそこはみんなの‘やさしい気持ちのつながり’の部分を大事にすることとしました。
本来の“ねがい”は、坂道をかけあがる部分で傾斜から坂のてっぺんへぬけるときのフワッとした感覚、
それからかけおりていってトンネルをくぐるときの坂道とトンネルの入り口がつくりだす
すいこまれるような前傾姿勢への感覚、そんなことを想像してつくったデバイスでした。
私の勝手なイメージは『七里ヶ浜』の海に向かった下り坂です。
グワーッと目の前の坂を上りきったら眼下に海が広がっていて、
今度はその海に向かってドワーッと駆け下りていく。
あくまでも勝手な想像です……(笑)
1.どんなことをしていましたか(子)
大きなデバイスがあるとそこばかりが目につきますが、
倒立にコツコツと取り組みながらその感覚を伝えようとしてくれているはづきくんやゆきこさんがいたように、
小さな“うんどう”への取り組みもちりばめられていました。
少しずつ自分の感覚を広げていって、ちょっとずつダイナミックな感覚につなげていきます。
こんな感じから始まって、だんだんと自分のからだとマットが仲良くなり、からだが伸びて、うでが伸びて、あしが伸びて、そしてからだ全体にピーンとしたしめの感覚が生まれてきます。
そんな“うんどう”が展開されていました。
まずはおなかとマットがくっつけば……(^_-)-☆
普段はあまりやらない鉄棒を、今回はやってみる子もいましたね。
「鉄棒はしなくてもいい?」なんて聞いてきた子どももいましたが、ちゃんと触っていましたよ。
よこ向きに置いたり
渡ったり、跳びこえたり、手をついて支え跳んだり、さまざまなイメージをもって“うんどう”していました。
「ここではこうしなさい」ではなく「こんなこともできるよ」、そんな発見をしていきたいですね。
よしこさんが「これこういう風にやってみたら?」と指示してしまうと反省していましたが、
こどもたちよりお母さんたちの方が豊かな経験を持っているんです。
だから誘ってあげることは必要なことだと思いますよ。
そのときに“うんどう”自体にステレオタイプになっているようだったら、
「これどうしたら楽しいかな?」なんて逆に投げかけてみてもいいかもしれませんね。
そんなやりとりができるのもこの『うんどうのオフィスアワー』のお母さんと子どもの関係だと思います。
『走る』感覚に軽やかさや伸びやかさを発生させるためにいろいろと工夫をしていきたい、すごーく単純だけどおもしろいデバイスです。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
なんだか大変な作業でしたね。
でも今回は秋からずーっと思い描いていたゆみこさんの“ねがい”があったので、
そこをお母さんたちみんなが協力してくれたかなと思っています。
毎回毎回一生懸命ゆうたくんたちに愛をとどけたいと工夫をしている姿を、
みんなが見ていてくれたのでしょうか。
その気持ちはさいごのゆみこさんの言葉でもみんなに伝わったと思います。
そしてこの『うんどうのオフィスアワー』がつくっている愛の世界(笑)を
もう一人の学生(ゆいさん)も 心から感心して見ていました。
だから19歳の女の子の口からあんなしっかりした言葉(最近の学生からしたら)が生まれてきたのかもしれません。
なんかお母さんたちにお礼ですね。
「ありがとうございました♡」
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
子どもたちは自分の前が空くのを自然と待つようになってきました。
たいよう組やほし組の子どもたちもです。
それは順番を守るという規律の行動が働いたのではなく、自分の“うんどう”の世界が向こうの世界までつながったと考えています。
つまりイマココの身体感が、コレカラの身体感とつながりをもてるようになったということです。
走っていった先の運動をするためには、ここから気持ちよく走っていった方が 、
さらに気持ちよく運動が成立するということを走り出す前に想像できるようになったということです。
だから自分の前の子が終わるまで待っていられるんですね。
「ちゃんと並んで順番を守りなさい!」というのは大事なことですが、
この感覚の発生をじゃましないようにしてあげることも大事だと思いますよ。
……わかります?
じぶんで倒してしまったデバイスを直しているんです!!
自分の“うんどう”と自分の周りの世界とのつながりをしっかり感じているんですね。
このロープに引っかかってコーンを倒してしまったことが、この場所(世界)を変えてしまったということに気づいているのかもしれません。
私はこのイメージをもてることがとてもすごいと思っています。
小さな子どもだってそんなことに気づいているのかもしれません。
どうでしょうお母さん?
わが子のそんな場面に出会ったら聞き出してみてください。
そして柳川郁生に教えて下さい。
興味津々です☆
4.次回のオフィスアワーに向けて
次回はまた通常に戻しましょう。
いろいろと学生の見学があったり、大きなデバイスがあったり、ちょっと普段とは違う展開もありましたが、
それはそれで刺激としてまたいつもの『うんどうのオフィスアワー』をしましょう。
もし前もってこのブログを見ていてくれるようであれば、まずは小さなコースをつくりましょう。
ほし組の子どもたちがパッと一目で理解できるような感じで。
そしてその周りにだいち組の子どもたちがやりたいと思うようなデバイスを、
子どもたちの“ねがい”にあわせてつくってみましょう。
そしてたいよう組の子どもたちはだいち組をあこがれのお兄さん、お姉さんにしたり、
ほし組のお兄さん、お姉さんになったり……
そんなイメージでどうでしょう?
まずは体育館の半面ぐらいの状態から(でも人数が多かったりしたら臨機応変に)。
よろしくお願いします。
レポート作成指導期間も始まり、週末はセンター試験の監督などもあり、
すっかりとブログアップが遅くなってしまいました。
それでもしっかりと見てくれている方もいるので、心をこめてつぶやきます。
プライベートブログ「コブログHR」の方はちょくちょく手抜きをしますが、
こちらはしっかりとつぶやきます。
……とはいえただ今1月22日の21時過ぎの研究室です……
今回は美術科の総合美術コースの授業と並行して展開しました。
「認識論」という授業の中で紹介した『運動学』を実際にどんなふうに展開しているのか、
そんな理想的な展開が実際に可能なのか、
そして実際にそんな実践を試みているのがこの『うんどうのオフィスアワー』だ、
ということでまずは見てもらいました。
そしてお母さんたちがこの“うんどう”の世界をつくりながら、
どんな“ねがい”を伝えようとしているのか、
そんな質問のようなことを学生たちに投げかけてみました。
そして活動の後で柳川郁生がお母さんたちの“ねがい”をこんなふうに予想して
学生たちに伝えました。
1.どんなことをしていましたか(子)
子どもたちが思わず“うんどう”の世界にとびこんでいきたくなるような雰囲気(デバイス)を意識していきます。
この不安定なバランスの感覚が「おもしろそう」という心に届くといいなと思ってつくっています。
こうやってふみきり板を連続でつなげたことにも理由があります。
1枚のふみきり板に向かって一生懸命走っていって、しっかりと踏みきることも大事です。
でもヨイショッ、ヨイショッと跳びながら、ピョン、ピョン、ピョンと跳んでいく、やがてそれがトン、トン、ト~ン!という感覚へと変わっていく、そんな運動感覚の流れがこの中で生まれてくるのです。
そんなことをお母さんたちは……
そしてこんな箱にも『支える』感覚を見つけていって、ヒラリと跳びこえる気持ちの良さと出会ってほしいという“ねがい”をこめています。
それがうまく子どもたちに伝わると、「側転」なんて運動に結びついてしまったりします。
そしてここでは、自分に見えない世界へスッと腕やからだを伸ばしていったり、背中で世界を感じる感覚をつくっている。
そんな発見がこの運動の中にあるので、子どもたちは何回も楽しみながら、どんどんと気持ちの良いやり方を見つけ出していきます。
そのあとに現れる坂道へ勢いよくかけだすための大事な感覚をここで生み出したいと“ねがい”をこめているのです。
さらにはこの坂道も
小さな子どもたちは手をついてしっかりと4つ足で踏んばりながら登っていくような、絶妙な角度をいろいろと試しながらつくっています。
しっかりと子どもたちの様子にまなざしをむけ、理解を深めていかないとこの角度は生まれてきません。
そして子どもたちの“笑顔”のために、楽しく安全なデバイスにしていきます。
そしてこれも“楽しいすべり台”的な遊具としてつくったわけではありません。
この滑る、からだを伸ばす、そして足先までしめるような感覚を少しずつ子どもたちが見つけられるよう、そしてその感覚がジャンプや倒立、バク転なんてさまざまな運動につながっていくようなことを想像しながら展開しています。
そして鉄棒では「前回り」や「逆上がり」なんて既成の運動課題にとらわれず、一人一人の子どもたちの“ねがい”に合わせてお母さんたちはさまざまな運動の理解をしています。
さらにはこんな高い鉄棒にも「あ~しなさい」「こ~しなさい」という一方的な“ねがい”を押しつけることなく、子どもたちの中に発生した“まぐれ”の感覚をお母さんたちが見逃すことなく見つけることを大事にしています。
なんてことを学生たちに伝えてみました。
ツクリテのお母さんたち、これであっていますか?
そしてこんなふうに
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
子どもたちと同じ世界を見る。
楽しんじゃう♡
そんなお母さんたちってスゴイでしょ☆
なんてことを学生たちに伝えました。
そしてこんな理想的なあやしい世界を本気でつくろうとしているんだよ、
ということを学生たちに話しました。
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
自分なりのやり方を見つけることもとても大事です。
なんかみんなが楽しいと思ってくれた時間になって、とてもうれしかったです♡
4.次回のオフィスアワーに向けて
ゆみこさん、こじまくんという学生が、
子どもたちとお母さんたちが自分の考えたデバイスを楽しいと感じてくれたことが嬉しくて、
お手伝いをしに来てくれます。
今日あった「芸術と子ども」の授業でもそうでしたが、
“子どもたち”ということを考えるだけでみんながどこかでつながりあう、
そんな不思議な世界がここでは展開しています。
子どもたちのためにいろんなことをしていたつもりが、
自分自身のいろんなことに気づくきっかけとなったり、
誰かの気持ちに気づくきっかけになったり、
本当に面白いことが実際に生まれてきます。
楽しいですね♡
ではまた……もうすぐ23時になります。
早く帰って晩ごはんにしよう。
年明け最初の『うんどうのオフィスアワー』でした。
ということで大学生たちのレポート指導期間が始まったり、
今週末は「男子体操競技1種審判員研修会」があったりなので、
お母さんたちの“まなざし”を見る前につぶやいてしまいます。
まあ、今回は久しぶりということでまったりした展開だったのでそれでも良いかと思います。
1.どんなことをしていましたか(子)
まずは「支える」感覚をスタートに
こうして鉄棒で「支える」感覚につなげてみました。
自然と軽やかな足どりがつくられていくようなデバイスです。
そして今回は倒立回転なんて大技も登場していました☆
しっかりと「支える」感覚、背中をのばして「引っ張る?」感覚など、すごく難しい感覚を組み合わせて運動しています。
マットを高く積み上げて跳びのってもらったり
かっこよく跳んでもらいました。
2.どんなこと(関わり)をしていましたか(母)
今回は参加人数も少なく、
デバイスづくりはちょっと物足りないという感じでしたね。
せっかくだからもっとこじんまりとやってもよかったかな♡
でもなんだかこうやって
でもいい機会だったので、年末に受けてきた指導者研修の中で感じたことをお母さんたちに伝える話をしました。
そこでは体操競技選手を対象にすごく専門的な要素として「肩甲骨の動き」や「骨盤の開き」、「胸のやわらかさ」などをつくっています。
その一見難しそうで高度に見える運動が、じつは子どもたちが這い這いしたり、高いところへよじ登ったり、高い鉄棒にぶら下がったりすることで自然と行われているのです……
というような話をしたつもりです。
なにも専門的な指導をわざわざするのではなく、“うんどう”の中で自然と発生させることができるはずです。
ぜひまた一緒に工夫をしていきましょう!
3.運動面において気づいたこと、変化はありましたか
今回はなんだかゆったり過ごしていたので特に大きな変化はありませんでした。
でも意外と体操選手のトレーニングの映像に興味を持ってくれたりして、
なにかこんなところにもきっかけづくりのヒントがあるように思いました。
またちょっと面白い運動があったら、
こんなふうに紹介してみるのも面白そうですね。
4.次回のオフィスアワーに向けて
今年度の開催は
1月 |
17日 |
24日 |
|
31日 |
|
2月 |
21日 |
28日 |
|
3月 |
7日 |
1月はあと3回、
そして2月、3月は卒業制作展や、卒業式の準備のため、
あわせて3回となりました。
よろしくお願いします。